歌川広重の声を聴く 風景への眼差しと願い
阿部美香著 京都大学学術出版会刊
「江戸名所図会」と「絵本江戸土産」の丹念な比較考察から
「耕地や広野の見事さ」への賞賛、すなわち耕地や広野に対して
「風流さ」を見出す視座は「図絵」にはなく「土産」にのみ見られたことを
発見しています。
また、
「図絵」の名所は「土産」に比較して空間的な偏在傾向が低い。
それに対して広重が「土産」で称える土地には、明らかな偏在が認められ、
隅田川沿い、海岸沿い、本郷台沿い、徳丸台沿い、目黒台沿い、
さらに低地では、吉原、浅草、日本橋での分布がより多く見られます。
広重の風景を見る際の大きな訴えは、
「見慣れてしまい、普段は意識的に見ることのない場所が持つ風景の
美しさや良さに気がついてくれ」ということです。
「百景」の構図を表のような累計で整理した場合、
人間がある場所に立った時の目線と同じ高さで描かれた絵が
比較的多いということが特徴です。
作者が発見したものよりも、そこにたどり着くまでの
作者の丹念な研究姿勢に感動してしまいました。
阿部美香著 京都大学学術出版会刊
「江戸名所図会」と「絵本江戸土産」の丹念な比較考察から
「耕地や広野の見事さ」への賞賛、すなわち耕地や広野に対して
「風流さ」を見出す視座は「図絵」にはなく「土産」にのみ見られたことを
発見しています。
また、
「図絵」の名所は「土産」に比較して空間的な偏在傾向が低い。
それに対して広重が「土産」で称える土地には、明らかな偏在が認められ、
隅田川沿い、海岸沿い、本郷台沿い、徳丸台沿い、目黒台沿い、
さらに低地では、吉原、浅草、日本橋での分布がより多く見られます。
広重の風景を見る際の大きな訴えは、
「見慣れてしまい、普段は意識的に見ることのない場所が持つ風景の
美しさや良さに気がついてくれ」ということです。
「百景」の構図を表のような累計で整理した場合、
人間がある場所に立った時の目線と同じ高さで描かれた絵が
比較的多いということが特徴です。
作者が発見したものよりも、そこにたどり着くまでの
作者の丹念な研究姿勢に感動してしまいました。