石長松菊園・お宿いしちょう 許せぬ罪

いきなりいしちょう首になった悔しさに裁判をしました!
職場復帰の約束を守ってもらえず、いきなり電話一本で首でした。

「黒魔術」    「物語」9

2020年04月04日 | 物語



横浜から来たと言う人に出会ったのは、京都の祇園にあるお茶やさんのやっているバーである。

たまたま、その時に水晶の話しになったのだが、誰も信じないので冗談や酒の上での話しだとみんなが考えていたのだろうとおもう、私は酒に酔った勢いで、一人を指さし、貴方の家の間取りを書いてみましょうと紙と鉛筆をもらうと、さらさらと書きだした。

みんながのぞき込む中で、ほぼその通りの間取りであることが確認されると、みんながなんで?!って言っては私に質問する、そして見せ物じゃないからと二度とほかの人の部屋をのぞくことをしなかった、たった一つ除いては。



その人は、同じように面白がってこの出来事をみていて、突然話しかけてきた。

「私の職業が分かりますか?」

「私は占い師でも魔術師でもありません、ただ感じる物をそのまま伝えているだけです、貴方の職業が何かは分かりません、ただ、感じる波長は人に言えない何か大事なことをお持ちで、貴方にとっては

それが大切な物であると言う位いで、あとは分かりません、すみません。」

「いいえ、試しているのではありません、貴方の水晶がすばらしい輝きを放っているので、貴方がどんな人かなと思って聞いてみました、気を悪くしないで下さいね。」

「分かりました、私に出来るかどうか分かりませんが、貴方のお財布に入っている写真が貴方の奥さんの物であること、ついでにお札が27枚合計で入ってること、なんて言うことでどうでしょうか」

「本当ですか。」

と、その人は財布をだそうと背広のポケットを探し出した、がない様子で、首をひねっている。

「財布は鞄の中にありますよ。」

と言って、見ていると、本当に出てきた、それからがみんながその財布に注目、中に入っている物が本当に今言った物かが、一点に集まったみんなの考えで、そのことが今一番この場では大切な事になっていた。

その人は、財布からまず、写真を取り出してみんなに見せた、確かにきれいな女性がそこに写っていた、「あたしの家内です、でも今まだ生きています、入院はしてますが・・・。」

「惜しいけど、はずれ!なんてね!」と誰かが口走った、「財布の中に札が24万3千円入ってます。」

「あたりーー!」

なんて言葉が飛び交って、ざわざわとした空気が部屋中に一杯になって、私に注目が集まってしまった。

「どうして財布の中身なんか分かるのですか?」

なんて質問をされてしまった、

「どうして分かるのかではなくて、貴方の波長を感じただけなのです。」

「それで何でも分かるのですか?」

「分かりません、私の波長と貴方の波長が合った時にしか、その波長が何であるか、どうしたら合わすことが出来るのか、それも分かりません。」

突然、隣の客が私の財布も当ててごらんよ、と言ってきた。

「ごめんなさい、私は超能力者でもないし、普通の人そんなにあっちもそっちもなんてできません。」

「残念だけど、仕方ないか。」

なんて事でおしまい。




でも、横浜からのお客様は(横山さんとあとで分かる)何かひっかかるものがあって、数日後携帯に電話が入った。

これから会えないかと言う電話で、場所を変えて合いたいとの事、いいですよの返事にその夜横山さんと再会する事になった。

「何のご用でしょうか?」

「実は私に言って下さった、大切な物と言うことに、貴方に伝えておいた方が良いような気がしました、そして、貴方の力を借りることになるかもしれないので、お会いして誤解のないように説明をしたかったのです。」

「とくに何のことかまだよく分からないので、とにかく聞きます。」

「実は黒魔術と言う物があるのをご存じですか?」

「はい、知っています。」

「実は、その黒魔術を私は信仰しているのです、本来信仰している事を他人に話すことは禁じられています、が、貴方にはこのことを知ってもらってからでないと話しが進まないので、打ち明けました。」

「それで、わたしに何をしろとおっしゃるのですか?」

「この間お見せした家内のことなのです、実は家内にも内緒でしたこのことは、何時しか家内はこの黒魔術の事を知る事になり、反対に興味を持ち、のめり込むように入ってきました、そしてある日突然意識がなくなり、眠ったままの状態になってしまったのです、何が原因なのかも分からず、入院の中で医師との話しでも原因が分からないままになってしまい、息子と娘が母親の様子を見ていてくれて、私は普通に仕事をしています、貴方には申し訳ないのですが、私との連絡は携帯のみにさせていただければありがたいのです。」

「それで何を私はすればいいのですか?」

「貴方のその波長を感じる力があるのでしたら、家内の波長を感じていただき、何がどうなったかしらべてほしいのです。」

「待って下さい、私にそんな大それた事出来ません、それに奥さんにお会いしたこともないのに。」

「いままで、色々な人たちにも頼んで、家内の事を探っていただきました、でも誰一人家内をもう一度元へ戻すヒントになるような事が聞き出せなくて、今に至ってます、是非貴方の力で見ていただきたいのですが。」

「どうして私に出来るかもと考えたのですか?」

「財布の中の家内の写真をなくなられた奥様と、貴方は言われた、そのとうりです、あの場ではなにもいえなかったのですが、その通り、死んだも同然なのです、そして貴方は人それぞれの波長を感じ取るとおっしゃった、寝ている人間でも波長はあるはず、何か分かるのではと考え、貴方にすべてをおねがいしてみようとおもったのです、病院の先生と相談しました、家内の脳は安定している、時折夢は見ている様だがどうして意識が戻らないか分からない、もし借りにこの波長を理解できるとしたら、なにかの解決のきっかけになるかも知れない、と言っておられたのです。」

「貴方のおっしゃることは分かりました。でも一つだけ問題があります、貴方の心です」

「心とおしゃっても・・・?。」

「貴方の心を無にして下さい。無です、そう座禅をくんで無の境地に近づく・・。あれです。」

「やってみますか、貴方のおっしゃるとうりにします、ですから何かのヒントでもおねがいします。」

「では、ここでいいですか、今から貴方を通して奥様の波長を感じて見ます。」

「・・・・・・・・・・。」




静かな時が流れて、山口さんから何かの波が伝わって来た。

それはまるでか弱い子犬が雨に濡れて弱り切っている悲壮な、悲しい波長で今から思えば何でこんな波長があるの?!なんて言うほど、悲しい波長でした、そして一つの波をつかまえました、それは弱い波長ですがはっきりと何かを訴えていました。

「山口さん、今貴方の意識が奥様に届くように波長を補足しました、そして今度奥様に会うときに、左手にこの水晶を握って、右手で奥様の左手の小指を握って下さい、貴方の思いが伝わり貴方は何かを感じる事ができるでしょう、それが答えかどうかは分かりません、あなた方二人夫婦の事ですから貴方がどれだけ奥様の事を愛していらっしゃるか試される事になるとおもいます。その覚悟があるなら本当に奥様の為にとお考えなら、この水晶を貴方に譲ります。」

と言って、大切にしていた水晶をテーブルの上に置いて差し出した。

山口さんはじっと見つめていて、水晶を手に取り、

「ありがとうございます、明日早速やってみます、何があろうとこのご恩は忘れません。」

「あんまりたいそうに考えないで下さいね、本当にどうなるかは貴方次第、それから答えが見つかるかも貴方次第、これからの夫婦の生活も貴方次第、何か問題があったときは水晶を握って今みたいに無になって下さい、何か反応があるかもしれません。」

「お礼に何かしたいのですが」

「お礼なんていりません、貴方にとってよかったと思っていただければそれが私のパワーとして戻ってきます、そのパワーを私は頂きそのパワーによって導かれて行くのです。

「では、何か私に出来る事があれば言って下さい。」

「今はないです、これから先にお願いしないといけない事が出来ると思います、貴方の知っている黒魔術を私の波長が呼び込もうとしています、ですからそのときに改めてお願いをするとおもいます、もちろん、奥様の事が何らかの改善がみられて、貴方がこの水晶を信じて下さってからでけっこです、もしだめなら送り返してくださっても結構です、水晶を処分していただいても結構です、水晶の一生がその時にきまります、大切に持っていただいても結構ですが、これから先何年かして、水晶からの波長を感じたときは、送り返して欲しいとお願いするかもしれません、それと一つ、あなたが感じる時ほとんど満月に近い夜に水洗いをしてあげて下さい、貴方の黒魔術にはなんの影響もない水晶ですから、お願いします。」



「あなたの言われたとおりにします、黒魔術はご存じだと思いますが、人を呪ったり、殺したり呪いをかけるものではありません、人を救い人を戒め、人を導く事が出来ます、キリスト教と全く同じです、でも違うのは本当に入り込むと自分に何がおこるのか、どうしてそうなるのかが分からなくなるときが必ずきます、そのときに、貴方が言った、無が必要なのだと思います、そして公然としての布教などありませんし、伝えられるのも今はなく、話しにある黒魔術でしかなくなってきています。

違う宗教を信仰しても同じだと思いますが、結局は自分自身の問題で、いかに自分を磨くかなのだと思います。貴方に会えてよかった、宗教でもない、信仰でもない、貴方は貴方でしかなく、因縁を絡ませた相手には本当に安らぎを与えてくれる、何が不思議な人ですね。早速家内のところでやってみます、そして何かヒントを見つけてみます、ありがとございました。」

と、別れて3日たったとき、突然今から合いたいと電話が入った。

仕事も一段落していたので京都駅で会う約束をして、約束の場所に向かうことに、そして一つの物語を知ることになった。

 



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