>> 今回の結論

 

消費税を肯定するなら再分配を語るな。

 

それ自体が矛盾。

 

建物固定資産税も撤廃せよ。

 

>> 

 

こんにちは、去年は山形の平野を一望できるキャンプ場だったり、あじさい園やつつじ山を歩いていたtasanです。地元に戻ってきてから、季節感のある行動取るようになりましたねー。東京で社会人なってからはあんまりだった。。地方=車持つので、行動範囲がとても広がります。

 

久々に温泉に入ってきました。先週は鳴子のうなぎ湯。本日は三浦旅館ランプの宿。先日うちの店にバルブを買いに来た方が、受付でした。温泉好きなので、三浦旅館でピンと来て覚えていました。互いにうろ覚えではあったことが発覚しました笑

さて、そんなこんなで、相当ダメージを受けた観光業にも自粛保障してあげてほしいです。山本太郎さんが都知事選に出馬し、全国の地方債買い取りを、日銀に求めていく、日銀も、日銀法上、断る理由はない、ということなので、ぜひ応援していきたいですね。

 

これが実現すれば、地方議員にも、積極財政なのか、緊縮なのかの踏み絵を突き付けることにもなります。

 

ともあれ、まず、固定資産編の話を終わらせてしまいましょう。今回は、固定資産もですが、幅広い各種税についての、見解です。

 

>> 

第6回固定資産評価研究大会 特別講演

 「固定資産課税の存在意義を考える」

 政策研究大学院大学教授 福井 秀夫 2002年

http://www.recpas.or.jp/new/jigyo/report_web/kenkyu_giji/6th/dai6-003.htm

 

1. はじめに
   政策大学院の福井でございます。本日はお招きいただきまして、ありがとうございました。

 私は現在、大学で行政法を担当しておりますが、元々は建設省の役人でした。例えば国土庁の土地局で地価調査、不動産鑑定評価に携わったり、本省の住宅局、都市局などで、建物の評価、大都市住宅対策のような仕事に携わったことがあります。

そういう意味で、都市問題や土地問題には関心を持って実務・研究を続けてきていますが、必ずしも財政学、税法等の専門ではありませんので、その点はご容赦いただければと思います。

 本日いただきました演題は「固定資産税の存在意義」ということですが、固定資産税とは、狭義の固定資産税に加えて、もう少し広く捉えて、土地に関連する税制、さらにそこから派生するもうちょっと大きな、所得税、消費税、資産税一般の問題との関連で、土地や建物の固定資産税を考えてみたいと思います。

 

かなり長いので、抜粋して、紹介、解説していきます。

 

消費税で累進をやることはできないんですね。買い物の都度に、その人の累積消費額ごとに消費税率を変えて、別額の消費税を徴収するのは、技術的にまず不可能です。  世の中では、あまり議論をしたがりませんが、消費税シフトということは、要するに再分配をやめますという宣言と等しいわけです。

 

「なぜならば、所得捕捉が困難だからこそ消費税シフトという議論が出て来たわけです。したがって、クロヨン、トーゴーサン ※ を是正するために、徴税員を増やして所得捕捉の検査を充実させることなどによって、事業者を問わず個人を問わず、個々の稼いでいる所得をきっちりと把握しようという課税当局の努力は、これ以上はやらないということが、消費税シフトの前提だったわけです。

 

※ 「クロヨン(9・6・4)とは、税務署による課税所得の捕捉率に関する業種間格差に対する不公平感を表す語である。トーゴーサン(10・5・3)、トーゴーサンピン(10・5・3・1)と呼称することもある。1960年代後半から使われ始めた。」

 

消費税シフトとは、即ち、誰が弱者であるかを見極めることを、やめてしまうということです。しかし、弱者が誰かわからなくなるような制度設計をした後で弱者に再分配をするというのは、言語の論理矛盾です。

 

究極のところ、弱者には強者から何らかの形で余分に再分配が必要だ

 

という価値規範を認めるのであれば、

 

所得ないしは消費の総量といった、

豊かさの指標を個人ごとに把握し、

それを課税ベースにする

 

という営みは、政府部門にとって必須となります。
 

累進が所得税でしかできない以上、結局のところ、

 

誰が弱者かということを見極めて、

弱者を特定した上で

彼らを救済するほうがいい

 

という価値観を

いささかでも信じる立場からは、

 

消費税シフトというのは、

それ自体が論理矛盾になる

 

ということを指摘しておきたいと思います。」

 

「逆にいえば、再分配は一切いらない。貧乏な人、金持ちな人、みんなそれに応じた一定のフラットの税率を払うだけで、一切それを補正する必要はない。貧乏な人に、貧乏であることを理由にして、生活保護や公営住宅などを一切やるべきでない

 

という価値規範や公平観もありますね。一部の学派ではこういう考え方や、さらに、人頭税だけでいいという議論も有力なぐらいです。

 

要するにフラットの税率で、

弱者に対しての措置は一切いらない

 

という価値観に立つのであれば、

消費税で完全に所得税を代替させるということは、

極めて美しい税制になるわけです。」

 

「フラットの税率ですから、人々の消費行動を歪めることがなくて、極めて中立的。そういう意味で資源配分の歪みをなくした大変美しい税制ということでありますので、これはこれで一つの立場だということになります。

 

これが価値規範としてどれぐらい支持されるかというのは、私個人はやや疑問だと思っていますが、

 

それなら、少なくとも人格は悪いかもしれないけれども頭は悪くない。

 

私が申し上げたいのは、

 

再分配は必要だけれども消費税が要る

 

という、人格はいいかもしれないけれども頭の悪い人が

日本には非常に多いものですから、

それは論理矛盾だということをここで前提として確認しておきます。」

 

「要するに、どちらかなんですね。分配が必要だというのであれば、累進の所得税しかあり得ないと認識せざるを得ないし、

 

貧乏人に分け与える金は一切ないんだという前提に立つなら消費税でもいい。

 

どちらかしか選べないということを、論理的に把握しておきたいということです。

 

そういう意味で、消費税シフト論者は、再分配が一切いらない

と言い切る覚悟があるのかどうかということを問いかけたいと思います。」

 

「結局、強者弱者度合をうやむやにしたまま消費税シフトが進むと、現在いっぱいあるいわゆる弱者救済対策が肥大化することになります。例えば農業、中小企業、公営住宅階層といった様々ないわゆる弱者類型というのが、日本中津々浦々に満ちています。政府でも、一種の産業構造転換についていけないような業種の人達や、あるいは例えば失業した個人の人々を対象にして、様々な分配政策をやってきています。

 

 しかし、なぜこういう複雑ですっきりしない、いわゆる弱者援助政策がいろいろ蔓延しているかといいますと、本当に誰が弱者かわからないから、いろいろな側面で弱者らしい人を見たら救い上げざるを得ないという一種の悪循環に陥っていると考えるのが、自然ではないかと考えます。」

 

税務部門は国家の基礎ですから、やはり税は、徹底的にちゃんと捕捉するんだという前提に立って、固定資産税の徴収なども含めて、課税の公正のための職員、予算は、徹底的につけても構わないと思います。そういった前提で、累進の所得税中心主義を回復したほうがいいと考えています。


 必要だという前提に立てば、地方税収についても同じことが言えます。国税、地方税を問わず、誰がどれぐらいの所得を得ているか、固定資産税にしても、土地や建物についてごまかされずに払われているのかについても、徹底的に調べるべきだろうと思います。


 さらに税目として、個人ごとに強者、弱者の度合が完全に特定されるということになると、法人税は全然根拠がなくなります。法人税とは、何となく企業が払っていると皆さんお思いかもしれませんが、これは株主や従業員が払っているわけですから、株価と連動します

 

従業員の所得には、個人所得税がかかっているので、法人税には全く理由がない。法人税を取って、お金持ちの企業を痛めつけて、個人が優遇されているように錯覚させるトリックは、政治的にはあるかもしれませんが、

 

法人税で払わせるぐらいだったら、個人所得の捕捉を徹底させて株式のキャピタルゲイン税だけに一本化するのが筋の通った税ということになります。また相続税は、運への課税 ※ だから、100%でもいい、少なくとももっと上げてもいいと思います。」

 

※ 運に関してはリンク先の序文を読んでください

 

地価上昇の原因は、都市基盤施設以外には想定しづらいわけですから、その整備費を超えて土地からお金を取るというのは取り過ぎだということになります。反面、土地の整備費を所得税から取るのも、逆の意味で所得税の取り過ぎということになる。発生原因に応じて税目もきっちり分けるべきだと考えます。

 

土地の譲渡益課税を取ると、土地取引を阻害すると言われます。不動産取引を阻害するから、これは有害なんだ。だから、こんな資産デフレの時に土地の譲渡税の強化等ということはとんでもない。軽くする以外に選択肢はないというのが俗説の実型です。


 他の事情を一定にした場合に、仮に土地の譲渡益課税を0%と50%というケースを想定して比較します。

 

例えば

取得価格が1,000万円(昔の買ったときの価格)

現在の市場価格が1億1,000万円(現在の価格)

 

という土地があったといたしますと、土地の譲渡益、売る前ですと含み益ですが、1億円の含み益ということになりますね。

 

これを譲渡しますと、

0%の土地譲渡税だと1億円、

50%の土地譲渡税だと5,000万円

が手元に残る

 

ということになります。

 

一体どっちの方が土地投機を抑制するだろうかと考えますと、

50%に上げた方が、この数値が前提で他の事情が一定だとすると、土地の投機的利益は少ないわけですね。

(売ると、5000万円、損をする=譲渡税を上げた方が、投機が抑制される)

 

これをもし100%にしたらどうでしょうか。1億1,000万円で売れた土地の1億円の譲渡益を全部召し上げるということになると、譲渡益はゼロになってしまう。ということは、土地を転売目的でいつまで持ち続けようとも、土地から利益を得ることはできないという仕組みに転換してしまいます。

 

こうなってしまうと、投機は全く利益を生まないことになりますから、

 

土地の投機が、

 

土地に関する資源配分を歪める、

即ち

土地の有効利用を阻害する

 

という前提に立つ以上、

 

他の事情を一定にした場合に、

土地の譲渡税率が高いということは、

投機を抑制し

有効利用を促進する

よい税制だということになる。

 

「固定資産税でも同じことが言えるわけですが、

要するに

譲渡税の根拠というのは地価の上昇ですから、

 

地価の上昇のかなりの部分が

都市基盤施設の整備でもたらされる

ということを想定して、

 

それをもたらした整備者に利益を返していく

というように財源のサーキットを考えると、

 

都市基盤施設の整備財源も、

受益者が負担して

原因者が受け取ることになって、

 

結局利用者・納税者の負担が償なわれる

という意味で、

公平な好循環も可能になるわけです。

 

したがって、一概に土地の譲渡税を取ると駄目だというのは、決して妥当ではありません。

 

(凍結効果とかありますが、中略)

 

「以上が固定資産税の議論にどう結びつくのかという点を最後に申し上げます。」

 

「土地保有税の代わりに、取得価格と現在の市場価格との差額、さっきの例でいうと、1,000万円の土地が1億1,000万円になっているというときには、含み益は1億円ですから、土地保有税は1億円にかけるということです。1億円に利子率相当分を掛けることによって、土地の譲渡益課税の凍結効果を完全に相殺できます。今後は、これを土地の固定資産税と呼ぶことにするというのが、私としては長期的にはお勧めしたい税制です。」

 

と思ったら凍結効果が出てきた。。凍結効果は「売らないで取っておきたい」と思う効果です。譲渡税が2割だったとすると、1億円の土地を売ったときに、2000万円取られる。だったら、来年になったら、もっと値上がるかもしれない。取っておこう、という動機です。

 

で、お勧めの税制だと、今だと、土地の価格の全額相当に、税率が掛かってきますから、固定資産税は下がってくれていいですね。高くなった!と思ったら、売ってもいいわけです。

 

「譲渡税とも連動関係を作るということになります。取得価格が9,000万円の土地で、今1億1,000万円になっているというものですと、これは2,000万円に利子率を掛けた分だけ毎年徴税するということになりますから、時価評価さえ出来ていれば、別に技術的には難しくない税制です。


 取得価格と時価との差額に対して、利子率相当分を毎年課税する、これが新しい固定資産税ですということになるわけです。基本的に、インフラによる地価上昇分は建設費に当たりますし、含み益に対する利子相当分の課税で、普段のインフラのメンテナンス費用は捻出できるので、バランスのとれた税制になるはずです。」

 

「長期的には、譲渡税を一定程度強化することを前提として、その含み益に対する利子課税として土地の固定資産税を位置づけていくことが妥当と考えます。運用実務はそれほど変わらないわけですが、背景となる理論的な考え方の転換を目指していくことで固定資産税はより合理的な税になることができると思います。 」

 

「目下の固定資産税の負担の話を最後に申し上げますが、これはかなり高い。課税調整措置のせいで、今ごろになってかなり高くなっています。2000年では、固定資産税が自治体の全収入の45%あります。住民税が31%ですから、いつの間にか固定資産税のほうが大逆転して、中核税収を占めている。取る立場からすると、たくさん使える余裕があっていいということになるかもしれませんが、これは資源配分に大きな影響を与えるものですから、今頃になってこれだけ高くなるというのは、実勢を超えて土地デフレを進捗させる可能性がありますので問題です。」

 

課税調整額については、前回述べた通りです。皆が7割になるように、どんどん上昇してきました。

 

 

「2001年の統計では、法人の売り上げ高に占める固定資産税の割合が、0.28%あります。約10年前の90年と比べると、90年が0.16%ですから2倍弱です。法人は、工場やオフィスを持っていますから固定資産税を払っています。法人の固定資産税負担が、10年間ぐらいでシェアが2倍弱になっているのに見合うだけの負担が必要なのかについて検証が必要だと思います。」

 

「また、既に繰り返し論じたとおり、現在の固定資産税は、あくまでも名目時価、実際には大分低いと思いますが、一応時価に単純に1.4%を掛けるというものです。これは、時代により取り過ぎにもなり、取らなさ過ぎにもなるということで、あまり合理性がない。時価に掛けるのではなくて、取得価格と時価との間の含み益に掛ける利子税に変えていき、これをリアルタイムで取るようにすれば、負担調整措置で苦しむ事態は、回避できます。

 

土地の固定資産税の負担増は、キャピタルゲイン税ないし付加価値控除型の譲渡益課税への移行をスムーズに行うことによって、徐々に調整は可能です。ターゲットはもっと大きなものとして考える必要があると思います。」

 

つまり、固定資産税は、値上がり分だけ払えばいいよね、という主張です。

 

家屋課税の撤廃

建物については、基本的な問題があります。

 

建物に固定資産税を掛けると、

どうしても投資を抑制してしまうわけです。

(建物の価値が上がる → 建物固定資産税の増加)

 

しかも現在の建物固定資産税は、

耐久性、安全性が高く、設備も充実していたりすればするほど、評価額が高くなります。

 

よい建物を建てる、耐久性のある建物を建てるということは、

ストック時代の重要な政策課題でもありますが、

 

そういう耐久性の高い、ストック時代にふさわしい建物であればあるほど、

投資が抑制される、すなわち税をたくさん掛けられて不利になります。

これは基本的に望ましくない。

 

建物については、

投資内容が評価額や税率で影響されることがないように、

建物固定資産税は長期的に完全に撤廃していく、

 

その分、土地の方はきっちりやるという方向に行くのが

望ましい固定資産税体系だと考えております。」

 

取引税の撤廃

取引税ですが、不動産取得税、登録免許税、印紙税などは、基本的に流通を阻害する役割を果たしておりますので、縮小・撤廃をしていくことが必要だと思います。

 

特に登録免許税などは、手数料趣旨のはずなのに、実費を超えてやたら取られていますが、そんな必要はない。登記所の負担する事務手数料としての分を数千円払うのならともかく、何万円も払う根拠はありません。これも、昔の悪しき担税力主義の名残ですね。

 

高いものを売買できるんだから、たくさん金を払えという論理でしょうが、

 

それは、

 

土地を、より有効利用できる可能性のある人の手に

土地所有権を移すことを

妨げる

 

ということになって、土地利用を阻害します。

取引税は縮小・撤廃していくことが、現下の重要な課題だと思います。」

 

というわけで、福井秀夫さんの講演でした。これだけでもかなりお腹いっぱいですね。本文はさらに長いです笑

資産評価システム研究センターは他にも講演を載せているので、私も時間のあるときに、さらに目を通していくつもりです。

 

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----編集後記----

 

さて、固定資産税のついてはこれにてひとまず終了です。存外、消費税の話しが多かったですが。

 

そして、山本太郎さんの都知事選が始まっています。参加を表明したことで、いい意味でさっそく大荒れになっていますね。

 

政府が国債を出さないなら地方債だ、ということで、今後、のほほんとしていた地方議員までも、積極財政への踏み絵を試されることになっていくと思います。

 

これだけでも、都知事選の勝敗を抜きにしても、大変有意義なムーブメントを引き起こしているのではないでしょうか。

 

というわけで、近々応援記事も上げていきたいなと思います。