こんばんは!
しゃちょたまです。
 
 
 
 
書名 :息吹
著者 :テッド・チャン
訳者 :大森 望
発行所:早川書房(電子書籍版)
読了日:2020年6月28日(日)
 
【内容】
『メッセージ』として映画化された原作小説『あなたの人生の物語』で、世界的にブレイクしたテッド・チャン。17年ぶりとなる待望の最新作品集。
人間がひとりも出てこない世界、その世界の秘密を探求する科学者の驚異の物語を描く表題作。『千夜一夜物語』の枠組みを使い、科学的にあり得るタイムトラベルを描いた「商人と錬金術師の門」をはじめ、各賞受賞作を含む9篇(初訳5篇含む)を収録。
〈本書収録作〉
「商人と錬金術師の門」
「息吹」
「予期される未来」
「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」
「デイシー式全自動ナニー」※初訳
「偽りのない事実、偽りのない気持ち」※初訳
「大いなる沈黙」※初訳
「オムファロス」※初訳
「不安は自由のめまい」※初訳
 
チューネタバレあります。
 
 
なんじゃこれはー。すごいです。すごすぎるです。
読書とは別世界を見ること、異空間を旅すること、異次元を体験することなんだと、あらためて教えられたような。
まったく短編の読後感じゃない。無限に開けた世界が9編もあってもう船酔い気味えーん汗
 
テッド・チャンという人はアレです、何年か前に公開された『メッセージ』という、ばかうけみたいな形の宇宙船がやってくる映画の原作小説を書いた人です。
その小説も短編集だったんですが(未読)、それ以来17年ぶりの新刊だそうな。
そらそうだろうなあ、こんなに緻密に作り上げるんじゃあ、たくさんは書けないと思う。
 
例えば表題作の『息吹』はまさしく別世界の物語。
人間は、肺を、空気に満たされた新しいものに毎日交換します。使用済みの肺は新しい空気を補充されて、また別の誰かの胸に装填される。
なんだそりゃ??と思うでしょ。だって別世界ですから。
科学者は、人類の身体の構造を探求し、肺から送られた「空気」が細胞を動かし栄養を隅々まで送りこむことを知り、さらには、その空気こそ宇宙そのものなのだと知る。
現実の宇宙のはじまりはビッグバンというアレだとされておりますが、この作品でビッグバンに相当する宇宙のはじまりは、何者かの偉大なる「息吹」なのです。風が吹いて、その空気の広まりが宇宙を押し広げるというか。
風はやがて止む。宇宙の限界を知ってしまった科学者の諦観や覚悟に、とても心揺さぶられる。ああうまく説明できねえ。これネタバレなんだけどゲローDASH!
 
他の8編も驚異の世界観です。どれもキラキラと新しい。
あつ森のすっげー未来版みたいな『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』とかチューキラキラ
『不安は自由のめまい』のパラレルワールドの扱い方にも度肝を抜かれた。
 
すばらしい。
非常~に面白かったです。
 

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