管理会社が人を採用できないとマンションも危機 | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
一人ひとりが自分らしく活躍しながら、力を合わせることで豊かに暮らす、新しいコミュニティ型社会を目指して・・・

こんにちは! 廣田信子です。

 

管理会社で

フロントの人材確保がたいへんだということは、

共通の認識です。

 

いくつかの管理会社の方にお話を聞きましたが、

どこも、大変厳しくなっている…と言います。

 

まず、新卒採用に苦労しています。

 

大手の管理会社でも、

採用予定人数の6割しか採用できなかった、

内定者の半数近くが辞退してしまった、

というような状況があります。

 

今春の採用事情は最悪だったようですが、

来春に向けての今の採用戦線も

より厳しくなっているようです。

 

これだけ売り手市場で、求人倍率が高いと、

管理会社は選んでもらいにくくなるのです。

 

給与水準、福利厚生はもちろん、

今の若者は、「働き方」にも敏感です。

 

管理組合が相手で、

土日が休みにくいというだけで、

かなりのハンデなのです。

 

終身雇用が崩れている今、

今の若者は、将来のキャリアプランにも敏感です。

 

自分がやる仕事が、どんなスキルとなって、

自分自身のキャリアになっていくのか…。

 

そう考えたときに、

管理会社は新卒の学生によって、

魅力的な職場と言えるか…です。

 

さらに、一旦採用できても安心できません。

 

今、中途採用市場も活況ですから、

より年収がいいところ、

より休みがとりやすいところ、

より将来的に役立つキャリアが身につくところ、

 

に転職しようと

管理会社を辞めていく人が少なくないのです。

 

せっかく新人社員を育てて、

フロントとして独り立ちできるようになったのに、

 

土日に休みが取れないことで、

彼女との関係にひびが入りそう…といって

転職してしまった…と

がっくり肩を落とす管理会社の方がいました。

 

若い人たちの転職先は、

同じ管理業界でなく、ほとんどが別の業界だといいます。

 

新卒が入ってこない、

やっと独り立ちした人が辞めてしまう

という状況が続くと、

 

がんばっている社員の負担が

どんどん重くなっていきます。

 

まじめで能力がある人ほど、仕事を振られ、

働き方改革と言われている中で、

真逆な働き方をしなければならなくなります。

 

本当なら、他部署の経験を積ませるなど、

社内でのキャリアを築いてあげたくても、

現場の人手不足でそれもできません。

 

そうなると、

モチベーションを維持するのが難しくなりますし、

自分のキャリアプランとして、

このままでいいのだろうかという不安も生じます。

 

で、優秀な若手社員は、

他の業界への転職も可能なので、

転職を考えるようになってします。

 

同じ管理業界で、

より待遇がいい会社に転職するチャンスと

とらえる人もいます。

 

 

フロントは、

専門職として中年以降の中途採用も多いのですが、

 

自社で教育するしっかりした体制を持っているところは、

多くはありません。

 

待遇面でも、

決して給与は高くはありませんし、

他の社員との格差があったり、

中には契約社員で1年契約というような形態もあります。

(これは、ほんとうによくないと思います。)

 

で、ある管理会社の採用担当の方が、

うちは、他の管理会社でフロントをしていた人は

採用しない。

 

マンション管理もサービス業だから、

サービスマインドがあって

コミュニケーションスキルがある人を採用して、

 

専門知識については、採用後しっかり教育し、

現場でサブにつくことで経験させてから、

独り立ちさせている…と。

 

フロント経験者は、

他の管理会社での仕事の仕方のくせが

なかなか抜けないので、

かえって難しいし、

 

やめるには

それなりの事情があるかも知れないから…と。

 

でも、そんな余裕がなく、

即戦力として、

他の管理会社でのフロント経験者を採用して、

ほぼ、そのまま現場に出している

管理会社もあります。

 

その場合は、

やはり仕事の質にバラツキがでるのは否めないでしょう。

 

採用時に

働くモチベーションに問題があると感じても、

 

とにかく人がいないと、

管理委託契約通りの業務ができないし、

 

これ以上、残った人間にカバーさせていたら、

もっと人が辞めてしまう…という状況で、

慎重に選んでいる場合じゃない…という本音も。

 

 

じゃあ、この状況をどうすればいいか…です。

 

社員の給与水準を上げて、ブラックな働き方をさせず、

教育システムを整えて、

本人のキャリアプランが立つような会社にする…

 

フロント専門職の待遇を改善して、

教育システムを整えて、

やる気があって優秀な人が目指せる役職を

きちんとつくってあげる…

 

人材確保が難しい今こそ、

それをすべきなのですが、

管理会社がそこに本気で投資できるかどうかです。

 

すぐには、結果が現れませんし、

現場では、今、この時に人が必要なのですから。

 

 

管理会社が働きやすい魅力がある職場になるよう、

小さな改善の努力を

積み重ねていくしかないのですが、

 

それでも、

採用がますます厳しくなると思われる状況では、

 

フロントを守るために、

あまりにわがままな管理組合は

管理会社の方から遠慮するということは

増えるだろう…と。

 

ただでさえ、不足しているフロントが、

退職したり、

うつになって長期療養になんてなったら

たいへんな損害ですから。

 

さらに、

優秀なフロントは、

フラッグマンションや利益が大きい大規模マンションに

割り振り、

 

その分、小規模で利益が出にくいマンションには、

新人を割り振る…

というような選別はせざるを得ないだろう…と。

 

 

では、管理組合としてはどうしたらいいんだろう

と言う話になったら、

 

あるマンション管理士の方が

 

管理組合も

いいフロントについてもらいたいと思ったら

レベルアップに必要なお金を負担すべきだ…と。

 

そうは言っても、

管理員の最低賃金アップに基づく管理委託費アップにも、

なかなか理解が得られないのに、

 

フロントの待遇改善、人材確保のために、

管理委託費を上げてくれといって、

管理組合が受け入れてくれないだろうことは、

管理会社が一番よく知っています。

 

 

今、自分たちのマンションのフロントが

そこそこよくやってくれていると思ったら、

 

無理を言い過ぎないようにして、

大事にした方がいいということは言えると思います。

 

いまだに、自分の都合で、

すぐにマンションにフロントを呼びつける理事長や、

 

夜中のメールにすぐに返信がないと言って怒る理事や、

 

少し対応が遅いと、

すぐフロントを変えろ…という管理組合もあるのです。

 

言うべきことは言わなければならないけど、

常に上から目線で、

叱りつけたり、命令するような言い方をするのは

せめてやめたいです。

 

相手の立場も尊重して、

相手が受け入れやすい場所と話し方を選んで

アサーティブに伝えることを、

心掛けたいです。

 

管理会社がいい人材を採用できないことは、

マンションにとっても危機なのですから。

 

 

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