こんにちは! 廣田信子です。
週末に開催されたフォーラム会場は
熱気にあふれていました。
テーマは、
「マンションの未来ビジョンを考える」で、
各分野からの講演の後、
講師陣が、管理組合の疑問に答えるQ&Aコーナーには、
たくさんの疑問が寄せられました。
その中には、
フォーラムのテーマとは、少しずれますが、
管理委託費の値上げに関する質問が多数ありました。
「未来を考える」前に、
これが、管理組合の目の前の問題なのだという
現実を見た気がしました。
実は、その前日に、
少人数の講座を持ち、
そこに参加された管理組合の方に、
管理会社から管理委託費の値上げの申し入れがあったか
…と聞くと、8割の方の手が上がりましたから、
値上げの申し入れは
当たり前に行われていることなのだと
実感したところなので、
それが、裏打ちされた形となりました。
質問用紙に書かれた内容は、下記のようなものです。
(実際は、もう少しきつい言葉で、
管理会社名入りのものも多かったですが…)
・管理会社から突然管理委託費の値上げ請求があり、
これを了承しないなら契約を更新しない…と言われた
こんなことが許されるのか。
・値上げの根拠が不明確だ。
こんな一方的な値上げ請求は、
プレゼンで言ったことを裏切る詐欺じゃないか。
・現場立ち合いや臨時理事会出席は、
委託契約外なので別料金を請求すると言われた
これは正当な要求なのか。
こういった疑問に、
私がお答えした内容をここに残しておきたいと思います。
マンション管理業は労働集約型産業なので、
最低賃金の引き上げ、人手不足による人件費の高騰、
下請け業者からの値上げ要求、働き方改革への対応等で、
管理委託業務を行うためのコストが上昇し、
管理組合にその分の負担をお願いしなければならない
という現実があるのは事実です。
ただ、中には、
これに乗じて、利益率を回復しようと、
過大な値上げ要求をしてくるというケースもあるようです。
まず、上げなければならない理由をよく聞いて、
納得できるかどうか…の判断が必要になります。
突然、大幅な値上げを飲むか、
飲まないなら管理委託契約を切る…というのは、
脅迫のようで、あまりにも不誠実じゃないか…
と思うのは当然です。
原価に関わる部分を丁寧に説明し、
管理組合の会計も考え、
仕様変更等で値上げ幅押さえる方法も提示し、
その上で、協議するというのが、
本来の信頼関係に基づいたやり方だと思います。
ですから、
一方的に大幅な値上げを飲まないなら
管理委託契約を切る…というのは、
もう、「おたくの管理組合とは付き合いたくない」という
意思表示のようなものなのです。
もう付き合いたくないから、
信頼関係の維持も必要ないのです。
なぜ、そういう態度になるのかは、
まず、会社の方針によって、
管理組合への対応は大きく変わるのです。
他社との受託件数競争で、
とにかく管理物件を増やすのが会社の大方針のときは、
「こんな価格では赤字でしょう」という価格で、
受注する管理会社もありました。
そのリプレイス合戦で、各社が利益率を下げ、
かなり厳しい状況になっているときに、
最低賃金の上昇等によるコストアップがあり、
それが当面改善される見込みがないことから、
この際、
受託件数より利益率を上げることを大方針に上げ、
利益率の低い物件、小規模な物件は、
受託管理をするのをやめるという方針に転換する会社が現れ、
それに他社も追従する傾向が顕著になったのです。
管理会社が自社にとって大事なお客とそうでないお客を
選別しだしたのです。
ですから、
先に、管理委託契約を終わらせたい意図を持っていて、
それを正当化するために、
管理組合が飲めないような条件を提示する
という場合もあるのです。
どういう管理組合との関係を終わらせたいか
ということに関して、
先日、管理会社側の言い分について書きましした。
https://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12549007152.html
つい、数年前に、リプレイスで、
いいことばかり言って、受託をしておきながら、
急に、大幅値上げを言い出すのは許せない…と
思う管理組合の気持ちも分かりますが、
契約は多くは1年ごとの更新で、
数年前の提示内容を、そのまま維持しなければならない
と主張することはできません。
会社の方針が変わったからといって、
手のひら返しのように強気な要求をする管理会社に、
不信感を持つのも分かります。
でも、
「もう、おたくの管理組合とは付き合いたくない」
と言うがごとくの申し入れをする管理会社に、
固執する必要がありますか?
管理組合の側が一致団結できるのであれば、
そんな管理会社に固執せずに、
管理会社を変更すればいいのです。
管理組合側がしっかりした意思を持っていれば、
必ず、別の管理会社を探すことができます。
先日、メールをくださった管理組合は、
管理会社からの値上げ要求に屈しないで、
新たな管理会社を探そうと、
理事会と住民が一体になってリプレイスに取り組み、
結果、値上げどころか、
これまでより安い管理委託費で引き受ける管理会社と出会い、
とてもいい管理員さんにも巡り合ったのです。
大幅な値上げ要求が、
住民の関心と団結のきっかけになって、
よい結果を引き寄せることになったから、
かえって、よかった…と。
そんなケースもあるのです。
管理会社が、誠実に
値上げや仕様変更の提案をしてきたか、
それを見極めて、
やむを得ないところは、
管理組合側も受け止める必要があります。
どうしても信頼関係が損なわれた場合は、
固執しないで、別の選択を考える…
ということなのではないかと思います。
3カ月以内に新しい管理会社が見つからなかったら…
と焦る必要はありません。
暫定契約で、
新たな契約が決まるまでつなぐことは可能です。
現管理会社の妨害もないのですから、
しっかり新たな管理会社選びに取り組んでください。
…と話しました。
ぜひ、管理会社の方針変更に振り回されることなく、
主体的に行動できる管理組合であってほしい
…と思っています。
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