民法改正で管理組合が知っているべきことは… | 廣田信子のブログ

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こんにちは! 廣田信子です。

 

令和2年4月1日に、改正民法が施行します。

 

ずっと変わっていなかった民法が

大幅に変わるということで、

 

管理組合に関することでは何か変わるの?

と聞かれることが増えました。

 

私は、もちろん、法律の専門家ではありませんが、

そうも言っていられないので、

 

できるだけ分かりやすく伝えられるように、

少し整理してみました。

 

管理組合運営に直接影響がある改正はありませんが、

 

管理組合に関係ありそうなところを拾ってみると…

 

 

1. 法定利率の変更

 

債務弁済が遅れた場合の法定利率は、

現行法では5%でしたが、

改正後は、3%となって、

3年ごとに自動的に見直す制度となりました。

 

管理組合の管理費等の遅延損害金の利率は、法定利率を参考に、

5%と管理規約に定められていることが多いと思います。

 

規約で定められている場合は、

それが優先されますので、そのままで問題ありません。

 

もし、規約に遅延損害金の利率が定められていない場合は、

4月より法定利率に合わせて3%を適用することになるでしょう。

 

法定利率が変わったんだから、

規約の遅延損害金の利率も5%から3%に変更すべき

というような声が上がることは…

たぶんないでしょうね、笑。

 

 

2. 債権の消滅時効の時効中断事項の変更

 

今回、消滅時効の期間に対する区分が整理されましたが、

管理費等の消滅時効が5年ということは変わりません。

 

これまでは、時効中断には、

裁判等の法的手続きか、

債務者の承認(債務を認める書面、一部の弁済等)

が必要でした。

 

今回の改正で、

裁判や調停の和解手続きという法的なものでなくても、

債務者と協議を行っていれば、

それが中断理由になります。

 

相手が債務を認めることを渋っていても、

「協議を行う旨の合意が書面でなされているとき」は、

それが中断理由になるということですから、

 

話し合いを始めているのに、

時効にならないように訴訟手続きをしなくては…と

急ぐ必要はなくなるということです。

 

 

3.請負人の担保責任が変わる

 

改正前は、「瑕疵担保責任」と言われていたものが、

改正後は、「契約不履行担保責任」と名称が変わりました。

 

これまで、注文者は「仕事の目的物に瑕疵があるとき」

瑕疵の「修補請求」または「損害賠償請求」ができ、

瑕疵によって契約目的が達成できない場合に限って

解除ができると定められていました。

 

改正後は、

担保責任に関しては有償契約の原則となる

売買契約の規定が準用され、

 

「仕事の目的物が契約不適合にあたるとき」は、

注文者は、

•履行の追完(修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)請求

•代金の減額請求(相当の期間定めても履行追完がされないとき)

•損害賠償請求

•解除

ができるようになります。

 

大規模修繕工事が契約通りに履行されていない場合等、

相手との交渉の幅が広がるということです。

 

 

4.売買における売主の瑕疵担保責任が変わる

 

民法改正により、

「瑕疵」という文言は使われなくなり、

「契約の内容に適合しないもの」という文言になりました。

 

そして、取りうる手段としては、

これまでの「解除」、「損害賠償」に加え、

「追完請求」、「代金減額請求」も認められました。

 

マンション購入後、建物の不具合が発見された場合、

売主に対して、ちゃんと直してくれ、

直せないなら、こちらで直すからその分減額を…というような

請求もできるようになるということです。

 

 

その他にも…

委任契約・請負契約に係る改正もありました。

より責任の範囲を明確にする趣旨です。

 

それによって、管理会社や施工会社等との

委任契約書、請負契約書の内容が変わるはずです。

 

契約書の内容が管理組合に不利にならないよう

しっかりチェックした方がいいですね。

 

 

また、外部者と賃貸借契約がある場合は、

その部分が使用できなくなった場合の規定等が

改正されましたので、

契約の内容も見直す必要が生じると思います。

 

 

民法改正については、

管理組合の役員の方には、

このくらい知っていて頂ければ…

と思うところを拾ってみました。

 

知らないと、何となく不安でしょうから…。

 

改正の全貌、正確な内容等は、

ネット上で確認できますので、

くわしく知りたい方は、そちらを見てください。

 

そして、直接関係がありそうな事項がある部分は、

法律の専門家にご相談くださいね。

 

 

 

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