唐突ながら、

 

またまた、例によって、終わった頃に夏の文庫フェアでございます。今回は、いわゆる御三家編。

 

 

まずは、集英社「ナツイチ」から。

⚪お迎えに上がりました。国土交通省国土政策局幽冥推進課/竹林七草

 

 

入社当日に会社が倒産、路頭に迷った朝倉夕霞。公園の掲示板で国土交通省名義の【臨時職員募集】の貼り紙を見つけ、藁にもすがる気持ちで応募するが、そこは「地縛霊」の立ち退きを担当する部署で!?

 

https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-745631-8&mode=1

 

 

コレね、「会社が倒産、路頭に迷った」「藁にもすがる気持ち」辺りに惹かれてしまって。じゃ、ひとつ、ライトに楽しませて貰おうかしら、というつもりで手に取ったんだけれども、なかなかどうして、おちゃらけとジ〜ンが程よくミックスされていて、面白かった。

 

「プロローグ」と、「1章 今日から私も公務員?」「2章 今夜もまだまだ帰れません(涙)」「3章 橋と柱と人柱」という章立てなんですが、殊に「2章」は、非常に良いです。

 

帰宅中の事故で死亡し、妻と生まれたばかりの子供が待つ自宅に帰れなかった夫。地縛霊となり、道行く車に乗せてもらったりするのだけれど、どうしても自宅には入れない、妻子に会えない。結果、何年経っても事故現場に出没する。さて、そんな夫にどうやって「成仏」してもらいましょうか、というお話。

 

以下、ネタバレ気味ではありますが、夕霞の奮闘により、どうにか再会を果たした夫婦の会話です。

 

「……この子は、心生というのか?」

「そうよ。あなたが事故に遭って亡くなったと聞いたその日に、私が名付けたの。この子は、あなたの心を受け継いで生きてくれる子だから――心生」

 

心生で「ここみ」と読みます。

 

ということで、是非。何なら立ち読みでも。けど、うっかりすると「私、何で泣いてるんだろう」状態に陥って恥ずかしい思いをします。

 

ちなみに続巻あります。

 

 

⚪イノセント/島本理生

 

 

島本理生さん、以前読んだ『よだかの片想い』『君が降る日』が良かったので。でも、すみません。まだ読了しておりません。

 

 

お次は、新潮社「新潮文庫の100冊」。

 

⚪卵の緒/瀬尾まいこ

 

 

掴みどころはないけどとても確かなもの。親子も家族もそんな絆でつながっている。デビュー作、待望の文庫化!

僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵の殻を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。

家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母姉弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく(「7's blood」)。優しい気持ちになれる感動の作品集。

 

https://100satsu.com/detail/index.html?book129772?cry

 

瀬尾まいこさん、2019年本屋大賞受賞です。と言いつつ、受賞作『そして、バトンは渡された』は読んでません。何となく似たテイストなのかしら、と勝手に想像してコレを。

 

「卵の緒」はもちろんとして「7’sblood」が良かった。

 

そうね、親子とか家族とか・・・結局、大切なのは血の繋がりじゃなく、どれだけ同じ時間を過ごしたかってことなんでしょう。同じ景色を見て綺麗だねって言う、同じものを食べて美味しいねって言う、そういうことの積み重ねです。

 

はい、書いてて恥ずかしくなってきましたが、何しろ、もともと夫婦には、血の繋がりなんて無いんですから。

 

元どおりになるものなど、この世には一つもない。

 

つまり、そういうことです。

 

 

⚪楽園のカンヴァス/原田マハ

 

 

原田マハさん、色々読んでますが、ほぼハズレ無し。で、おもむろに原点へとむかったのですが、これまた読了しておりませぬ。失礼いたしました。

 

 

最後に、角川書店「カドフェス2019」からです。

 

⚪誤算/松下麻理緒

 

 

遺産を狙う男女の、欲望渦巻くノンストップ狂騒曲!

前夫のために蓄えも職場も失った看護師川村奈緒は、資産家の老人鬼沢の世話をするため大邸宅に住み込むことに。遺産のことしか頭にない一族に憤りを覚える奈緒だったが、鬼沢との結婚話が持ちかけられ――

 

https://www.kadokawa.co.jp/product/200707000364/

 

「蓄えも職場も失った」に惹かれて、というか、リアルで義父(Mommy の実父)が色々と迷惑な遺産(?)を遺して亡くなったこともありまして・・・

 

あまり読んだことのない傾向のものでしたが、まあ、登場する皆さん、それなりにドロドロしていて面白かった、ような気もします。

 

「人が死にます」

 

と言ってミステリー好きの Mommy(誰か死ぬのがオモシロイの必要条件らしい)に勧めたところ、ちゃんと楽しんでくれたようです。彼女的には、死ぬ人の数がちょっと少なかったかもしれませんが。

 

 

⚪ぼんくら陰陽師の鬼嫁/秋田みやび

 

 

ふしぎ事件では旦那を支え、家では小憎い姑と戦う!? 退魔お仕事嫁物語!

やむなき事情で住処をなくした野崎芹は、生活のために通りすがりの陰陽師(!?)北御門皇臥と契約結婚をした。ところが皇臥はかわいい亀や虎の式神を連れているものの、不思議な力は皆無のぼんくら陰陽師で……!?

 

「やむなき事情で住処をなくし」「生活のために通りすがりの〜〜〜契約結婚」という流れに、つい・・・

 

こちら、もとは「富士見L文庫」ということで、正に良い意味で「ライト」。そういうふうに楽しめました。(予定はないみたいだけど)何かすごくアニメ映えしそう。

 

ただね、芹さんは、タイトルにあるほどの「鬼嫁」ではありませんでした。そこがちょっと残念(?)。

 

ちなみに、これまた続巻あります。

 

 

⚪天気の子/新海誠

 

 

 

全世界待望の新海誠監督最新作『天気の子』、監督みずから執筆した原作小説

新海誠監督の2019年新作アニメーション映画『天気の子』は、天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。監督みずから執筆した原作小説。

 

https://www.kadokawa.co.jp/product/321903000333/

 

と、これじゃ何が何やらさっぱり分からないので、カバーの惹句を。

 

高校1年の夏、帆高は離島から家出し、東京にやってきた。連日振り続ける雨の中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は不思議な能力を持つ少女・陽菜に出会う。「ねぇ、今から晴れるよ」。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――。天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。長編アニメーション映画『天気の子』の、新海誠監督自身が執筆した原作小説。

 

なははは。うっかり発売日に買ってしまいました。恥ずかしいなあ、もう。

 

それはともかく、新海誠さんの小説は、まあ、当然なのかもしれませんが、文字の先に「絵」が見えまして、まるで映画を観るようです。

 

ホントの映画の方は、まだ観てませんが、そうですね、一応、そのうち観るかも、かな?

 

で、以下、いきなりネタバレ含み。終盤、陽菜に向けて帆高のセリフです。

 

「もういいよ! 陽菜はもう、晴れ女なんかじゃない」

「もう二度と晴れなくたっていい!」

「青空よりも、俺は陽菜がいい!」

「天気なんて――」

「狂ったままでいいんだ!」

 

取りようによっては、いささか反社会的な匂いがしないでもないですね。でも、それを含めて「大丈夫」というところが、新海さんの狙いなのかも、という気もします。

 

何にしても、まずは、楽しめました。

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

どういうわけか、この夏の Daddy さん、(現実には、そんなこと全然ないんだけれども)「衣食住大ピンチ」から始まるモノに、妙に釣られてしまって困ってます。

 

自分のことではありますが、色々と大丈夫?

 

 

 

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セカイ(世界、あるいは社会)がどうであれ、

ただ、目の前の人と一緒にいたいと願う、

 

それは、我儘で勝手なことで、

 

けれど、

 

何があってもこの人と離れない、そんな想いが、

セカイ(社会、あるいは空気)を変えるかもしれない。

 

例えばそれで「セカイを狂わせた」と言う人がいるとしても。

 

 

と、まあ、そういうことなんじゃないかしら?