退職金 財産分与 計算方法

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退職金の財産分与のポイントや計算方法を徹底解説!


こんにちは、まいみらいです。

 

老後の主な収入源といえば年金になりますが、年々その支給額は減る一方。

 

よって、離婚時に退職金を財産分与に含めることが出来るか否かは、とりわけ熟年離婚においては重大な問題となります。

 

そこで今回は退職金と財産分与についてポイントや計算方法などの詳細を取り上げます。

 

退職金の財産分与を受けられるか否かで、老後の生活の安定が大きく違ってきますので、権利がある場合はしっかり確保すべきです。

 

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そもそも財産分与とは

はじめにそもそも財産分与とは何か?についてお伝えします。

 

財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いてきた財産を離婚に際して清算し、お互いの寄与度(貢献度)に沿って分け合うことです。

 

財産分与をする時は、離婚時の夫婦の財産を特定して、それを半分(50%ずつ)の割合で分けることが一般的となります。

 

そして財産分与の対象となるのは、夫婦が婚姻中に夫婦の協力により、築いた全ての共有財産です。

 

名義は夫・妻のどちらであろうと関係なく、二人の共有財産として扱われます。

 

主な共有財産の例は次の通りです。

 

  • 現金(給与)・預貯金
  • 不動産
  • 株などの有価証券
  • 保険金・・・などなど

 

なお結婚前の預貯金や所有物、相続した財産などは「特有財産」といい、財産分与の対象外となります。

 

※財産分与の詳細は「離婚時の財産分与の対策はこれを読んでガッチリ確保」で取り上げています。

 

 

 

退職金も夫婦の共有財産となる

退職金は賃金の後払いという性格があります。

 

その為、退職金も現金(給与)と同じ様に、財産分与の対象となる場合があります。

 

退職金も婚姻中に夫婦が協力し、築き上げた共有財産といえるからです。

 

退職金とは、主に夫が長年にわたり、職場労働に従事した結果の褒美の様なイメージだと思います。

 

とはいえ、夫が労働に集中できたのも妻のサポートがあってこそです。

 

妻のサポートがなければ、家事や育児も夫が全てやらなければいけません。

 

その様な環境では、夫は仕事、家事育児と忙しすぎて仕事に支障をきたし、途中退職していたかもしれません。

 

ですので、当然ながら退職金も財産分与の対象となりえるのです。

 

 

 

退職金が財産分与の対象となるケース

それでは、退職金が財産分与の対象となるケースを次の2つに分けてお伝えします。

 

  • 退職金が既に支給されている
  • 退職金の支給前に離婚

 

 

退職金が既に支給されている

まずは夫が退職をして、会社より退職金が払われてから離婚するケースについてお伝えします。

 

退職金は既に受け取っているので、当然ながら財産分与の対象となります。

 

なお、退職金の支給がされたのがかなり前で、離婚時には既にその退職金が残っていない。

 

こういった場合には、財産分与の対象となる財産がもはや無いので、財産分与の対象外となる可能性が高いです。

 

 

退職金の支給前に離婚

次に退職金が支給される前に離婚するケースについてです。

 

まずは、そもそも退職金が支給されるかどうかの確認が必要です。

 

たとえば、退職金の規定で勤続年数が10年以上と定めている場合は、夫にその勤務実績がなければ、そもそも支給されない為、財産分与の対象になりません。

 

支給要件を満たしたとして、次に問題となるのが、将来の退職時に受け取る退職金を前もって財産分与が可能かについてです。

 

判例では、この問題を次の様に判断しています。

 

将来の退職金は、近い将来に退職金を受給できる蓋然性が高い場合には、財産分与の対象となる(東京高判平10・3・18)

 

これを簡単にいえば、「将来、退職金が支払われる可能性が高い」場合は、財産分与の対象となるということです。

 

 

 

退職金が支給される可能性が高い状況とは

それでは将来、退職金が支払われる可能性が高い状況とは、どの様なものかをお伝えします。

 

退職金が支給される可能性が高い状況かを判断する上において、主に次の2つのことを重要視されます。

 

  • 退職までの残り期間が短い
  • 退職金支給の可能性が高い勤務先である

 

では個別に見てみましょう。

 

 

退職までの残り期間が短い

退職時期があまりにも先だと、実際に退職金が受け取れるかどうかがあやふやなので、財産分与の対象にはできません。

 

多くの場合「10年以内」に退職するかどうかで評価します。

 

10年以内に退職予定なら財産分与に含めます。

 

判例でも、10年以上先の退職予定の場合には、退職金は財産分与の対象外にすることがほとんどです。

 

なお、私も夫の退職金を財産分与の請求を考えていましたが、夫の定年退職まで20年以上あったので対象から外しました。

 

20年以上先であれば、現実化することが不確実な財産と判断される為です。

 

 

将来、退職金が支給される可能性が高い勤務先である

勤務先がどのような状況であるかも大きなポイントです。

 

会社規模が大きく、経営状況も問題なく、退職金の規程が就労規則などで明記されている。

 

この様な勤務先なら、退職金が得られる可能性が高いので、財産分与の対象に含めることができます。

 

特に公務員の場合は、これらがしっかりしている為、退職金を分与対象に含めやすいです。

 

一方、中小企業や経営状況が不安定、退職金規定がない勤務先だと、退職金を財産分与の対象に含めるのは困難な場合が多いです。

 

 

退職金が支給される可能性が高い状況まとめ

まとめると、退職金が財産分与の対象となる可能性が高いのは次の要件を備えた時です。

 

  • 数年以内に退職が見込まれる
  • 会社規模が大きい
  • 経営状況が良好
  • 退職金規定が明確である

 

以上のことは、将来の退職金の財産分与で争いとなった場合、家庭裁判所で認められるか否かの大きな基準です。

 

ですので、当事者の間で退職金の見込み金額を算出して、財産分与の対象とすることに合意できれば何ら問題はありません。

 

 

 

退職金の財産分与の計算方法

退職金を財産分与の対象にした場合の計算方法についてお伝えします。

 

ここでも次の2つのケースで、計算方法などが変わってきます。

 

  • 退職金が既に支給されている
  • 退職金の支給前に離婚

 

それでは個別に見てみましょう。

 

 

退職金が既に支給されている場合

財産分与の対象となるのは、退職金以外の共有財産と同じく「婚姻期間に対応する部分だけ」です。

 

また婚姻中であっても、別居後の期間までは含みません。

 

別居後の財産は、夫婦の協力によって築いたとは考えにくい為、基本的には別居時を基準として計算します。

 

これを前提として、退職金の財産分与の基本的な計算方法は次の通りとなります。

 

財産分与の対象額=退職金÷勤続年数×婚姻期間(同居期間)

 

つまり、勤続1年あたりの退職金の額を算出して、1年あたりの金額に婚姻期間を掛けるということです。

 

それでは例を出して計算してみます。

 

夫の退職金:1800万円

勤務年数:40年

婚姻期間(同居期間):25年

妻:専業主婦

 

【財産分与の対象額】

1800万円÷40年×25年=1125万円

 

財産分与の分与割合を「50%」ずつだとすると、妻は「562.5万円」を退職金からの財産分与として受け取ることが出来ます。

 

 

退職金の支給前に離婚

退職金支給前の計算方法の考え方は何通りかありますが、ここでは離婚時分与説についてお伝えします。

 

将来の退職金ははっきりしません。

 

よって別居時または離婚時に退職した場合の退職金を財産分与の対象とします。

 

それを勤務期間と婚姻期間で按分する方法を採られることが多くあります。

 

この方法を採るには、夫の勤務先から退職規定が載った就業規則などの書類を入手し、自身で当該退職金を算出する。

 

または勤務先の給与計算の担当者に頼んで算出をお願いするかです。

 

それでは例を出して計算してみましょう。

 

計算方法は先ほどと同じです。

 

別居・離婚時:55歳

夫55歳時点の退職金額:1200万円

夫55歳の時点の勤務年数:35年

婚姻期間(同居期間):25年

 

【財産分与の対象額】

1200万円÷35年×25年=約857万円

 

財産分与の分与割合を「50%」ずつだとすると、妻は「428.5万円」を退職金からの財産分与として受け取ることが出来ます。

 

 

 

退職金の財産分与の請求方法

退職金の財産分与の請求方法ついてお伝えします。

 

基本的には、退職金以外の預貯金や不動産などの財産分与と同様に、まずは夫婦の話し合いで決めていきます。

 

その際は、先ほどお伝えした計算方法をベースとしましょう。

 

場合によっては夫婦の合意を前提に、自由に金額や支払い方法を決めることも可能です。

 

話し合いの末、合意に至れば、その内容を証拠に残す為、必ず離婚協議書(公正証書)を作成することが必要です。

 

※離婚協議書(公正証書)の詳細は「離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」で取り上げています。

 

 

夫婦の話し合いで合意できない場合

退職金の財産分与について夫婦間で合意できない場合は、調停の場での解決を目指すことになります。

 

調停とは、端的に言うと、裁判所内の中立的な第三者が、夫婦の間に入って行われる話合いです。

 

その中立的な第三者が、夫婦に問題解決の為のアドバイスや、時には解決案を提示するなどして、夫婦が合意できるように導きます。

 

離婚前であれば、「離婚調停」の申し立てを行い、離婚請求と合わせて話し合いをします。

 

離婚後であれば、「財産分与調停」の申し立てをすることになります。

 

離婚調停でもなお合意できない場合は、最終的に離婚訴訟を提起し、裁判所に判断を仰ぎます。

 

※離婚調停についての詳細は「もし協議離婚が決裂したなら、調停離婚を目指すことになります」で取り上げています。

 

 

 

退職金の受け取り時期

既に退職金が支給済なら、財産分与の受け取り時期は離婚時にすればいいだけなので難しくはないでしょう。

 

問題は将来の退職金についてです。

 

退職金は場合によっては数千万円ということもあります。

 

まだ支給されていない退職金を、離婚時に分与するとなると、支払う側の負担が大きすぎます。

 

退職金以外の財産が多くあれば、相手が離婚時の支払いを了承すれば受け取れますが、現実問題その様な人は稀でしょう。

 

ですので、実際に退職金が支給されたタイミングで、相手へ支払う方法が採られているのが一般的です。

 

しかしこの方法は受け取る側とすれば、大きなリスクがあります。

 

たとえば、相手に知らせないまま定年前に退職して、その間に退職金を全て使い込んでしまう、といったこともあり得るのです。

 

よって、話し合いでは可能な限り、離婚時により満額に近い金額を支払ってもらえる様に交渉することが望ましいです。

 

 

 

まとめ

今回は退職金と財産分与についてポイントや計算方法などを取り上げました。

 

婚姻中にずっと専業主婦だった方は、自分の年金だけだと、老後の生活は余裕がなく厳しいものとなります。

 

ですので、財産分与や年金分割などを請求することはもちろん、退職金に関してもしっかりと請求して確保することが大事です。

 

その上で今回の記事が参考になったのであれば嬉しいです。

 

それでは最後までご覧頂きありがとうございました。

 

まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら

 

 

 

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