勝間和代さんのメルマガを読んで考えた日本語のコロケーションの変化今回の新型肺炎で日本語学校のオワコン化が加速するかも

2020年02月25日

ビジネスパーソン学習者のレッスンで楽しく使える教材になりそうな 糸井重里監修「オトナ語の謎」

この「オトナ語の謎」って本は、ずっと前に買ってあったんですが存在を忘れていて、先日たまたま発見して読んだら面白かったのでシェアします。

糸井重里監修 オトナ語の謎



この本は、糸井さんがおそらく敢えてユーモアと皮肉たっぷりに、色々なところでオトナに話される日本語を解説している本です。

この本の中には、使い方は明示されているものの意味には言及していないものも含まれていますが、糸井さん独特の解説を読んだりするのが楽しいです。

そこで、今回は日本語学校で学ぶ真面目な日本語にはないニュアンスや、学校では教えてくれないであろう日本語を紹介してみます。


☆☆☆☆☆☆☆


1 漢字の読み

・一日(いっぴ)

・明日(みょうにち)

・七月(なながつ)

いかがでしょうか?

この中で、上級クラスだと「明日」には言及することがあるかもしれないと思うんですが、「一日」や「七月」を授業で教えたことある先生っていますか?

これ、日本語学校で真面目に日本語を学んだ元留学生が日本企業に就職して知ったら、さぞ驚くことでしょう。


2 語彙

・落とし所

・端折る(はしょる)

・青天井

・カツカツ

これらも教わらなさそう。


「カツカツ」なんかが出てくるとしたら、上級クラスの副詞やオノマトペあたりだと思いますが、おそらくこの語彙よりもプライオリティが高いものが優先されて、学校で教える可能性は低そう。

学生が「カツカツってどういう意味ですか?」って聞いて来た時だけ、説明する機会があるんでしょうね。

因みに、この「カツカツ」の解説の中で糸井さんが紹介している使い方は、

きんきんにとんとんにしたいのですがゴタゴタ続きでばたばたしておりましてカツカツ何ですよ。

です。


3 カタカナ語彙のしかも省略バージョン

・リスケ(リスケジュール)


もう普通のカタカナ語彙だけで、留学生はイッパイイッパイなんです!

それを省略するなんて・・・


4 語彙の多義性

・とぶ


この本で紹介されている「とぶ」の使い方は3つあって、

1 ちょっと神戸へとんでもらえるか。(急な出張、強制的な移動)

2 午後の会議とんだから、急に暇になったよ。(無くなる)

3 高橋さん、◯◯支社にとばされたらしいよ。(左遷)


5 一般的な使い方とは異なる意味

・泣く

「・・・・・ここはひとつ泣いてもらえませんか?」
「わかりました。うちが泣きましょう!」

ここでは、渋々承諾するっていうくらいの意味です。


6 言外のニュアンスが含まれている語彙

・大問題

ここでは引用します。

大きな問題、というよりも「そのへんが頭にくる!」というニュアンスを含んでいる。

「あいつがヨーロッパ行くこと自体が大問題なんだよ」 
これ、この本を読むまで気づきませんでした。

確かに、主観的な怒りを表現するときに、敢えて客観的な印象がある「大問題」って使うかもな、と。


7 コロケーション

・手離れが悪い

・物理的に難しい/無理


これも、言われてみればそうでした!
 
特に後者は、オトナ語の中では「物理的に・・・」って言われると「無理なんだな」って思いますし。


8 他動詞

・名刺を切らす

これ、筆者は「そう言ってはいるけど、本当のところは名刺を忘れて来てるだけ」っていうことが言いたいんです。

ところが、私は「名刺を切らしておりまして。」と「〜てしまう」を使わないで他動詞を使うと、意志的な行動ってことになっちゃうんじゃないかな、って思うんですけど、どうでしょうか?


9 テンス

・〜じゃなかったでしたっけ

私が初級を教えていたとき、日本語初歩には例えば「遠足は来週の月曜日でしたっけ。」っていうような文法項目が出て来てました。

話を聞いた時点は過去だけど、その内容は未来といったような。

これ、最近の初級では取り上げられているんでしょうか?


10 受身 + くれる?

・たのまれてくれる?


これも、元留学生を悩ませそう。

さらに、日本語の初級の教科書では、こういう依頼の時って文末が「〜ませんか/ない?」ってなってることが多いので、それだけをよく覚えている人は混乱しそう。

で、本書からの引用。

かたちとしては質問だが、意味としては命令であるという、じつにオトナっぽい言葉。「はい」と言うしかない。

本当にそう!
 
この最後の例からも分かるように、表面的には日本語学校で習ったような意味だけど、オトナの間では実は違った機能やニュアンスでその日本語を使うんだよっていうことが面白く書かれているので、日本語の裏側をも知りたいビジネスパーソン学習者にはもってこいかな、と。


私だったら、ここに出て来ているオトナ語が使われている場面を設定して、会話練習とかするかも。

まあ、実際に授業で使わなくても、読んでるだけでも面白い本です。

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オトナ語の謎。 (新潮文庫)
糸井 重里
新潮社
2005-03-29



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オトナ語の謎。 (新潮文庫) [ ほぼ日刊イトイ新聞 ]
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ほな、さいなら! 


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akky_san at 21:22│Comments(0)教材 | 教科書

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