結果から言えば、いわゆる行った行ったのレースだった。土曜日のマルターズディオサが勝った紫苑ステークスを見れば前に有利な馬場だった。
そのマルターズディオサに乗った田辺がなぜストーミーシーで先行しなかったのか。あるいはスタートのよかったシゲルピンクダイヤはなぜ下げたのか。
その馬たちとは逆にスタートひと息の大外スマイルカナは捲くっていくように果敢にハナを取りにいった。それが負けてもハナ差2着に残った要因となった。
こう書けば、柴田大に出来て田辺、和田竜に出来ないと思われるかも知れないが、そうではない。彼らふたりもそうしたかったのだ。
それがなぜわかるかって?
先行有利な馬場なので先行した方がいい。これは騎手ならボクなんかの素人よりはるかにわかっている。それが出来ないのは脚質や馬の気性、枠番があるからだ。行きたくても出来ない追い込み脚質の馬やスタートで出遅れ癖のある馬が内枠に入ってしまったなどだ。
では、シゲルピンクダイヤやストーミーシーはそのどれに当てはまるのか。
ストーミーシーから言うと、ボクは前走の朱鷺ステークスを58kgでアタマ差2着に走った疲れ、反動があったんじゃないかと思う。ちょっと心配だったのは中一週と詰まったローテーションだ。もちろん陣営としては中間の状態を見て大丈夫だろうとの判断の出走だったはずだ。
鞍上の田辺は前日の紫苑ステークスで番手から早めの競馬で抜け出して勝っている。あわよくばストーミーシーでもそういう競馬をしたかったと思う。前走を1400mで今回1600mなのも楽に追走が可能の思惑だったはずだ。ところがレース後の田辺のコメントは前走の疲れがあったとしている。行きたくとも行けなかったと言うようなニュアンスだった。
シゲルピンクダイヤはどうだろう。ゲート入りを手こずらせる馬によくありがちのバツグンスタートだった。休み明けなのでそのまま行かせれば掛かってしまう。なんとか馬の後ろにつけて先行したい。ゲート入りをイヤがったように、休み明けの久々ということもあってピンクダイヤの内に刺さって埒を頼ろうとする悪癖が出たようだ。こうなると先行するとか以前の制御することで一杯になってしまった。叩かれた次走ということだろう。
勝利を争ったゴール前の攻防は横山典の巧いフィニッシュは素直に褒めないといけないだろう。昨年52から55に増えたハンデ。単騎で行けた昨年のようにはいかないスマイルカナの存在。杞憂だった。この老練な手綱捌きの前には弁解の余地もない。