FF11日記

初回「ヴァナディール」からお読みいただけると幸いです。
特に「FF11一寸いい話」の原作者の方々は是非お願いします。

当世ギル事情

2020年10月04日 | 日記
2020年10月4日
souzouが商人を目指してこのゲームを始めた事は、当ブログの初めの頃書きました。
オンラインゲームという変動極まりない動きのおかげで、と言うより直接的には「星唄ミッション」というスクエニさん大サービスのおかげで、戦闘はしないはずだったsouzouがレベル99ジョブを9つにするなど、大分横道にそれた感じは否イナめませんが、商人の方も8ジャンルに渡って合成の高級職人になって居るので、まあ初期の目標は達成したと言えます。

そこで今回はお金=ギルのお話です。
今やゲーム開始後18年ということで、当初の万年ギル不足状態が信じられないくらい
新規の人も復帰者もギル不足に悩む状況ではなくなっているようです。
souzouがゲームを始めた2003年~2004年頃は、チョコボに乗るお金が足りなくて走って集合地に向かった話や、誘ってくれた人がチョコボ代を払ってくれた「ちょっといい話」が話題になるほどでした。

「souzouはこのゲームを始めてからお金の心配はしたことがありません」と、ブログで豪語しましたが、実は合成のおかげだけではなかったのです。
「当世ギル事情」という題名なので、過去のギル事情も思い切って書いてみることにしました。
ということで、過去のブログに書いた合成の部分を拾いだしてみます。
★「長い名前が損する話」
ヴァナは生活する為にギルがいります。お金稼ぎをしないと生きていけません。
リアルと同じで笑っちゃいますね。souzouはゲーム初期から、合成スキルをあげており、釣り・彫金以外は「師範」という一番上のランクまで上げているので、売るものには困りません。といっても確実に稼げるのは消耗品を売ることで、このあたりもコツコツ型で生きているリアルと同じでまた笑っちゃいます。
大体3000Gから8000G、平均すると5000G位の単価です。★

確かに一発ハマってとんでもなく儲かるレシピも存在はしますが、合成職人の安定した稼ぎは今引用したように、地道な行為の繰り返しで積み重ねたギルの方が多いのです。

そして合成初期にはある程度まとまったプール金がないと、大物を作れるようになる前に資金繰りがショートしてしまいます。
souzouが一気に大規模合成に入れた隠れた理由にヴァナのインフレがあります。
2005年前後に中華業者が跋扈し始めて、すさまじいインフレが起こりました。
このおこぼれをもらえた結果、プール金が稼げたおかげで合成の歯車が大きく回転
できたのです。

秘密のネタはアストラルリングです。
レベル10から使える指輪で25HPをMP変換でき、二つ装備するとMPが50増えるという低レベルでの超貴重品でした。
MPマックスの少なさに悩むガル、エル後衛にとっての宝物のようなリングです。
過去のブログを見てもらうと分りますが、倉庫7キャラで合成をしながら、souzou本体は赤白、赤黒でレベル上げパーティーに参加するようになっていました。
初期合成でそこそこの金はあったので、パーティに参加した時MPが多くて喜ばれるアスリンを当然のように手に入れていました。
宝箱ゲット品なのでsouzouにトライする力はなく当然競売購入でした。

当時倉庫キャラもレベル20までのレベル上げが必要でした。
今のような3国への自由な移動手段がなく、サブスキルを上げるためにはチョコボでウィンやサンドの合成ギルドまでチョコボで走らなければならなかったからです。
倉庫キャラの半分は後衛にしていたので、競売で見つけては買いを繰り返し、それぞれにアスリン2つを持たせていました。
souzou分を含めアスリンの数は10個に達していました。これらをいくらで買ったかは忘れましたが、一個数万ギルではなかったかと思います。
これが後に大騒ぎとなったヴァナインフレで、なんと1個100万ギルを突破してしまったのです。一番高く売った一つは170万ギルでした。
もっともアスリンの値上がりなど可愛いもので、スコピオハーネスなどは数千万ギルの値をつけたものでした。

この猛烈ヴァナインフレの中で、全てのアスリンを売り払いました。
レベルも上がって必要なくなったこともあり、まさしく僥倖ともいえる値上がりで
souzouの持ちがねはあの当時の時価で1千万ギルを軽く越え、合成のプール金になりました。原価が高くて儲けも大きい合成レシピにトライすることができたのです。
たとえば裁縫倉庫は高額だった原料のダマスク織物が買えるようになり、バーミを作りました。競売に出して1200万ギルで売れると同時に、souzou自身が自家製バーミを装着してパーティに参加できるようになりました。。
野良パーティーで現地のキャンプに着き、バーミに着替えた時の誇らしい気分を今でもほほえましく覚えています。
それだけにとどまらず、この不労所得を一気にぶち込んで鍛冶の分解能力をあげました。いままで「スキルが低すぎるようだ」と分解できなかったアイテムがどんどん分解できるようになると、これらを安価に入手しては片っ端から分解し、ダークインゴット等を大量に販売しました。
こうして本当に金に困ることは無くなっていったのです。

もっともよく考えれば、メインの赤魔導士が7年経ってもまだ当時のキャップである
75に達していないのです。レベルが上がらない限り武器防具に金もかかりません。
支出ゼロで合成で稼ぐだけなので、金に困る筈もなかったという訳ですね。

では現代に戻りましょう。
今合成職人の持ちがねは概ね1億ギルと言われているようです。
かく言うsouzouもエスカッションが始まる前は1億以上持っていました。
しかし支出ばかりで、完成するまで収入の無い途方も無い浪費システムであるエスカッションを始めてからは、減るいっぽうで5千万ギル近くがあれよあれよというまに消え去っていきました。これを救ってくれたのがゴブ箱です。
ゴミアイテムも多いのですが、たまに百万単位のアイテムや、既にブログに書いた
「太公望の釣竿」など貴重品を貰うことができました。

つい先日の事ですが、セカンドmaskiの不要アイテムを競売に出しているとき「エパミノダスリング」という見覚えのないアイテムが見つかりました。
手に入れた記憶が無いので、おそらくゴブ箱で貰ったものではないかと思います。
競売履歴をみて驚きました。なんと4000万ギルで売れています。
半信半疑で3950万で売りにだしたところ、翌日4000万ギルの入金がありました。
びっくり仰天です。
この時点で全キャラの持ちがねを拾い出して合計してみました。
1億1千万ありました。
ゴブ箱のおかげで合成職人の平均値に戻ることができたという訳です。

ところで前回書いた「合成でのギル」の部分をアップして見ます。
★今回のバージョンアップで発表された新しいペットを使うことにした。
使ったのは強気汁。呼び出したのはヒポグリフのしもべ。
新ペット汁発表と同時に調理倉庫で作って見たが、2回目にHQの「勝気汁」ができてビックリ。
競売に出すと1個30万ギル。出来た2個を出品するとすぐに両方売れて2度ビックリ。その後もいくつか出来たが、全て競売用にまわして戦闘で使うのはNQの「強気汁」の方にしました。★

突然できたHQの「勝気汁」。出来た二つを出品するとすぐに60万ギルゲット。
見た目は60万ギルが簡単に手に入ったように見えますね。
しかしたまたま在庫していた原料「野猪の肉」があったためすぐに作ることが出きましたが、競売ではその後もずっと出品されておらずこのように原料取得が合成の最大の弱みです。
しかも勝気汁で60万ゲットしたといっても、あの時たまたま競売に大量に出ていた原料である魚クラリアスがその後すぐ手に入るとは限りません。
釣りスキルがまだ低いsouzouは狙った魚を即座に自前で釣ることが出来ないので競売出品を待つしかないのです。

一方戦闘の方はどうでしょうか。
オーメンというコンテンツがあります。
意図せずジョブマスターになってしまったこともあり、はじめてソロでトライしてみましたが、3面の中ボスに殴りかかるとsouzouの武器はユニクロなのでまったく歯がたちません。
あきらめて撤退しましたが、その後雑魚を倒すルートの方を選択したところ「黒の残魂」というアイテムが4つほど手に入りました。
競売に出すとすぐに売れて64万ギルゲット。合成と比較してなんと簡単なこと。
突入するだけで、何の原料もいらずに勝気汁と同額が手に入ったのです。
なるほど、皆さんがリレミシエンピ・アフターグローを何がなんでも欲しがる筈ですね。
合成などには見向きもしないでパワーアップを心がけた戦闘中心の人達は、2億、3億多い人は数億ギルを持っていると聞きます。
現にFF11のユーチューブを見ると、「一日で1千万稼ごう」などという動画が存在しています。一日1千万なら10日で一億じゃないですか。
一体どうやっているのか覗いてみると、ウォンテッドNMで430万ギル、エミネンスポイント金策で100万ギル、メナスで310万ギル等となっています。

戦闘能力が際立って高くなると、オーメンに限らず高額のアイテムをゲットできるコンテンツが沢山あるという訳ですね。
競売をみても単品の武器で1億数千万の武器が数多く落札されているので、猛者達が
億単位のギルを持っているという話は本当のようです。

どうしようかなぁー。戦闘は結構面白いし、エスカッションは気が遠くなるほど先が
長くてつまらないし、ジョブマスターはたった一日でゼロから2100を達成してしまう
人がいるなどやり方が分ったから自分も成れそうだし、ヴァナの生き方を変えてみようかなぁー。
でも20年近く最後尾をトロトロついてきたsouzouが、先頭集団の人達と一緒にパーティー戦なんて出きるもんかね?
戦闘マクロもろくろく組めないsouzouがパーティーに入ったら、迷惑かけるだけのような気もするし、大体が金が楽に稼げそうだと生き方を変えるというのが根本的に間違っているような気もするし・・・。

別段これ以上ギルが欲しいというわけではないのです。
ただ垣間見てしまった先頭集団の人達の戦闘の面白さ、そして相手モンスターに全く歯がたたなかったsouzouのユニクロ武器。
あの悔しさがこの迷いの一番大きな理由のような気がします。
しかしだからといって戦闘能力ゼロのsouzouが、アフターグロー付きの武器なんぞを求めれば、それこそエスカッション最終段階に匹敵する超メンドイ作業を続けなければならないらしいので、「隣の芝生が良く見える」のたとえどおりなのかも知れません。

そんなこんなで「当世ギル事情」を語るつもりが、FF11というゲームと自分がどう
向き合うかという根本的な悩みに巻き込まれてしまったsouzouでした。

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FF11ちょっといい話」アストラルリング
       ID:8snaSLYRさん
暇なフレと3人でゲルスバのBCに行ってきた。
アスリンが出るやつ。

当然そんなポンポン出る訳も無く2戦した所で指輪0個。
暇つぶしなんで気にもしなかったけど、最後の1戦でぽろっと1つ出た。
オーブ出した人が総取りのルールでやってたけど
その時の提供者が
「これいらねぇや。俺タルだからこんなん着けたら死んじまうw」
と一緒にやってた首白にあげてた。

タルは召喚で使うHQ杖の為に金策してた筈なのにな。
「物は使ってくれる人の所にあるのが一番いいんだそうな。
  *  *  *  *  *  
〔Net参考記事〕
アストラルリング
「レベル10で25ものMPブーストを可能にする稀有な指輪
左右に装備して+50も可能である。
但し、レベル10で後衛のHPを50も減らすので、敵のWSに巻き込まれて
即死の事態もありうる。
人気で一時100万ギル以上の相場が暴騰した時期もあった」

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「FF11ちょっといい話」 分解7連続HQ
       ID:d6yLuXs7さん
今日の良かったこと。
分解7連続HQ達成
金欠気味だった財布が暖まりました。

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「FF11ちょっといい話」FF11の世界
        ID:qToZIkH2さん
昔々、それもずうっと昔。
FF11が製品として発売されて、そんなにたってなかったころだ。

当時、レジストという概念がなく、黒全盛時代。
俺達モンク、戦士はほんとうに日陰者だった。
なにしろ当時ナイトクエクリアしてる奴すらいなくて、俺達は黒魔の盾でしか
なかった。シーフなんかもっと悲惨だった。
何しろ不意打ちなかったんだからな。
俺達は盾になれたが、彼らは……いや、何も言うまい。

ある日、戦(俺)戦赤白黒黒というPTを組んで、バタリアでトラを狩っていた。
いつもどおり挑発しつつ黒魔法。何か今と同じだな(ワラ
当時ジュノは未開の地。まったく人がおらず、どいつもこいつも顔見知り。
俺は白と黒二人とはフレだった。
赤ともう一人の戦が新顔。こいつらがまたいい働きをする。
200連発、時給2000以上の当時としては調子のいい狩りをしていた時…
新顔の猫戦士が唐突に俺に言った。
昨日のことのようによく覚えている。

猫:君、連携って知らない?

俺の記憶が正しければ、連携という言葉を聞いたのはそれが初めての事だった。
その猫は、相棒らしき赤とその場で連携を実践。
ファスト→バーニンという、今では初歩の初歩と言えるものだったが、
俺の驚愕は、言葉にしがたいものがあった。
(当時はレジがなかったので連携のダメージもものすごかった)

猫:これしか知らないんだけど、昨日チョコボクエしてて見つけたんだ。
面白いでしょ

もう俺は震えたね。これさえあれば前衛の俺達もダメージ与えられる、と。
そのあとは白さん黒さんまで混じって経験値そっちのけで連携研究大会。
あれは繋がらない、これは繋がる、3連携もあるとか。
子供みたいにはしゃいで探し回った。
調子こいて全滅したりしたのはご愛敬だ。

その日からその猫を、俺は勝手に師匠と呼ぶことにした。

師匠から教えて貰ったことは数え切れないぐらいある。
連携はもとより、両手剣より両手槍斧、片手武器の優位性、
武器スキルは全て鍛え上げる事の重要性、
DEXを上げる事の意味、
盾スキル弓スキルの上げ方、
サポモの格闘の有用性、
モンスターのPOP間隔、
モンスターごとのリンクの習性…
今では基本中の基本のこと。
誰もが知識がなく手探りでプレイしてた中、よくもまぁこんだけ情報を
集めてきたと思う。
解りやすい言葉で、懇切丁寧に説明してくれた。

真面目で、親切な彼女は、あっという間に俺達を虜にした。
…といってもネカマとかそういう意味じゃない。
ほんとうに俺達の先生だった。
彼女のこの教えのお陰で、俺は長い間戦士を続けてこれた。
感謝してもしきれない。
なにせ当時、俺は両手剣しか使えない戦死だったんだからな(ワラ

連携だって、時には経験値度外視で研究PTを組んで調べ続けた。
連携スレにもだいぶ書き込んだと思う。
当時は法則も定かではなく、ひたすら総当たりで調べるしかなかった時代だ。
時には自分たちで見知らぬ武器を使い込んで調べる事もあった。
みんな、先の見えない世界を切り開こうと必死だった。
俺達をそう必死にさせたのは師匠だった。
早い話、負けてたまるかと…俺や、他の同業者をせっついたのもあったろう。
お陰でオートリーダースキルまでついてしまった。
思えば師匠がリーダーしてないとこ見たことないなぁ。

今でも忘れていない。あの一番楽しかった頃を。
師匠が集めた18人でナイトクエに突撃した時。
2chにすらヒントのヒの字も出てなかった。
下調べで何回も死んだけど、無事ゲットできて、
その後、誰かが入り口にトレインしたオークチャンピオンに、日頃の恨みを晴ら
すべく突撃して…それはもう綺麗さっぱり返り討ちにされて、みんなで
「つえーw」って笑ってた。
当時未踏の大地だったラングモンドへジュノのみんなを集めて突撃した。
バルドニアなんて足を踏み入れたこともなかった。冒険だった。
もちろん、辿り着く前に死んだけどなー。
オズトロヤにもアラで無意味に突撃した。
この無意味、ってのが実に楽しい。
やたらに大人数でいったせいか、俺とあと三人ほどが本隊からはぐれてしまった。
どうせ死ぬなら奥へ、ってことで本隊が全滅しそうになってる阿鼻叫喚を後目に
MGS。
……と、おもったらどこからともなく何かのガ系が2発同時にかっ飛んできて、
さっくりと全員爆殺(゚д゚ )ポカーン。本隊にいた師匠達に大笑いされた。
おめーらも全滅してるじゃねえかyp!

…今となってはいい思い出だ。
クロウラーの巣、要塞、縄張り、デルグフ…マップも持たず、知識もなく、
だが、デスペナ上等でどこへでも足を踏み入れていった。
そんな時代が確かにあった。

しばらくは無我夢中でプレイしていたと思う。
黒がもの凄い勢いで弱体化し、7月初頭の攻撃スカスカ地獄パッチを乗り切り、
ケアルヘイトを学び、連携マンセー時代。
俺達は時には一緒に、時には別々に遊んでいた。

駆け足でレベル50になった8月のある日、師匠がいなくなったことに気づいた。

彼女の相棒で、いつも一緒にいた赤さんに聞いてみた。
赤さんは言葉を濁した。リアルの事情だという。
誰にだって事情はあるんだろう。
でも、俺にも一言あってもなぁ…とか思った。

それからも俺はプレイしつづけた。
闇の王を倒し、NM狩りに明け暮れる。
目標だったオークチャンピオンにも勝った。
オズトロヤで俺達をふっ飛ばしてくれたあいつにも勝った。
NM厨(俺もだが)と口喧嘩し、LSではみなNMと合成の話しかせず、
俺がどこかへいこうといっても、デスペナが怖くてみんな動かない。
ジュノ時代の友人達とも、今はNM狩りの競争相手。
もうFF自体に飽きかけていた。あの楽しい日々はどこへいった?

結局、何もすることが無くなって、俺は獣使いになってのんきな太公望生活を
していた。
FF廃人なのに、ゲームのなかでまで真っ白になってどーすんだ、とか言われた。
いやまったくその通りで反論しようがないんだが、飽きたものは飽きたんだから
しょうがない。
LSの連中とも疎遠になった。元々利益で繋がっていたような連中だ。
役に立たなくなった俺のことなどどうでもいいのだろう。
いつしかリンクシェルも外した。
世界中をほっつき歩きながら、モンスターと一緒に各地で釣り糸を垂らす毎日。
時折、行きずりの人と会話しながら、これで最後(引退)を迎えるのもいいか
と思い出していた。

ある日。ジラートももうすぐだ、という頃。
ジャグナーでボギーたんとぼーっとしてたら、一件のTellが入ってきた。
相手は初期ジュノ組のある香具師(仮にKとしておこう)で、俺とNMを巡って
よく喧嘩していた臼姫だ。…そして、あの日々、一番俺と行動を共にし、お互い
師匠の一番弟子でもあった奴だ。
俺:何かまだ文句でもあんの…?
俺は正直うんざりしていた。
だが、奴は俺の言葉などまったく聞かずに、こう言ったのだ。

K:あ、いたか!いつまでanonしてんの!!
K:師匠だ!ウィンダスいた!

興奮の為か妙なタイプミスをしていた。文章もメチャクチャだ。
何かと問うまでもない。俺は奴の表情まで思い浮かべる事ができた。
釣り竿を引っ込め、慌ててジュノまで走る。
飛行艇はついさっき出た所だった。待ってられるか!
俺はクソ高いチョコボを駆り、一路ウィンダスまで突っ走った。
あの日々を思い出しながら。

ウィンダスに辿り着き、釣りギルドまで走っていくと、果たしてそこに師匠が、
師匠の相棒の赤さん、そしてJと一緒に釣り糸を垂らしていた。
師匠:お久しぶり、Kさん

師匠は殆ど全くといっていいほど「w」とか顔文字を使わない。
一見真面目腐って無愛想に見えるけど、マイペースで、特徴的な喋りをする人
だった。何も変わってない。
情けない事に俺は泣いた。
懐かしくって泣いた。
ゲームで泣いたなんて初めてだ。
懐かしい、楽しかった頃の象徴がそのまんまそこにあったのだ。

しばらくしてると、飛行艇がついて、釣りギルドに、豪勢な装備の樽墨(仮名J)
と首長族内藤(仮名H)が向かってくる。
懐かしい、けどよく見知った面々だ。
そして、その時ログインしてた当時の連中で、残っているのはこれだけだった。
随分と変遷したものだ。
師匠は本当に慕われていたんだな、と思う。
ただログインするだけでこんな人を集める人間なんて、そうそういないに違いない。
彼らも、師匠を見て、何を言っていいか解らない様子だった。
俺達はレベル60。
師匠のレベルは48。
レベル差は時間を表すってことはないだろうけど、随分と時間がたってしまった
ものだ。
俺達は夢中で話した。
師匠が出来なかったミッションのこと、
FF11の現状のダメっぷりとか、FFに関係ないこととか。
そして一番楽しかった頃の事。
師匠はそれに一つ一つ相づちをうって、じっと聞いていてくれた。
そのときだけ、俺達はあのときの俺達に戻っていたと思う。
そして、俺達が一通り話し終えた後、今度は彼女からぽつぽつと消えていた理由
を語りだす。
ここでは書けないが、その理由に俺達は絶句した。
そのせいで、彼女はロクにFF11にログインすらできなくなったのだが、最後の
最後に時間をつくって世界を回ろうと思ったのだという。
覚悟はしていたが、想像以上にショックだった。
ジラートももうすぐだと言うのに…
俺やKが何といっていいか解らず沈黙してたとき、Jが言った。

J:じゃあ、最後に色々逝きましょうよ。いくらでもつきあいますよ
H:そやねー。どうせだし闇の王でもぶっ倒しますか。
ここで釣りしてすごすのも悪かないけどねw

慰めも何も言わず、いきなりこう言えるコイツらの図太さに、俺は心底感謝した。

世界中を回った。

ペドーにいった。
オズトロヤにいった。
ズヴァールにいった。
偶然見かけたNMにも突っ込んだ。
周囲から見たらさぞかし妙なPTに見えた事だろう。
死んだり、勝ったりした。全滅したほうが多かったけど。
師匠は足引っ張って申し訳ない、とかいってたけど、全然何て事はないのだ。
感謝したいぐらいだったから。
久々に、ただ楽しかった。デスペナなんてまったく気にならなかった。
俺達は、次の日の朝まで、がむしゃらに、走りに走り回った。
今思えば、夏休みの最後の日に、ぱーっと花火をするような楽しさだったと思う。

朝日が差してきた頃、俺達はウィンダスのモグハウスの前にいた。
彼女の遺産を少しずつ受け取る。
俺達は何も言えなかった。
本当に何を言って良いのか解らないのだ。
無言の俺達を気遣ってか、彼女は簡単に別れの言葉を述べると、

師匠:ありがとう。本当に…
彼女は俺達一人一人にお辞儀して青空の下のモグハウスの中へ消えていった。

PTメンバー欄から、彼女のHPバーが消失する。
俺達は何も言えずに、ずーっと馬鹿みたいに突っ立っていた。
コントローラーを持ったまま、涙が止まらなかった。

今、俺達は元いたLSを脱退し、この5人を元に新しいLSを作って遊んでいる。
レベル上げもしているが、それ以上に意味もなく放浪していることのほうが多い
と思う。ジラートは楽しい。世界はかなり広くなった。
その世界を隅々まで探索するだけで、何ヶ月も過ごせそうだ。
このゲームをやめるときは、冒険する場所がどこにもなくなったときだ。
そうみんなで決めてある。

レベル上げとか、アイテム集めとかを否定しようとは思わない。
けれど、一番大切なのは、自分が一番何が楽しいのか、を見つける事だと思う。
師匠が何を楽しんでいたかは解らないけど、きっとちゃんとそれを解っていたん
だろう。
最後の最後に、俺達にそれを再び気づかせてくれた。
意図的にやったわけじゃない。
その佇まいが、俺達を思い起こさせてくれたのだ。

何だか支離滅裂になってしまったが…言いたいことは一つ。

師匠、ありがとう。
お陰で、まだまだFF11の世界を楽しくほっつき歩けそうです。
リアルのほうでどんなに辛くても、頑張ってくれ。

あんたが最後に作った串焼き、いつまでもおいておくよ。