民法130条(条件の成就の妨害等)

191114民法(債権法)改正

1 新旧対照表

旧<令和2年(2020年)3月31日まで>

(条件の成就の妨害)
第百三十条 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

新<令和2年(2020年)4月1日から>

(条件の成就の妨害等)
第百三十条 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

2 改正のポイント

ポイント ①判例(最判平成6年5月31日)上認められていた故意による不正な条件成就の場合の規定を明文化

3 解説

(1)判例(最判平成6年5月31日)上認められていた故意による条件成就の場合の規定を明文化

 現行法は,故意による条件成就の妨害の場合については規定を置いていたが,故意による条件成就の場合の規定は置いていなかった。もっとも,このような場合について,判例(最判平成6・5・31 民集48-4-1029)は,改正前民法130 条の類推適用を認めていた。改正後民法では,この判例法理を明文化するものであるが,単に「故意にその条件を成就させた」と規定しまうと,試験に合格をすればお祝いを貰えるという約束をして試験に合格した場合にもこれにあたりかねないことから,「不正に」という文言に変えて規定した(部会資料66A・44 頁以下,部会資料79-3・6頁)。

経過措置

 改正後民法130 条2項は,施行日前にされた法律行為については,適用しない(附則9)。

関連判例

最判平成6年5月31日

事件番号 平成2(オ)295
事件名 執行文付与に対する異議
裁判年月日 平成6年5月31日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判例集等巻・号・頁 民集 第48巻4号1029頁


【判示事項】
 条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときと民法一三〇条の類推適用
【裁判要旨】
 条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときは、民法一三〇条の類推適用により、相手方は条件が成就していないものとみなすことができる。
【参照法条】
 民法130条

191114民法(債権法)改正