日々の取引で、取引先と消費税が合わないということがよく出てこないでしょうか。
特に入金処理をしていると、請求金額と1円2円合わないことがあります。
これは、各会社の消費税計算の方法が違っているからなのです。
たとえば、小数点以下切り上げ、切り捨て、四捨五入、さらに明細ごとに計算するのか、合計金額に税率をかけるのか、によっても消費税の計算結果が変わってきます。

今回は、消費税の端数について、なぜ、方法を選べるようにしたのか?統一すればよいのでは?という読者の方からお問い合わせについて、質疑応答をご紹介いたします。

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消費税端数についてのお問い合わせ

消費税が相手先と合わなくても慌てない!対処法を紹介」を拝読しました。
どうして国税庁は消費税の小数点以下の端数の処理の仕方を「切り上げ」「四捨五入」「切り捨て」の中から選べるようにしたのでしょうか?
又、計算方法を「明細ごとにするか」「合計金額に対してするか」のどちらかを選べるようにしたのでしょうか?
両方ともどれか(又、どちらか)に統一しておけば、不一致が生じることもなかったのにと思います。
計算方法はともかくとして、税の端数処理としては「切り捨て」にするべきだと思います。たいていの税金はそのように処理されますから。

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消費税の端数について管理人の回答

お問い合わせの消費税の端数について回答いたします。

個々の取引の計算について、端数処理を規定しても、
国税当局としては、「意味が無い」と判断したものと思われます。

以下、理由です。

おっしゃるとおり、税金の端数は切り捨てが原則となります。
実は消費税も例外ではなく、端数切捨てであると規定されています。

1 課税標準額の端数について
 その課税期間の課税標準額は、原則として、その課税期間中の課税資産の譲渡等の税込価額(消費税額及び地方消費税額を含みます。)の合計額に108分の100(注1)を乗じて算出した金額となります。そして、この金額に1,000円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます(注2)。

ここで重要なのは、これは納付額を計算する場合の計算方法であるということ。

消費税の計算は、「期中の全ての取引を合算して」納付額を計算します。
対して、会社の売上や仕入は、つどつど消費税を計算します。

つまり、個々の計算をどのようにやったとしても、必ず端数の差異は出ます。
ざっくりとですが、例を出しましょう。
(消費税率は8%の時のものです。)

例:税込110の売上を年間3回計上した。

申告書の計算:
税抜金額 330×100/108≒305
税額(国税部分) 305×6.3%=19.215≒19

個別の計算(切捨の場合):
税抜金額 110×100/108≒101
税額(国税部分) 101×6.3%=6.363≒6
取引が3回なので、6×3回=18

以上のように、合算と都度の計算では、端数が出てしまうのです。

国税当局としては、納付額は100円未満切捨てなので、
端数があったからどうというわけでもないのでしょう。

確かに、端数がずれてしまうのは悩ましいのですが、
会社ごとの裁量で、と規定されている以上、残念ながらズレは必ず出てしまうの
です・・・。

財務省 Q9に端数の質疑応答があります。事業者に任せるそうです。

(Q9) 現在の「税抜価格」を基に「税込価格」を設定する場合に円未満の端数が生じることがありますが、どのように処理して値付けを行えば良いのですか。

(答)
1.総額表示の義務付けは、消費者が値札や広告などを見れば、『消費税相当額を含む支払総額』を一目で分かるようにするためのものです。したがって、「税込価格」の設定に当たっては、一義的には、現在の「税抜価格」に消費税相当額を上乗せした金額を「税込価格」として価格設定することになります。

2.この場合、ご質問のように「税抜価格」に上乗せする消費税相当額に1円未満の端数が生じる場合がありますが、その端数をどのように処理 (切捨て、切上げ、四捨五入など)して「税込価格」を設定するかは、それぞれの事業者のご判断によることとなります。

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まとめ

消費税の端数処理は、会社が毎回の取引時に計算した結果は、それぞれの会社によって違う結果になることがあります。
そして、確定申告時には、全ての取引をまとめて計算するので、どうしても必ず端数の差額が出てしまいます。

これは、計算のタイミングや粒度が違うので、どうしようもありません。

逆に言えば、差額が出てしまっても、確定申告上で正しく計算されていれば、全く問題ないのです。