日本オーストリア友好150周年記念 ~サントリー芸術財団50周年記念~

Christian Thielemann クリスティアン・ティーレマン & Wiener Philharmoniker

150 Years Friendship Japan - Austria Special Program

SUNTORY FOUNDATION for the ARTS 50th Anniversary
 

2019年11月11日(月) サントリーホール 19時開演

ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 WAB 108(ハース版)

(アンコール) ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『天体の音楽』作品235

 

 

11月5日のオープニング・コンサートに続き、クリスティアン・ティーレマン氏がウィーン・フィルと繰り広げた公演は1日挟んで11月7日『ブルックナー第8番』愛知県、そして3日後の11月10日『シュトラウス・プログラム』大阪府、休む間もなく11月11日『ブルックナー第8番』東京、その4日後が長いアジア・ツアー最後となる11月15日『シュトラウス・プログラム』千秋楽と言う流れ。

 

東京公演2回目となる11月11日は、待ちに待った『ブルックナー第8番』プログラムの日。開演時間は3日間とも19時開演で、この日だけ唯一の雨。とは言え、18時頃の港区は傘要らずに。人間としての天気は、一聴衆としての想像に過ぎないけれど最も調子の良い日だったのではないかと思う。関連性はないかもしれないが、開演20分前にサイン会を行う旨アナウンスが入り、恐らく東京での公式サイン会は今回が初めてとなる。

 

さて、期待の公演。ブルックナー1本ですから、予想通り少し遅れて19時7分に演奏開始。異例のアンコールに、ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『天体の音楽』が奏でられたけれど御祝いと言うことで納得。自席は、初日よりグレード・アップした(扇形に展開したオーケストラ奏者を見渡せる=音響が抜群)2階席にて、極めて芳醇なChristianのハ短調に酔いしれる。表現するなら、端正で優雅なブルックナーだ。それでいて、緊張感のある引き締まった演奏。

 

今までに鑑賞したティーレマン氏のブルックナー作品のうち、これ程までに感銘を受けた名演は他にない。建築美を魅せつつ人間味が溢れる心豊かな演奏は、相手が彼を長年とても良く知るウィーン・フィルだから完成されたのかもしれない。断っておくが、決してシュターツカペレ・ドレスデンとのブルックナーに何かが足りないと言うわけではない。一言で表すと、彼が理想とする道筋が2019年にあるのだと思う。何の作品を演奏した後に、何の作品が来れば最高となるか考える彼にとって、喜ばしい1日だったのではないかと私は感じる。

 

演奏会と言うのは、同じ場所に居合わせる全ての人間が作り上げる音響空間。耳だけ、目だけ、それだけではない沢山の要素が緊密に絡まる。知らないだけで、様々な事情が当日の朝から始まっている。自席に座ってから立つまでがドラマなら、誰も苦労しない。より良い条件を生み出す努力を惜しまぬ先に名演あり、と自ら言い聞かせ完走した1日だった。演奏時間は、約80分。約20秒の静寂の後、盛大な拍手にブラヴォーの嵐。

 

アンコールは、以前より「ブルックナーの後にアンコールは出来ない」とインタビューで語られているので、恐らくマエストロの御希望ではないでしょうが特別なイベントですから申し分ないセレクト。8分くらい、ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『天体の音楽』に身を委ね終演。

 

↓クラシック音楽の師匠より、「貴女が持っている方が良いでしょう」とプレゼントされたサイン入りプログラム。私の分は?報告するのは微妙ながら・・・肌身離さずドレスデンへ連れて行けるテキスタイルに(笑)これまで1度も見たことのない「L(筆記体の小文字)」を書き難かった為に披露して下さり、ありがとうございました🌹