ブレーキの話をする時に、ABSの話を避けて通れないのが辛い所ではありますが・・。
ブレーキを踏むのは・・・
①車を止めるため
②スピードを調整するため(→カーブへの進入速度の調整とか、下り坂でのスピード調整とか)
③コーナリング中の前後の荷重を調整するため(→アンダーステアを微調整とか)
だいたい、こんな役割の為に踏んでいますよね
①車を止める為の踏み方
これは簡単で、強く踏めば良いのです(ABS付き)
直線でのブレーキは最近の車はABSがしっかり働いてくれるので、強く踏めばいい感じの制動力を発揮します
カーブでオーバースピードで危ない時はブレーキ踏んでも止まりません。ABSはブレーキを緩める装置だから。
カーブでスピンさせたり、ロックさせたりして車を止めたければABSをカットするしかありません
ABSをカットした時は
ロックしない程度に強く踏む、という事になります
タイヤのロックは・・・タイヤが鳴くって事では無くて、タイヤが完全に止まる事を言っています
なので、4輪全てがロックする状況(完全にハンドルが聞かない状況)は起き難いです
リア駆動車で、ドカーンとブレーキを踏むと、フロントタイヤだけロックしやすい状況が発生します
このとき、期待した方向性(ハンドルの操作感)を得られないので、びっくりしてもっとハンドルを切ってしまったり
びっくりしてもっと強くブレーキを踏んでしまうので、さらに方向性を失い、酷い時はリアーもロックさせてしまう
制御不能になりまして非常に危ないですね
※ちなみに、最近の一部の車には「非常ブレーキアシスト」(擬似びっくりブレーキ)という制御が付いていて、ABSのみ解除すると
この制御が発動して、自動的に4輪フルロックになってしまいますので、さらに危険度が増します!事故が起きます!
ABSを解除する場合は「非常ブレーキアシスト」を先に解除してください。方法は、ここではお教えできません。
ロックしない程度に・・・というのは
タイヤが鳴って多少の方向性が失われても、慌てず騒がずジワリとブレーキ踏む力を弱めるだけで良いんです
30%程度、ブレーキ踏力を弱める(奥に踏み込んだブレーキを戻す)とタイヤが転がり、方向性が回復します
そしたらまた、ブレーキを強く踏み込む。この繰り返し。(ABSはこれを小刻みにやっているだけです)
方向性が回復したら、ハンドルで車の向きを修正します。
「人間ABS・・凄い!」とか言う人もおりますが、練習すれば大体の人はできます。
出来ると思って訓練すればちゃんと出来ます。原理を分かってチャレンジすれば、そんなに難しくないです。
ABSはタイヤ(路面)のグリップに関係無くロックさせない制御なので、低μ路やグリップの低いタイヤでは制動距離が
伸び気味ですが、ABSカットしていれば意識的にロックさせたりも出来ますので車をいろいろな方法で制動することができますね
②スピード調整の踏み方
これは、ジワリとソフトタッチが基本。
声に出すように「ギュウー」って踏むとジワリとした踏み方ができるかも
③コーナリング中のアンダーステア微調整
通常は、右足のアクセルオンオフでアンダーステアを回避しますが
アクセルを少しでも長く踏んでいたいとか、ターボ車両で加給圧を下げたくないとかの場合に
左足でブレーキをググッて感じで、踏むと言うより力を掛けるって位のイメージが合っているかな?
押し付けます。
※コーナリングの加速姿勢によりフロントが浮き気味になって、前輪のグリップ力が弱まってしまう状況で
実施する作業であり、ブレーキングでアンダーステアーが出ている状況(①の状況)とは違います。
これも、自動車の構造的な特徴がありブレーキのマスターバック(バキューム圧を利用した倍力装置)が
働く為、アクセルオンのまま3回(くらい)左足ブレーキを踏むとバキューム圧が無くなり利かなくなります
(一度アクセルを抜けば(ペダルを戻す)バキューム圧が再チャージされるのでまた利くようになります)
いつでもどこでも左足ブレーキを使いたければ、マスターバックレスにチャレンジですね。
※マスターバックレスは、ただバキュームホースを抜いただけでは利かないだけのブレーキに成るので要注意
ちゃんと、技術を持ったショップ等に相談してください。専用ブレーキパッドも必要です。
ブレーキの踏み方、操作の方法もいろんな方法があります。
今よりもっと速く走る為に、ライバルよりもっと速く走る為に、努力する。
エンジンパワーを上げるよりも、先に行っておきたいブレーキの踏み方トレーニング
ABSを活かして操作する場合は、ABSのセッティング(味付け)をそれぞれのシチュエーションで試して
よく理解した上で制御に合わせた運転方法を心がけましょう。