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中井久夫『「つながり」の精神病理』2011・ちくま学芸文庫-ていねいな精神科治療のお手本に学ぶ

2024年03月17日 | 精神科臨床に学ぶ

 たぶん2016年ころのブログです

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 中井久夫さんの『「つながり」の精神病理』(2011・ちくま学芸文庫)を再読しました。

 単行本の『個人とその家族』(1991・岩崎学術出版社)の時も含めるとたぶん5~6回目だと思いますが、もの忘れのせいか(?)、今回も全く新鮮な気持ち(!)で読めました。

 読んでいると、ところどころにアンダーラインや付箋の個所に出会うのですが、ほとんど内容を記憶していません。

 全く新しい本を読んでいるようで、なにか得をした気分のようでしたが、しかし、よく考えると、うれしいような、かなしいような、複雑な気分でした。

 そんな中で、今回、一番のインパクトがあったところ、それは精神病者の人格についての考察の文章でした。

 このところ、同じようなことを考えていたので(でも、ひょっとすると、以前、中井さんの本で読んだ内容が、今ごろ私の中で熟してきただけなのかもしれません)、とても参考になりました。

 例えば、多重人格の人は人格の分裂が過激、とか、境界例の人は人格の統合性が不十分、などと述べられ、一方、健康な人は人格が柔軟に分裂しているのではないか、と述べられています。

 そして、統合失調症の人は(昔は精神分裂病といわれましたが)、人格が分裂しているのではなく、適度な分裂ができずに、かえって解体の危機に直面をしているのではないか、という仮説を述べておられます。

 まさに卓見だと思います。

 中井さんが述べておられるように、精神的に健康な人とは、人格を状況に応じて柔軟に分裂できる人、人格の分裂に耐えられる人なのではないか、と思います。

 今後もさらに深く勉強を続けていきたいと思います。   (2016?記)

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 2021年1月の追記です

 人格の分裂、というとちょっと過激な印象を受けますが、たとえば、人はたまに子どもっぽくならないと、こころのバランスが悪くなるのではないかと思うのです。

 子どもっぽくなって、甘えて、自由奔放になることで、こころの健康を保つようなところがありそうです。

 遊びが大切なことをウィニコットさんが述べましたが、遊びがないと創造性もなくなって、生き生きとしたところがなくなります。

 たまに子どもっぽくなることはこころにとても大切なことのように思われます。    (2021.1 記)

 


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