ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

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川上未映子『あこがれ』2018・新潮文庫-真っ直ぐな小学男子と小学女子の物語です

2023年07月02日 | 小説を読む

 2018年夏のブログです

     *  

 川上未映子さんの小説『あこがれ』(2018・新潮文庫)を読みました。

 これも旅先の旭川の本屋さんで見つけて買いました。

 川上さんの小説を読むのは、これが初めて(川上さん、ごめんなさい)。

 美人ちゃんなので、美人恐怖症(?)の傾向があるじーじは、なんとなく近づかなかったのですが(川上さん、ふたたびごめんなさい)、昨年、村上春樹さんに果敢にインタビューをした対談集『みみずくは黄昏に飛びたつ』(2017・新潮社)を読んで、すごいな、と思い、いつか小説も読みたいな、と思っていました。

 いい小説です。

 小学男子と小学女子をめぐる物語ですが、世間の見方と少し違うものの見方をするこの二人を、周りのおとなたちが限界を抱きつつも、よい距離感を持って接してくれて(今どき、こんないいおとなたちはいないかもしれません)、そんなある意味、「抱える環境」(ウィニコット)の中で成長をしていきます。

 当然、苦しいことのほうが多くなりがちです(なぜなら、周りに流されて、何も考えずに動くほうが楽ですから…)。

 泣いたり、あきれたり、怒ったりしながら、それでもお互いや周囲の友達の存在に勇気づけられて、時々、笑いにも誘われます。

 具体的なあらすじはあえて書きません。

 しかし、やはり苦しいことにたびたび出会います。

 決してハッピーエンドではありません。

 苦しい中での小さな救いや小さなほほえみがいかに大切か、を考えさせられます。

 そして、読後感はすがすがしいです。

 こんな小学生たちを少しでも守り、応援できるようなおとなでありたいな、と思いました。 (2018.8 記)

 


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