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近所に、いつも魚を持って来てくれる

おじいさんがいます。

 

 

おじいさん、船に乗って海でとってくるから

一度にアジ20匹くらい持って来ます。

 

 

そのおじいさんは義父母のお友達。

義父母の家にも、魚を届けていました。

 

 

もらった魚を全部

さばいて料理にするのは大変だけど

頑張っていました。

 

 

だけど、おじいさん

だんだん頻度が増して

 

 

ひどいときには

1日おきに持って来るようになりました。

 

 

義父母のお友達なのだからと

お断りしないでいたのですが

 

 

さすがにもう無理。

「食べきれないから、

 ときどきお断りしようと思う。」

と義父母に伝えました。

 

 

すると、

「それは絶対だめ!」

「さばいてあげるし、食べないときには

 魚をひきとるから断らないで」

と言われました。

 

 

なにか、断らないほうがいい

事情があったのでしょう。

田舎特有の激しいしがらみっぽい。

 

 

私はその言葉に

ありがたく?従いました。

 

 

しばらくあとのことです。

 

 

ある日私は、そのおじいさんの奥さんに

出逢いました。

 

 

すると奥さんが私に言いました。

 

 

「お義母さんばかりにさせないで

 いいかげん、自分で魚を

 さばくようになりなさいね!」

 

 

そのときは驚いて固まってしまい

私は何も言えませんでした。

 

 

あとになって、だんだん

腹が立ってきました。

 

 

「食べきれない」って言いたいのに

言うなと口止めされて

あげくのはてに、この仕打ち。

 

 

穏やかな義母の性格から

嫁の私を悪く言ったわけではないと

わかっていました。

 

 

おそらく

我が家の分まで義母がさばいている

と知った奥さんが

 

 

義母のために!と正義感で

嫁の私に忠告したのでしょう。

 

 

あとから義父母には、

こんなことを言われて

くやしいと言いました。

 

 

当時私は、料理も一生懸命していたので

何も知らない近所の人に

さぼっている嫁と思われているのが

かなり屈辱的でもありました。

 

 

その後、

おじいさんが魚を持ってくるたびに

私はのどをかきむしりたくなるくらい

イヤな気分になりました。

 

 

さて、あるとき

 

 

私は、家の近くの

細い道を車で走っていました。

 

 

運悪く向こうから

強気の車がやってきて

 

 

ひやひやして、なんとかすれ違う

ということがありました。

 

 

すれ違うとき、

「ばかやろーっ!」と怒鳴り散らした

相手の運転手は、そのおじいさんでした。

 

 

おじいさん、私を認識したとたん、

とてもばつ悪そうでした。

 

 

それ以来、おじいさんは

うちに来なくなりました。

義父母のところには

来ていたようですけれど。

 

 

あれから数年たちました。

 

 

体裁や評判を守るために

自分が傷ついても黙っていた

当時の私は

 

 

自分をちゃんと守ってやれる私

成長していました。

 

 

 

 

数年ぶりに、あのおじいさんが

魚を持ってやってきました。

 

 

どうやら、

義父母の家に届けようとしたら

留守だったからのようです。

 

 

義父母と一緒に食べてと言われたので

受け取りました。

 

 

以前の

のどをかきむしりたくなるくらいの

イヤな気持ちなんてまったくなくて

 

 

私の心は静かでした。

 

 

なぜなんだろうと考えてみたら

理由は

 

 

人からなんと言われようが

心配せずに

自分のしたいようにできる人

 

に、私がなっていたからでした。

 

 

ちゃんと自分を守ってやれる

自信があるからでした。

 

 

夕方、私はその魚を、

そのまま義父母宅へ持って行きました。

 

 

よい嫁だと思われなくても

かまわないし

近所でなんと噂されようが

かまわないけど

 

 

自分に嫌われる自分にだけは

なりたくないので

 

 

義父母に言いました。

 

 

「もう、あのおじいちゃんの魚は

 我が家は今後はお断りするね。」

 

 

穏やかで争いを好まない義父母。

今回は

 

 

「いいよ。」と言いました。

 

 

田舎ならではのしがらみに

義父母もまた、

向かい合う覚悟を決めたようでした。

 

 

 

帰りに、ひんやりした秋の風にのって

キンモクセイの香りが

ただよってきました。

 

 

ずっとずっと言いたかった

 

 

「もう、いらない」

 

 

 

 

 

 

やっと言えて、

 

 

数年前の私が、

喜んでいました。

 

 

 


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