2020年2月13日木曜日

2/9 プレシーズンマッチ vs.京都サンガ @サンガスタジアム by KYOCERA


實好礼忠監督、ピーター・ウタカ選手、庄司悦大選手、清水圭介選手 コメント(京都サンガ公式)
ロティーナ監督、坂元達裕選手、奥埜博亮選手、都倉賢選手 コメント(セレッソ大阪公式)

■メンバー

スターティングメンバー
まずは京都のメンバーから。監督が代わり選手も大幅に入れ替わった京都。實好氏は前任の中田一三監督体制でもコーチを務めていたが、中田氏との仕事は昨季が初めてで元々ガンバで指導者としてのキャリアを積んでいることを踏まえると昨年とは全く別のチームと言えそうだ。
また選手も大幅に入れ替わっているということもあり、昨季からの主力選手でこの試合の先発メンバーに入ったのはGK清水、DF安藤、黒木、MF庄司、FW宮吉の5人ほど。 飯田(清水から)、バイス(徳島でプレーしていたが所属は長崎から)、森脇(浦和から)、中川(マリノスから)、ウタカ(甲府から)の新加入選手5人と昨季は出場8試合のレナン・モッタが先発に入った。布陣は昨季終盤に使っていた3−4−2−1となる。

セレッソ大阪のメンバーについて。
セレッソはロティーナ体制2年目、そして昨季後半戦は戦い方に手応えを感じていた。ということで昨季の主力組、そして今季も主力となるであろう選手がずらっと並ぶ。
代わっているのはGKがキム・ジンヒョンではあくアン・ジュンス、そして右SHに坂元が入っているということだろう。
キム・ジンヒョンについてはプレシーズン序盤は連続して出場していたものの2月1日の広島との練習試合から出場していないので少し気になるところではある。
また奥埜がFWとして出場するのはこのプレシーズンで2試合目となる。

■ゴール前から動かす

試合の立ち上がりは京都が積極的に高い位置からアプローチを仕掛け、それに対してセレッソが自陣でボールを失うこともあったため京都がセレッソ陣内でボールを持つ場面も見られたが、5分も経たないうちにセレッソがボールを保持し攻め込む場面が続くようになる。
その際にセレッソが見せていたのが下の形だった。
2−2ビルドアップ
この試合は京都が1トップということもあり松田が最終ラインに残る形ではなく、CB2人とCH2人の2−2+GKでビルドアップを行うセレッソ。後ろにGKもいるので枚数的にはこれで十分ことが足りる。
シャドウを動かす
このビルドアップで狙っているのはCBでシャドウを引き出すこと。図のような状況になればOK。ならなければやり直す。セレッソの、ロティーナの特徴ともいえるのが、このやり直すという部分。さすがに2年目ということもあり焦って蹴ったりしないようにというのが徹底されている様子が伺えた。
WBの背後を狙う
CBでシャドウを引き出せれば後はオートマチック。木本が丸橋に出せばWBの飯田が食いついてくる。その時清武は中に入るので右CBの森脇は引っ張られ、WBの背後にブルーノ・メンデスや奥埜が飛び出すとついていくのは3バックの真ん中に入るヨルディ・バイス。
これで強さと高さがある選手をゴール前から動かしてしまうという算段である。

この形はこの試合に向けて準備したものというよりも、例えば昨季終盤の札幌戦など昨季から3−4−2−1系のチームに対して頻繁に使っていた形でもあるので対3バックとしては定番となっている形の1つだといえる。


■サイドをとった後

この試合の注目点の1つだったのは右SHに入る坂元。数少ない昨季から選手が入れ替わっているポジションであり、昨季とは特徴も違う選手が入っているポジション。これまではキャンプ地での練習試合ばかりだったので、この試合で初めて見たという方が多かったのではないだろうか。
坂元は実際に先制点も決めたがいわゆる逆足SH、左利きの選手が右SHに入る効果がよく出ていたんじゃないかと思う。
サイドの関係
まず重要なのがこれでSHが両サイド共に中を向いて、ゴール方向に身体を向けてボールを持つことができるようになった。
そしてここからゴールに繋がった様なインスイングのボールが入る。開始早々からこの形で決定期を作っていた。
さらに松田、丸橋の両SBが出てくるのでSHに時間とスペースをつくることができていたのも効果的だった。
そしてもう1つ、坂元のプレーで特徴的なのが、左利きでありながら内側に入るだけでなく外側でもプレーできることだろう。
この試合を見ていた人も気がついたと思うが坂元は右足でのプレーも結構多い。昨季山形では右シャドウでプレーしており67本のクロスを入れているがそのうち38本が右足。半分以上のクロスは右足で入れている。その為大外レーンでの縦へのプレーも可能。そしてもちろん左利きを活かしての内側へ入ってくるプレーもあるので攻撃のバリエーションとしては昨季よりも広がったと言えるだろう。
またさらに期待したいのはゴール。この試合の先制点を決めているが、10分にあった清武からのスルーパスで藤田がハーフスペースを攻略してのクロスの場面で坂元はニアに入っていってしまったのでクロスに合わせることが出来なかった。あの場面は間違いなくファーサイド。ハーフスペースを攻略しているのにニアにはいってしまうと混雑しているところに突っ込むだけになるということはストライカーであればほとんどの選手は経験則で何となく知っている。その辺りのストライカー的感覚も掴むことができれば10点近く取れる選手になるんじゃないかと思う。

■サイドから斜めのパス

前半の終盤ごろから京都はバイスが動かされることを警戒してDFラインの設定を低くし背後のスペースを消す様な形にしてきたことで、後半目立ったのは大外レーンのSBからの斜めのパス。
DFライン前への斜めのパス
4−4−2対5−4−1はどうしてもSBが空きやすくなるのでそのSBを起点にし、SBにボールが入ったところで内側に入ったSHが斜めに外側にさらにFWも背後を狙うことでDFラインとMFラインの間を広げ、そこに入ってきた逆サイドのSHへとSBから斜めのパスを入れる。この時もしWBがSBにアプローチをかけてくるようならWB背後をねらうSHへ。CBが前のスペースをケアする様なら背後とSBは複数の選択肢を持っているので、SBはその中から通りやすいパスを選択するだけという形になっている。
前半から散々背後を突き、さらに京都のDFラインにとってはゴールに近い場所から守るので空きやすいのはDFラインの前になる。なので松田から柿谷というパスが後半に入ると一気に増えた。
そして64分の奥埜のゴール、90+2分の都倉のゴールはこの形からのものである。
そしてこのパスもこの試合に向けて用意したものというよりも定番の形の1つ。逆サイドからだがアウェイの浦和戦で丸橋からのパスを松田が決めた形もこのバリエーションの1つだ。

■4−4−2でのボール非保持

この試合では2失点してしまったものの4−4−2でのボール非保持に関してもまずまずだった。
京都にはウタカという個の力ではJ1でも上位クラスの選手がいるのでそこでボールを収められ押し込まれることもあったが、全体的には中を締めた4−4−2でサイドにボールを誘導してそこで手詰まりにさせてしまう形は作れていた。サイドチェンジに対しても中を経由されない限りはスライドで十分間に合うので問題なし。サイドの奥にボールを運ばれてからの対応もCH2枚の「CBとSBの間が1人、CB前が1人」というポジショニングが徹底できていたのでそれほど大きな問題になりそうな場面はなかった。
あとピンチにつながっていたのはビルドアップでのミスがらみ。この辺りは開幕前のこの時期という部分もあったのだろう。
また2失点のどちらも実はアン・ジュンスからのパスを奪われてというのが起点になっているのだが、この辺りもアン・ジュンスはまだこのチームでの3試合目ということで今後の伸びしろと言っても良いだろう。
初めてこのチームでプレーした宮崎での広島戦も見たが、その試合に比べると格段の進歩が見られる。

■コンディション面

あとは気になるのがコンディション面。ロティーナ監督も語っているがこの試合と前日の磐田戦でほとんどの選手が90分もしくはそれに近い時間プレーできているのでこちらも上々といったところ。
清武と柿谷が45分づつとなったが、この2人はここまでの試合で既に90分近いプレーを経験しているので問題ない。
またキャンプ中に怪我があったブルーノ・メンデスも前回出場した広島戦ではコンディションがまだまだだなという感じだったが、この試合ではかなり戻っていたので心配ないだろう。
4戦連続でプレーしていないキム・ジンヒョンは少し気になるところだが。

■京都サンガ

京都サンガに関しては昨季も断片的にしか見ていないが、選手だけでなく戦い方も昨季とはかなり変わりそうだなという印象を受けた。
昨季終盤も3−4−2−1だったが昨季よりもミシャサッカーっぽいスタイルになるんじゃないかと思う。
後半に森脇が下がって4バックになるのだがこの4バックも並びで言えば4−1−4−1だが1トップ2シャドゥの形は崩さないのでミシャシステムの4−1−5の様な形だった。となるとボールを失った時のネガティブトランジションでDFラインの前には庄司1人しかいなくなるのだが大丈夫なのかな?とも感じた。とはいえJ2は開幕までまだ少し時間があるのでここから色々と改善されていくんだろう。
ただ、正直今のところはかなりウタカ頼みだと感じた。

■サンガスタジアム by KYOCERA

スタジアムは本当に素晴らしかった。
デザインなどはかなりパナソニックスタジアムに近いが、それがよりコンパクトになった感じ。大きなスタジアムにも魅力はあるが、2万人規模というのは見やすさという観点からも本当に素晴らしい。
2階の後列からでも遠さを感じさせないし、スタンドの角度的にも申し分無い。
次は雪の無い寒く無い時期にJ1で戦いましょう。
今季アウェイでこのスタジアムに訪れる方は京都駅からスタジアムまでの道中にある「保津峡駅」の秘境感にビックリすると思います(笑)。

最後に
今回から図は▲ Jun Kanomata さん(@jun_kanomata)のサッカー戦術ボード作成アプリ「TACTICALista」 beta.tacticalista.comを使用させていただきます。
iPadでも使えるので非常に便利です。

3 件のコメント :

  1. ユーチューブ配信もあるんですよね(現在も視聴可能)
    ロティーナの戦術がうまく言ってるときはどうなるのか、
    っていうサンプルとしてすごくわかりやすいゲームだと思います。

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  2. いつも詳しい解説をありがとうございます。
    今年も楽しみにしております。

    図が新しい形式になりましたが、選手の名前のフォントが小さく、また黒字が背景の濃緑色と重なって見にくく感じます。
    もう少し選手の名前が見やすくなるように変更をお願いいたします。

    返信削除
  3. いつもお疲れ様です。
    去年からの積み上げもありながら、左利きの右アタッカーが加わって新しいことにもチャレンジしあと1週間程度の開幕でしっかり戦える形にと徐々にコンディションも上がってきているように思います。
    京都戦、特に前半に限ってはフォアチェックが多かったように感じました。
    昨年も取り切らないまでも遅らせるために行く場面は見られていましたが、今年はかける人数が多いと言うか、ホルダーからの出しどころも埋めながら何名かでいっているようなイメージでした。
    京都がパスサッカーなのでコースを切りたかったのか、サイドバックが高い位置を取っていたことも関係しているのか、たまたまかはわかりませんが…。
    あとはCB脇のスペース攻略が唯一と言っていいような攻撃の形だったのが、CB脇が使わない形が増えたのは面白いですね。
    坂元の怪我と西川の海外移籍がダブルで起こったり、去年みたいにFWが立て続けに怪我みたいなことはないことを祈ります。
    藤田も怪我っぽいですし。

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