すでに巨大企業になっているアリババやテンセント。ここから成長していく事も可能なのですが、以前のような5〜10年ぐらいで株価が10倍・20倍といったものを狙うのは難しいかもしれません。アマゾンやマイクロソフトもそうなのですが、これらの大型IT企業はすでに規模が大きくなりすぎているため高成長というよりは安定した成長へと移行していくのではないだろうか。

そうなった際の株式投資で大きな利益を狙おうと思うと、次なる成長企業を探す必要性が出てくることになります。僕ならば、次に狙うのはオンライン診察が今のところは有望な投資先だと考えています。

アメリカ市場または国際的な市場であれば前回の記事に書いたテラドックになると思いますが(またはアマゾンケア)、中国市場であれば平安ドクターが今は一番有力な感じではないだろうか。

中国市場は、外資が入りにくい市場であるため、他の市場とは別物と考える必要があると思います。国際的なスタンダード企業であったとしても中国市場で成功するとは限りません。逆に中国市場に特化している中国企業の方が中国市場を支配しやすいでしょう。

また人口が14億人と巨大であるため中国のみで十分に広大な市場があり中国市場だけを支配するだけでも巨大企業が誕生します。アリババやテンセントがそのよい例だと思います。

さて、中国におけるオンライン診察でトップを走っているのが平安ドクター(平安好医生)です。平安健康医療科技(香港市場:1833)という企業が提供している医療アプリです。もともとは平安保険という中国でも1〜2位を争う巨大保険企業の一部門だったのですが、分離独立して上場しています。この企業に関してはソフトバンクのビジョンファンドが出資しているので知っている人もいるのではないでしょうか。

平安ドクターのアプリ


平安ドクター(平安好医生)のアプリでは、チャットやテレビ電話などで症状をドクターに伝え、それを元に診断して診断書がオンラインで届き、病院に受診が必要な場合は病院に予約を入れる事ができ、服薬で済むようであれば処方箋が発行されてオンライン薬局より郵送でお薬が届く形になります。一部の都市部などでは1時間以内にお薬が届く形になるので全く病院・薬局に行く必要がありません。

平安ドクター(平安好医生)は2.5億人のユーザーを獲得しており、診察件数は1日45万件、提携している医師は2万人以上、提携病院は5000院以上、提携薬局は1万店舗以上となっています。

平安ドクターの強みは親会社が平安保険という中国でも1・2を争う巨大保険会社であるという点です。巨大な中国という市場において、生命保険・損害保険ともに業界2位という地位につけており、生命保険・損害保険・銀行業と総合的に手掛けている一大金融グループに属しています。

特に保険企業が親会社であることから、親会社からのプッシュにより利用者を獲得していく事が出来ています。平安保険の営業マンは、顧客に対して平安ドクターのアプリの利用を勧める事が多いです。それは、これを利用することで利用者のあらゆるデータが入手できるからです。それを元に営業を掛ける事で効率的・タイムリーに顧客にお勧めの保険商品を提案することが出来ます。

今の健康状態などをもとに保険を提案されたら、誰でも保険に興味が高くなるでしょう。だからこそ、平安保険の営業マンはこのアプリを勧めてきます。営業マンにとっては必須の営業ツールなのです。

ゆえに、オンライン診察においては後発だった平安ドクターはあっという間に先行者を追い抜き業界トップになっています。

平安ドクターは2014年創業(アプリ提供開始は2015年)ですが、テンセントが出資しているウィードクター(微医:WeDoctor)は2010年創業となっており、4〜5年ほど平安ドクターの方が後発なのですが今のところ業界トップに躍り出ています。

このまま業界トップを走り続ける事が出来るのか? それとも競合他社が巻き返してくるのか? 最大のライバルはもちろんテンセントが支援しているウィドクター(微医)ですね。

テンセントという中国人ならだれもが使用している個人SNSアプリを介してウィドクターへと流入するように動線をつなげていく事が上手くいけば平安ドクターの脅威となるでしょう。しかしながら、現状では平安ドクターの方に軍配が上がりそうな気がしています。

保険会社とオンライン医療アプリの親和性は高く、保険会社の顧客や潜在顧客へとアプリを浸透させていく戦略は非常に上手いやり方だと感じます。健康に興味がある人をひきつけつつ、グループ企業で顧客を回していく。

保険・医療・金融という一連の輪を上手く組み合わせているのが平安保険グループであり、その一端を担う平安ドクターには優良な顧客が集まりやすい環境になっていると感じます。

平安ドクター(平安健康医療科技)もアメリカ企業のテラドックと同じようにいまだに赤字経営であり、今は先行投資の時期であることから、業績は非常に不安定だと言わざる負えません。売上はグングンと上がっていますが、利益は全く出ておらず赤字続きである事が大きな懸念材料でもあります。

しかしながら、大きく狙うのであればこういった未来の企業への投資こそが資産を飛躍させる源となります。もちろん、成長するかどうかは未知数ですけどね。明るい材料とすれば、来年度には黒字化になりそうだという報道がある事かな。

決して全ての方にお勧めできるような銘柄ではないですが、僕はこういった平安ドクター(平安健康医療科技)みたいな銘柄を1つぐらいは保有しておくことで資産にピリッとしたスパイスを効かせる事が出来て、面白いと感じるんですけどね。

大穴狙いが好きな方は、ご参考にしてみてください。


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