海棠の花の似合う女 | 無精庵徒然草

無精庵徒然草

無聊をかこつ生活に憧れてるので、タイトルが無聊庵にしたい…けど、当面は従前通り「無精庵徒然草」とします。なんでも日記サイトです。08年、富山に帰郷。富山情報が増える…はず。

Kaido ← 海棠 (画像は、「季節の花 300」より)

 

  最近わりとよく見る夢。我輩が帰省し、父母とあれこれあったあと、帰省時に暮らしていた屋根裏部屋から、父母も寝静まった夜中、トイレか、それとも何か取りに下へ降りてきて、台所を通って別の部屋へ向かおうとする。すると、流し台の方に何か異変を感じる。見ると、調理台の上の電気ポットの蓋から(蓋に直径2か3ミリの穴が開いていて)水が漏れている、それも勢いよく真上に吹き出ている。
 どうやら、ポットに蛇口から見えないホースで繋がっていて、元栓自体が開いているらしい?  吾輩には手の施しようがなくて、途方に暮れている。経過はバリエーションがあるが、最後のポットから水が吹き出ていて(ああ、お袋、止栓するの忘れてるな……)、途方に暮れている場面だけ同じ。

 

「草枕」を読んでる。ようやく物語らしき話になってきた。画家たらんとする主人公が旅に出た。詩的感興を求めて。山間のとある謎めいた宿に泊まる。ほとんど誰も泊まらないようで、若い女にたまたま空いている部屋に案内される。何処の宿なのか。窓の真ん前には海。窓外に女の影。案内した女。海棠の花の面影。ここで我輩、困った。海棠が分からない。あるいは、我が家の庭にあるかもしれん。調べてみた。植物というと、いつもお世話になっている、「季節の花 300」へ!

 

 余談だが、「海棠睡り未だ足らず」なる有名な言いまわしがある。「玄宗皇帝が酔後の楊貴妃を評した言葉」とか。あるいは、漱石のことだから、この辺りの歴史(逸話)を踏まえての話なのかもしれない。そのうち、注釈に出てくるかな。「草枕」も、かなり難しい作品。詩境というか画境というか、ある意味宗教的覚りでもあり哲学的窮極でもある、極めて微妙且つ玄妙な境位を窮めんとする。西田哲学の絶対矛盾的自己同一に行き着く? 一方、さすがに小説上の工夫というか、地元の人がキ印だから関わるなという、謎の女が去来して主人公を悩ます。 やはり、ここは海棠の出番だな。

 

 漢語がやたらと出てくる。禅宗系の悟りの境地を示すような漢語の羅列。すると、何か深いことを喝破したような、分からないお前は俗塵にまみれてるからだと、切り捨ててしまう。問題が片付いたようで、その実、頑迷固陋の弊を晒しているだけだったりする。

 

Soseki3-2 ← 『夏目漱石全集〈3〉』 (角川書店 1974年)

 

 「山路を登りながら、こう考えた。知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。 意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」この抜群な冒頭の掴みで有名な「草枕」や「二百十日」「野分」その他、書簡などを所収。昨夜は、日中の庭仕事で疲れたのか、寝落ちして20頁も読めなかった。この僅かな部分だけでも感じるのは、文章のレベルの高さ、密度の濃さ。古今東西に渡る素養の厚さ。


 小難しい漢字熟語の頻出は、普通なら煩わしいし、教養をひけらかすように感じられ勝ちだが、漱石は違う。明治の文豪は、和はもちろん、漢籍も当たり前。維新を賞揚したり、日本の伝統を誇るなら、少しは江戸の文化人が血肉にしてきた中国や日本の古典にもっと親しめ、と言いたい。斯く言う我輩は、素養の薄さを隠しようがないので、殊更なナショナリズムを唱導するつもりはない。密かに淡々とあれこれ読み散らすばかりである。

 

  中学二年だったかの頃の愚かな失敗。それは夏休みの宿題。確かある岩波新書(渡り鳥の方向感覚?)の感想文の提出。吾輩は感想文など書いたことがない。そもそも、感想文ってことが理解してない。吾輩は、真夏の暑さを避けようと、奧の座敷に腹這いになって、連日せっせと感想文を書き続けた。が、それは感想文じゃなく、(よく言えば)梗概で、1冊まるごと、全文の要約なのだった。レポート用紙で何枚になったことやら。さて、その評価は?


 実は近所に同級生かいた。彼は、なんと数行で片付けたとか。その彼の<感想文>のほうが、我輩の労作より評価が高かった! ちなみにその彼、二十歳になる前に美人と早々と結婚。
 我輩、何を書けばいいのか、宿題の意図しら理解してなかった。感想だと、それこそ面白かったの 一行で終わりそうだったし(あるいは、よく分かりませんでした)、結局、ただ内容紹介のような訳の分からないものに。覚えているのは、広い座敷で何日も耐えたあの夏の日々の暑さだけ。
 上の呟きを書いて数時間して思い出した。夏休みの課題に出された本とは、桑原 万寿太郎 著の「動物と太陽コンパス」 (岩波新書 1963年) だった。

 

 野党(合流新党)の代表選討論会を一部聴いた。与党の総裁選討論会と比べての大きな違い。与党側は石破さんも岸田さんも、口調がゆったり。噛んで含めるように。いろんな支持者有権者に分かるように。野党側は、二人とも口調が攻撃的というか、喋りが早すぎる。喋りたいことが多々あるのだろうが、いろんな聴き手の存在を意識して、要点を簡潔にゆっくり話すよう努めるべきではなかろうか。

 

Iut  ← 加藤文元著『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』(角川書店)「理論のエッセンスを一般の読者に向けてわかりやすく紹介。その斬新さと独創性を体感できる」

 

 加藤文元著の『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』(角川書店)を一昨日より読み始めている。IUT(宇宙際タイヒミュラー)理論を紹介する書。

 IUT理論の極めてユニークな特性が念入りに語られる。19世紀に非ユークリッド幾何学が数学(幾何学)の世界に革命を起こした歴史に匹敵するとか。着想もだが、使われる数学言語もユニークで、数学者でも理解に数年あるいはそれ以上の年月を要するかも! だって。じゃあー、我輩に理解なんて無理よね。でも、著者はなんとかイメージだけでも掴ませようと頑張っておられる。そうである以上、最後まで食らい付いていく!