「バットマン'66」の効果音 | FANDOMAIN 『アメコミ効果音辞典』

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米人から見た面白コミック、映画などを紹介するブログ。特にビンテージ物が好き。コミックに使われる効果音の研究者。「アメコミ効果音辞典」の発行者。

アメリカンコミックスのファンというのは一つのタイプではない。MCUの映画やティム・バートン作「バットマン」が好きな人はコミックスを読んでるとは限らない。スーパーヒーローが好きでも、一度もちゃんと読んだことない人はほとんどだと思う。その人たちの効果音のイメージはきっと50年前のある番組の使い方のイメージだろうなと思う。

僕も12歳までは持ったコミックは少なく、スパイダーウーマンの単行本と「マーベルスペチャルエディション#1:スターウォーズ」ぐらいしかなかった。僕は50年代のテレビ実写版「アドベンチャーズ・オブ・スーパーマン」、60年代のカートゥーン「バットマン・スーパーマン・アワー」と66年のテレビ実写版「バットマン」の再放送と70年代のカートゥーン「ニュー・アドベンチャーズ・オブ・バットマン」「スーパーフレンズ」やテレビ実写版「アメージング・スパイダーマン」「インクレディブル・ハルク」と映画実写版「スーパーマン」をリアルタイムで観てました。スーパーマンの映画が出るまでは、僕は完全にバットマンのファンだった。カートゥーンよりも66年からゴールデンタイムに放送された実写版「バットマン」(「バットマン'66」と省略)が好きだった。

この時代のバットマンには「ダーク」の部分は全くなくて、逆にスーパーマンとならぶ明るいヒーローだった。色も性格も。真剣は真剣だけど、法律はちゃんと守るし、親が亡くなったことで悩みを抱えてる様子はなし。それがあったから他の人に同じ思いをさせないという考えからヒーローになったブルーズ・ウェインは病んでるとだれも思わなかった。

80年代でポストモダンな悲観主義が主流になり、ダークヒーローの人気がぐんと上がった。ウルバリン、パニッシャー、バッジャーなどが大人気になり、明るいヒーローなんて子供向けだという考えが広がった。そしてアラン・ムーアの「ウォッチメン」とフランク・ミラーの「ダーク・ナイト・リターンズ」が出版され、両方大ヒットになり、「ダークが売れる!」という単純な視点は当たり前に。ムアーもミラーも「ダークにしよう」という考えはメインではなく、「ヒーローが本当にいたら、きっと壊れてるか曲がってるかの可能性が高い」というスタンスでしょう。ミラーのバットマンは、当時のバットマンを描いてたわけではなく、「バットマンを10年もやめて、そのせいでブルース・ウェインがおかしくなる」というバットマンを描いてた。つまり、ブルースにはバットマンが必要。バットマンとして活動しないと、ブルースは自分の中の暗闇に飲み込まれてしまうというストーリーを作った。メインのコミックシリーズでは、バットマンのストーリーラインが暗くなってても、バットマン自体は子供が読んでも大丈夫な健全なヒーローでした。

そしてティム・バートン監督のバットマンが上映される。スーツは黒だし、ブルースは間違えなく親のことで病んでる。当時の僕は、映画化されることは嬉しかったよ。初日に並んで見に行った。でもこの暗いバットマンはどうなん?と思ってた。ジョーカーはなぜ死なせる必要あった?と思った。その後、どっかの記事で監督本人は「ダーク・ナイト・リターンズのバットマンをベースにしてる」とはっきり言った。そこが問題と思った。その後のコミック、カートゥーンなどは全部ダークにダークになり、明るいバットマンが消える。正直に言うと、暗いバットマンでもめっちゃ面白いと思ってるよ。バートンのイメージがベースになってる「バットマン・ザ・アニメーテッド・シリーズ」が傑作だし、ヒース・レジャーのジョーカーの演技は天才的だと思ってる。が、、、

「スーパーマン対バットマン」の最後に出てくる希望を持ったベン・アフレックのバットマンがまさに僕のバットマンだなと思ってる。明るいバットマンもあってもいいと思う。最近「バットマン’66」のコミック版が出てきて、懐かしいと思ってる方は少なくはないだろうな。「暗いから面白い」という考えはやめようぜ。

という話をさておき、バットマン’66に出てくる効果音について少し語りたい。各ストーリーは2パートに分けられて放送されてて、後半に必ずバットマンとロビン対悪役の大勢の子分(英語:henchmen)とのファイトシーンがある。そのシーンにはコミックブックっぽい効果音が画面いっぱいに出るということが印象的。みんなをよくわかってほしいのは、この番組はパロディーの様子は多くて、使われる効果音は笑いを取るためのやつが多い。第2エピソード「Smack in the Middle」に出てくる効果音を順番に分析しよう。

  1. KRUNCH! - 僕が作ったアメコミ効果音辞典では、CRUNCHなどは「何かが一緒に潰れた音」です。骨が砕かれ潰された音かもしれない。砕けた文字対で意味がさらに伝わる。
  2. ZLONK - これは間違いなく笑いを取るためです。打撃では、Zが出てくることはあんまりない。次の効果音のほうがマシ。
  3. KLONK! - 鈍い衝撃音CLUNKとBONKに近い。これもどっちかというと笑い系です。頭と頭が衝突する感じだね。
  4. BAM! - 昔は幅広く使われた。パンチ、武器の発射音、衝撃音など。定番だね。
  5. KAPOW! - こっちも武器の発射音、衝撃音などに使われて、定番です。サイケなデザインが印象的。
  6. OUCH! - 痛い!という意味。効果音ではないけど、本人の気持ちはわかりやすく伝わる。よくみるとロビンのパンチラが、、、
  7. WHAMM!! - こっちも定番のWHAMから。最後の文字を伸ばすことで強調されてる。このビジュアルで真ん中のAが強調されてることが面白い。
  8. ZAP!!! - 普段は電気系の効果音に使われる。文字対もなんとなく電気が走ってる感じです。
  9. KAPOW! - また来た。しかも色違いの同じグラフィック。POWの前にKAをつけることでパンチがあたる時に、骨が当たった瞬間と相手を吹っ飛ばすパワーを感じさせる。パン!じゃなくてパパーン!みたいに。
  10. URKKK!! - のどが詰まる、首が絞められる、苦しい時に出す声の音です。ARGHとCHOKEの組み合わせから生まれたと僕は推理してる。最後のKを増やすことで苦しんでる時間が少し長くなってる。
  11. ZOK!! - SOCKというのは「パンチ」って意味を持つし、パンチが当たったときの音も表してる。なんとなく空洞のあるもの(口に近い顎)を思わせる。この番組はどうしてもZから始まる効果音を使いたかった。まあエネルギーのある音だからだろう。
  12. BIFF!!! - どうしても弱いパンチか、柔らかいとこに当たった攻撃(腹など)に聞こえる。Fはわりと優しい音ですからね。
  13. ZZZZZWAP! - これがまた電撃的なBUZZ音を表すが、画面にはそのようなものは存在しない。WAPの部分は衝撃音で、手のひらが顔にあたる(ビンタ=SLAP)ような音。

ちょっとだけ書こうと思ったが、こんなに長くなってしまった!

こう言った効果音は今のアメコミにはあんまり出て来ない。定番すぎるとか、ダサすぎるとかの理由で。あと、テレビだから画面いっぱいに出てきてるげ、コミックではこういう使い方は極めて少ない。それでも「アメコミ風」というデザインにはこういう使い方が生き残ってる。アメコミ=ダサいというイメージは卒業しようぜ。まあ、バットマン’66には責任があるけど、僕は主にR・リヒテンシュタインのせいだと思ってる。

 

CMです:もう少しで「アメコミ効果音辞典」デジタル版が出来上がる。興味ある人は僕のTwitter (@patokon)などをフォローをしてください!

 

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