直腸がんの標準治療

2020 ASCOでは

直腸がんの標準治療についても

重要な話があり

直腸がんの治療については

日本と欧米では異なっており

手術はさておき

前後の化学療法や放射線療法は

選んだ施設で提案されるパターンが色々

ただし出来た場所や進行具合でも

異なるのは当たり前

去年も2回ほど書いた話をおさらいすると

大腸癌治療ガイドライン 2019 年版でも
　CQ25：R0 切除可能な直腸癌に対して
　術前治療は推奨されるか？
　①局所再発リスクが高い直腸癌の場合は
　術前化学放射線療法を行うことを弱く推奨する
　（推奨度 2 エビデンスレベル B）

直腸がんと結腸がんは別のがん？

『直腸がんと結腸がんは別のがん？』新しいガイドラインを見ながらもう一つ気になること直腸がんと結腸がんの治療の違い以前から同じ大腸と言っても治療方法も微妙に違うしフォローの検査間隔も違う直腸がん…

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放射線治療の施行率は
欧米の約6割に対し日本では3割程度

それでも個性的な治療方針の施設として

東海大では術前化学放射線療法を推奨
HPに堂々掲載されてる治療

手術治療のみでは15- 20%にのぼる骨盤内の再発率を2 - 3 %に減
癌を縮小させて永久的な人工肛門を避ける

がん治療での放射線治療の位置づけ

『がん治療での放射線治療の位置づけ』臨床では脳外科では照射治療を良くしてて子宮などの骨盤内臓器でも内照射（体の内側から放射線をあてる）とか患者さんを通してそれなりに知識はあったつもりでも「がん」…

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詳細を個々の体の状態に合わせて

きちんと説明してくれるのが

良いDr.だと思う

少なくともこのガイドラインの内容は必須

大腸癌治療ガイドライン 2019 年版

今や照射も色々な方法があり

お高い機械が全ての医療機関にあるかというと

そんな訳はないし

照射については過剰治療による

後遺症などの可能性もあり

やれば良いと単純に言えない

特に放射線は晩期障害として

あとから障害が出てくるから

生存率の改善に関して結論も出ていない

手術みたいにメリットがはっきりしないという訳

そんな今だから興味深い

東病院の谷口先生のレポート

局所進行直腸がんに対する標準治療

欧米では術前化学放射線療法

＋根治的外科切除（＋術後補助化学療法）

日本では根治的外科切除

＋側方郭清＋術後補助化学療法

これを標準としている施設が多い

近年、欧米に準じて

術前化学放射線療法を実施する施設も増えてきた

この術前化学療法も併せて実施する

Total neoadjuvant therapy（TNT）と言う方法

従来の標準治療との比較試験での

長期成績は明らかではなかったそうで

TNTの有用性を検証する第III相試験の1つ

RAPIDO試験の結果が欧州から報告されたという

結論から言うと

長期生存の結果は不明であるものの

術前の照射化学療法は

術後の実施よりも

有効性が高かったという

同様の試験が欧米で複数実施中で

これらの試験の結果が待たれるものの

欧米は術前の照射化学療法が

主流になっていく印象を受けたという

このshort course RTというのは

術前照射として5Gy/回を 5 回というパターン

詳細を見ると

ちょっと局所再発率は高め

今後の試験の結果が出ないと

日本の標準治療は変わらないかな

直腸は色々な神経や筋肉が複雑に絡み合う場所

まだ先は長そう

この試験の詳細は

T4 or N2などの高リスク局所進行直腸がん患者に対して

標準CRT群（カペシタビン併用 RT 50～50.4Gy/25～28回＋手術＋術後CAPOX 8サイクルもしくはFOLFOX 12サイクル）と

TNT群（short course RT 25Gy/5回＋CAPOX 6サイクルもしくはFOLFOX 9サイクル＋手術）とが比較された。

920例が登録され

年齢中央値62歳、T4約30％、N2約65％で両群に差はなかった。

病理学的完全奏効率は

CRT群14.3％、

TNT群28.4％で、

有意にTNT群で良好であった。

主要評価項目のDisease-related Treatment Failureは

3年時点で

CRT群30.4％、

TNT群23.7％で、

TNT群で良好であった

（HR：0.75、95％CI：0.60～0.96、p＝0.019）。

3年時点での遠隔転移再発率は

26.8％ vs.20.0％（HR：0.69、p＝0.005）、

局所再発率は

6.0％ vs.8.7％（HR：1.45、p＝0.09）であった。