※日替わりオープニング曲を聴きながら読んでいただけると感情移入もなんとなくできて

楽しく読んでいただけると思います

すぐ終わってしまうので動画画面上で右クリックしてループ再生推奨

 

 

 

 

 

 

人界に壊滅的な打撃を与えた魔族VS人界軍の戦争は、
ついに終わりの時を迎えようとしている

この戦いの全てのきっかけをつくった元凶ドクタ-ベルケルは、
人界軍に破れこそしたが、退却時に満足気な表情を浮かべている

ドクタ-ベルケルは腹心の部下であるハイデルにその理由を話す


ハイデルは話を合わせた 
「そういえばこれでようやくドクタ-ベルケル様の悲願であった、
魔界と人界との正しき関係へと導けましたね♪」
「さすがはドクタ-ベルケル様です」

「ああ、私なりに正しき道へと導いたつもりだ」
「どうだ…?」

「最高ですよ♪」

ドクタ-ベルケルは笑う
「くくくっ」
「これでようやく努力の甲斐が報われた」

「魔界と人界との共存などあり得ぬわ!」

がらりと表情は変わる
「次だ!」
「次こそ覚えておれ人間ども…」

「我が実験はまだまだ改良の余地がある!」

「次は更なる絶望を知れ!」
「そして死を受け入れろ…!」



「くくく」
「あ--はっはっはっ…!!!!!」


そう言い残すとドクタ-ベルケルは、
全軍を飛べない者は空の穴へと導き、
闇の彼方へと消えていった



死闘の果てにようやく人界軍は勝利する
しかし、いまだに人界軍は勝利したことが信じられずにいた

「やっ…た…の…か…?」



しかし、徐々に実感が湧いてくる


そして…!



「うぉぉおおおお--------!!!!!!!」


人界の人びとは喜び!涙を流し!抱きあう!

本当にこの瞬間まで命をかけて戦った!

これまでに本当に多くの者たちの命が魔族によって奪われた!


アポロンもまた勝利の余韻を噛み締める

そんな時…
あることに気づきあの人物へと駆け寄る
「アフトクラトラス様…!?」

「よくやってくれたな」

「いえっ…!」
「ただ無我夢中で」

「そんなことよりもお怪我は!?」

よくよく見てみると鎧から血がぽたぽたと落ちている
慌てて鎧を脱がすと包帯の上から血が大量に出血していた
実はアポロンがアフトクラトラスを、
助けたときにはもう腹を刺されていた
本当ならそのまま倒れてもおかしくはない
アポロンは止めたがアフトクラトラスは言うことを聞かなかった
そんな状態でもなお、戦うことを選択した
死してもなお人界を救うために行動した


「アフトクラトラス様…!?」

「よい」
「これしきの傷は医者に見せればどうとでもなる」


すると突如として立ち上がる
フラフラの状態でありながらアポロンを背にして反対方向へと歩き出す

「アフトクラトラ様…?」
冷たい態度に何か違和感を感じる


アフトクラトラスはアポロンを背にしながらその真意を語る
「私には守るべき家や周りの目がある」

「戦いが終わった今…」
「これ以上、下民と馴れ合うつもりはない」

「えっ…?」

「もう対等ではない」
「身分をわきまえろ」


「アフトクラトラス様…」
アポロンは悲し気な表情を浮かべる

「こうして余と今もこう話せるだけでも感謝しろ」

「はい…」
アポロンはそう答えるしかなかった


「ゆくぞ…」

「はっ…」
そう言うとアフトクラトラスは家臣たちに背を預けながら、
アポロンの元を去っていく


普通の者ならここで怒りや侮蔑の思いにかられるだろうが、
アポロンにそんな気持ちなど微塵も湧きはしなかった
理由など関係ない
アフトクラトラスは己の全てをかけて戦ってくれた
それが全てだ
アフトクラトラスの存在なくしてこの勝利はない
断言できる

むしろ感謝している
感謝してもしきれないくらいの恩を感じていた
だがそれに加え、寂しい気もする
短い間だったが、このアフトクラトラスと共に過ごせた時間はかけがえのないものだった


そんな折りアフトクラトラスは立ち止まり、
周りの家臣たちに語りかけた
「いいか…」

「これは独り言だ」
「何も気にする必要はないし、一切他言無用だ」


家臣たちはコクリと頷く

そして独り言を小さな声でポツリと話し始める
それは一言だった




「人界を救ってくれて…」








「感謝する」









アフトクラトラスはさらに続ける

「死んでいった者たちに黙祷を捧げようか」



すると振り返り…



アフトクラトラスは少し頭を下げた

周りの兵たちもまた頭を下げる



だが周りの者たちは驚愕する!

それは死んでいった者たちではない…!
(もちろんそれもあるだろうが



明らかにアフトクラトラス含め家臣たち全員がアポロンに頭を下げていた!
身分など関係ない!
アフトクラトラスなりに感謝の意を表しているのだ!


そして何事もなかったかのようにその場を立ち去る
「ゆくぞ」


「はっ…」


アポロンは去りゆくアフトクラトラスの背中を見つめる
涙が出そうになる
過ぎてしまえば、これは夢なんではないかと思うくらいに、
あっという間の時間だった

「アフトクラトラスさ(ま゛)…!」

アポロンはアフトクラトラスを呼び止めようとするが、
それを押し殺し、くるりと反転し、
アフトクラトラスを背にして決意の眼差しで歩き始める

なぜならば、これからも歩み続けなければならないからだ
魔族の大侵攻は食い止めることができた
だがその代償はとてつもなく深く幾万の尊き命が失われた

再興への険しき道が待っている

それに人界内の争いは終わってなどいない
多色家に加え、その他の国々がまた血で血を争う戦いをし続けるだろう


アポロンは下民の自分に一体何ができるのか?

何をすべきか?

そう自問自答しながら前を向いた
これからおこるであろう未来に、果てしなき危険を感じながら…





こうして未曾有の魔族軍対人界軍の戦争は終結した



しかし、魔族たちによる大侵攻は終わってなどいない








場面は現代へと戻り…

再び魔族による大侵攻が人界を襲わんとしていた
だがかつての戦争とは明らかに異なる点がある

それは…



とある映像が頭の中に流れてくる

「ぬ゛ぉぉお゛お゛お-----!!!!」

ある者が魔界と人界を繋ぐ穴から落ちてくる

下に人界軍と魔界軍との一大決戦に備え大軍勢が集結している

人界各国の選りすぐりの精鋭たち
そして誰しもが認める人界最強と名高い面々…
その大軍勢は総々たるメンバ-だ
人界軍は前回とは違い万全の体制で陣を引き待ち構えている

そして現在それをまとめたるは聖王シャルド
シャルドはまっすぐにこの人界を呑み込まんとす穴を見つめる

そこからこちらへと突っ込んでくるとある者を凝視する…
その者を見て聖王シャルドは人界軍に号令を放つ!


「全軍…!」」

「はなっ…!!」



「お待ちくだされっ…!」
ダンブルドアは制止する

シャルドとダンブルドアは堂々たるオ-ラを醸し出していた
絶望の中ダンブルドアは立ち上がり
そしてあの小柄だった少年シャルドは見事な青年へと成長し人界軍をまとめている



「なぜ止める」

「じぃ…?」



「はい…」
「まずあの者たちは斥候かと思われます」
他にも落ちてくる者たちはいた


「斥候に我々の一斉攻撃をさせて、
その隙をついて魔界軍の本体が進行してくると思われます」


「流行る気持ちはわかりますが…」
「その一斉攻撃した直後の隙をつかれます故に決して攻撃してはなりませぬ」

「それに…」
「あの者から放たれる邪悪な気配」
「ただ者でないことは明白」

「奴らは一体何を考えているの分かりませぬ」
「くれぐれもご慎重に…」

「そして最大の障壁は魔王」
「20年前、私はあの底知れぬ魔王の絶対的な力に生まれて初めて恐怖しました」

「しかし我々もあれから進化しかなり強くなっているはず…」
「それに加え今は頼もしき同胞たちがこれほどいます」

「しかし、あれは今いる人界軍総出で戦って六分四分で勝てるか否か…」
「ですから、できるだけ魔力や体力は温存しておかねばなりませぬ」

「分かった…」
「じぃ」




そして場面は空から降っているきている者へと…
その空から降ってきているある者は歯ぎしりする

「ぐぬぬぬっ…!!!」

「本来はこうなるはずではなかったのにワタルめ゛ぇ゛---!!!!!!」


その者はドクタ-ベルケルだった
ドクタ-ベルケルの恐るべき野望は、
本作の主人公ゴブリンであるワタルたちが、
仲間たちと共に立ち上がり、
様々な者たちを巻き込みながら壮絶な死闘の末に、
見事ドクタ-ベルケルの野望を阻止することに成功する



そしてドクタ-ベルケルは何かに気づいたように叫ぶ
「謎の民よっ…!」


「このままワシがそのまんま、おいそれと死ぬと思っているのか?」

「貴様らの思い通りになると思ったら大間違いだ!!!!」

「わしは絶対に諦めんぞぉ゛---!!!」
「ぜっ…たいになぁ゛---!!!!」


場面は少し進み



「死骨壁ぃ゛--!!!」
ドクタ-ベルケルはライアンによる剛撃を何とか防いでいた

ライアンはあの戦争による死戦を生き抜き今ここに参戦している
あの頃よりもさらに強さに磨きがかかっているように感じられる

それにライアンは激しい憎しみを覚えドクタ-ベルケルと戦っていた
なぜならば大切な部下たちを大勢殺されたからだ

底知れぬ憎悪と共にドクタ-ベルケルめがけて駆けて行く!

「ぬ゛ぉ゛ぉぉおおお------!!!!!」
だがライアンは何かがひっかかるのを感じていた
それが何かは分からない
胸の内から溢れでてくる部下たちを殺された憎悪以外の何かを…




そして場面は少し進み…

ライアンはドクタ-ベルケルと戦うが1人では止められない
だがしかし、ライアンの横にとある1人の影と共に戦っているのが見える


ライアンはその影に向かって叫ぶ!

「感謝する!」
「ジャンヌダルク殿!」


何とライアンはジャンヌダルクと共闘していた
それでも流石は魔界軍の幹部ドクタ-ベルケル!


ライアンやジャンヌダルク二人が共闘してもなお苦戦をしいる

二人は苦しそうな表情を浮かべている

そんな時…
その戦いを見守る聖王シャルドと大賢者ダンブルドアはポツリと呟く

「若武者がゆくな…」

「ええ」
「あの二人は最も適任かと」

「なぜならば…」



その若武者と呼ばれる者は赤い鎧を着ていた
そしてその若武者と呼ばれる者は、
ライアンに向かって大声で語りかける!





「父上ぇぇぇぇええええ------!!!!」





ライアンは驚く!
「なっ…!?」

「タイガか…!!??」
自分の子の名前を呼ぶ!
若武者とは何とライアンの息子だった


「危ないからどいておれっ!」


タイガは反発する
「いいえ…!今回ばかりはどきませぬ!」
「なぜならばっ…!」


「ええ…!」
「私も同感です!」
ジャンヌダルクもタイガに同意する

 

 

 

 

 

場面は人界軍がいる所から遠く離れたとある城へとうつる
 

 

※ムズガルド帝国編81参照

 

 

そしてその地下へと…
そこはいかにもといった地下牢だった
悪臭がし、暗黒ねずみがはびこっている

「うっ…」
「うっ……!」
泣き声が聞こえる
「だめっ…」
誰かに訴えているようでもあった


「魔族たち…と…」
「戦っては…だ…め」

「あの…とき」
「彼ら…は…」

「悪意あ…る…」
「何者かによって…」




「操られ…て…いた」




「魔族たちは決して裏切ってなど…いな…い」

「あの時…」
「交わし…た…」
「約束は…」



ふとその時のことを思い出す
その女は人間と魔族に囲まれ笑っていた
「人間と魔族との平和の約束…」


「はっはっはっ」
「大丈夫だ」
「案ずるでない」
角を生やした巨漢のデビルは笑う

「いかにも…」
「我も尽力しよう」
「人間との共存の道を…」
鎧のみの魔族も答える


「うん約束だ○○○」
「俺っちは忘れないゾ」
ハットをかぶった子供のような悪魔もにっこりと笑う

「はい^^」
○○○は幸せだった
これから明るい未来が待っているとそう信じていた
しかし、その儚い希望は打ち砕かれる




みんなと別れてから会うことはなく約一年後…


突然優しい声が聞こえた気がした
巨漢のデビルを見ると涙を流していた
血の涙だった

「ス…マ…ン゛…」


「う゛ぉぉおおおおぉぉ------!!!!!!」
巨漢のデビルは○○○を物凄い勢いで投げ飛ばした!

その時また後ろから声が微かに一瞬聞こえる
ハットの魔族の声だった



「イキテ…」



○○○は巨漢のデビルによって外へと物凄い勢いで投げ飛ばされる!

○○○は一瞬気絶してしまう
ふと気がつくと目の前には地獄が広がっていた
村は炎の海に包まれている

あまりの光景に言葉を失った
そして村人の断末魔のような阿吽発狂する叫び声が聞こえてくる

 

そう…

この日とは前戦争で魔族たちが大侵攻してきた日だ

 

 

 

場面は進み…

 

○○○は言った

「あの時私は虐待されていた」

「この特異な力で気味悪がられ虐められていた」

「そんなことがいやで脱走して森で迷ってしまい気づけば気を失っていた」

「このまま死んでもいいと思った」
「そんな時あの魔族たちに出会った」


「おい来てみろ…!」

「スゴい傷だな」

「手当するっす」

魔族たちは優しく彼女を介抱する
傷が治るまで一緒に過ごした
魔族たちは当然のことをしただけと思ったかもしれないが、
それが彼女をどれだけ温かく太陽のように照らし、
勇気づけたかは想像にかたくない



「それに私たちは誓った…」
「だから魔族たちがあんなことをするわけがない!」

「絶対にっ…!」


そう彼女は心の声で言った
今は劣悪な環境でほとんど声を発することもできない


彼女は知っている
もうすぐ魔族たちとの戦争が始まってしまうということを…


空に手をかかげながらかすれた声を振り絞る
「ダ…メ…」

「戦っ…て…は…」



場面はジャンヌダルクへと

「必ずや恨みは晴らして洗脳を解きます」
ジャンヌダルクは心に誓う


大空を見上げて彼女の名を呼んだ




「アリス…」




「姉さん!」



○○○はアリス

ジャンヌダルクの姉だった





 

場面は戻り

 

ライアンは二人の思いを察知し、ドクタ-ベルケルへと構える
それにタイガはもう子供ではない
ライアンはタイガの力を信じることにした


そしてライアンもまた二人の思いを聞き、
自分の中のもやもやしたものがはっきりと浮かびあがるのを感じる

そして3人はドクタ-ベルケル目指し、
胸の中に、こみ上げてくる思いを叫び駆けて行く!


「この者はぁぁ-----!!!」


「何としてもっ…!」





3人は一斉に叫ぶ!



ライアン「討たねばならぬ魔族である…!!!」


ジャンヌダルク「討たねばなりません…!!!」


タイガ「討ちます…!!!」


ライアンやジャンヌダルク、タイガたちは、
このドクタ-ベルケルが何者なのかは分からない
あの大戦争はこの男によって引き起こされたということは知らない
だが本能では理解していた


この男はただ者ではない!

倒さねばならぬ敵であると…!




3人は力を合わせ全ての元凶ドクタ-ベルケルへと立ち向かっていく


前戦争ではライアンとジャンヌダルクの二人は、
ドクタ-ベルケルによって全てを変えさせられた


いや二人だけではない
本来はお互い平和への道のりを歩むはずだった。
魔界の者しかり、人界の者しかり全ての者たちは、
このドクタ-ベルケルという男によって、運命を変えさせられたのだ

3人の力は凄まじく劣勢だった状況を、一気に優勢へとひっくり返す


「ぐぬぬぬ…」

「調子に乗るなよ人間どもがぁぁあああ-----!!!!!!」

!?


あまりの禍々しき力に3人は一瞬危険を察知し、後ろへと後退す


「フシュルルル-----!!」
ドクタ-ベルケルの邪悪な力は増大している
身体中から紫色の邪悪な力が溢れ出していた


「貴様ら如き人間風情がこの私を倒せると思うなよ虫けらどもがぁぁ-----!!!」

ドクタ-ベルケルは人間たちを憎しみの眼差しで睨みつける!

それはライアンやジャンヌダルク、タイガたちだけではない
全ての人間たちを見つめていた

「我が名はドクタ-…」


「ドクタ-ヴァルドミュ-ト…!」



「魔界軍の幹部なり…!」



「くくく」
「あはははははっ…!」

「これからあの穴より魔王様率いる大軍勢が、
貴様ら人間どもを皆殺しにするために現れるであろう」


「せいぜい、もがいて見せろ人間どもっ!」


「以前の時とは比べるなよ?」
「今回に比べれば以前の時などただの余興にすぎぬっ!」

「刮目しろ!」

「さらなる血が流れ…!」


「この汚れた大地を美しく染め上げっ…!」


「貴様らは終わりの時を迎えるであろう」

身振り手振りを加えながら叫ぶ


「魔王様が現れればここにいるちっぽけな軍勢など一瞬で皆殺しだ!」
「せいぜい今のうちに生きている瞬間を謳歌しておくんだなぁ゛…!」


「ははははははっ!!!!!!!!」


人間たちは絶望する
以前の時とは比較にならない?
もう思考停止状態に陥る


「やはり魔王があとから現れるか…!!!」
ダンブルドアはドクタ-ベルケルの話を信じ息を飲む

全員が恐怖にひきつった表情で穴を見つめる
その穴の奥から邪悪な力が溢れ出てくるのを感じていた

細胞が活性化し全身が寒気だっている
改めてこれから現れるであろう凶悪で邪悪な魔族たちや、
魔王との戦いを想像するだけ震えが止まらない

ドクタ-ベルケル…
いやドクタ-ヴァルドミュ-トとの戦いなど忘れたかのように、
みんながその穴を見つめていた


お気づきだろうか…

全てはドクタ-ベルケルの策略に全員がまんまとハメられていることに…


魔王はくる…?
いいや魔王などは来やしない
いや来るはずがないのだ

ドクタ-ベルケルの野望はワタルたちによって阻止され、
戦いは終結した
それに魔王は何者かによって殺された
穴の中から魔王や魔族たちの大軍勢が現れようはずがない


それならなぜドクタ-ベルケルはそんなことを言ったのか?
なぜ策を弄したといえるのだろうか…?



それは…



ドクタ-ベルケルによる空前絶後のハッタリだったからだ
あのダンブルドアでさえ信じた
誰しもがそれを空前絶後のハッタリなど見抜けるはずがない

なぜそんなハッタリを言ったのか?

それは…




「はぁ…はぁ」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ドクタ-ベルケルは疲弊しきっていた
だがそれを決して表情には一切出さず、
口を半開きにして、悟られないようにそこから大きく深呼吸している


それも、そうだ
あの魔界での死闘を終え魔力などほぼゼロに近い
あの人間たち3人になぜこれほどまでに戦えるのか自分でも驚いている人
だがもう限界に近いのは自分でも理解していた


魔王など来るはずがない
援軍の大軍勢が現れようはずがない
そんなものは理解していた

それならばなぜ空前絶後のハッタリを言ったのか…?


それは自分から注意をそらすため
そして時間稼ぎだ


魔力が底をつき、
この人界軍の大軍勢の中に放り込まれれば生きぬく可能性などゼロだろう
だがドクタ-ベルケルは諦めない 
何として自分の生存率を高め、少しでも長く生き延びる術を模索する

自分が限界だとしれば喜んで3人は全力で自分を狩りにくるだろう
例え返り討ちにできたとしても周りの者たちが追撃し、
自分を攻めてこようものなら自分の身が持たない

それに人間たちが穴から他の魔族たちが来ないことを、
疑問に思っていることなどは戦いながらでも当に見破っていた

だが決して他の魔族たちが来ないということを悟られてはいけない
もし知られれば全軍を持ってあっという間に自分は殺される
さすがにこの人数が一斉にかかってきて、自分1人でどうにかなるなどとは考えていない

だから自分から注意を反らす必要があった
穴から魔族たちが侵攻してくると信じこませ、
これ以上自分に戦力をさかせることを止めさせる必要があった

だからこそあのハッタリを言ったのだ

全ては自分の生存率をほんの少しでも高めるために。
少しでも時を稼ぎ、何か生き延びる策を考えるために…


そんな思いを馳せ3人と戦うが、いよいよ本当の限界が近づく
「はぁ…はぁ…」
「はぁ…!はぁ…!」
もうこれ以上騙せそうにないと悟る
すると、決意の眼差しで前を見つめるとある決断を行う

「本来はこんなもののために使う予定ではなかったがあれを使うしかないか…」
「だがこれは本当のワシの最後の奥の手…」
「もし、あれを失敗すれば万のひとつにワシの命はない」
ドクタ-ベルケルは確信している
あれを使えばこの人界軍は大混乱に陥るだろう
その隙を乗じてこの人界軍を突破するしかない…

そう考えた
上記でも述べた通り、あれは本当の奥の手
それにあれは本来このような展開のために用意していたものではなかった
(万一に備えて使えるとはふんでいたが…)

あれは何十年前から周到に用意されていた
人間たちにバレないようにコツコツコツコツと…

あの以前の戦争が起こる時から…?
い-やもっと前からだ

あれはこの戦いで役目を終えるはずだった
だがもし仮にもこの戦争が失敗しても今後あれが役に立つ
そう考えていた

次の戦争を睨んでのあれ
本来は絶対に使うはずではなかったあれ

あれを使うほどに本当にドクタ-ベルケルは追い込まれていた


ドクタ-ベルケルは決意した表情で前を見つめる

そんな時…


ライアン「ぬぉぉおおお-------!!!!」
ジャンヌダルク「はぁぁあああ-------!!!!」
タイガ「うぉぉおおお-------!!!!」


3人は再び攻撃をしかける!


「邪魔だぁ゛ぁ゛あああ-----!!!!」
ドクタ-ベルケルは力を振り絞り、
邪悪な気圧だけで3人を吹き飛ばす! 

もう時間はない!

ドクタ-ベルケルは言った
「絶望するがいい」


そして方手を広げ、それを大地に振りかざさんとす


その瞬間…!


その様子を眺めていたダンブルは何か危機を察知し、
目を大きく見開きながら大声で叫ぶ!
「いかんっ…!?」
「絶対に奴に手を大地に振りかざさせるなぁぁぁああ---!!!!!」



「もう遅いっ…!!!」

そしてドクタ-ベルケルは大地へと手を振りかざす


「降屍の儀…」


「屍花闇来(しかえんらい)!!!」

その瞬間…!

ドクタ-ベルケルからどす黒く濁った邪悪な紫色の力が、
大地を伝い四方へと広がっていく
いての間にかそれはこの人界軍を包こむほどに広がっていた

「何だこの魔法はぁ…!!??」
ダンブルは驚愕の声をあげる
人界最強とされるダンブルドアでさえ知らない闇の魔法
それは一気に大地から大空へと舞い上がる!

全員があまりの突然の出来事に固まってしまう


場面は変わり

「おいおい」
「何だよあの魔法!」
ドクタ-ベルケルを囲む人界軍のとある兵士が、
目の前にいる知り合いらしき者の肩に手をやり話しかけた

身の危険を感じていたが、
しばらくしてもこれといったことは何も起こらない

不思議に思いながらも目の前の者の肩を揺らす
だがその時…

何か異変を感じる

揺らした反動で目の前の者の頭は左右へと揺れている
しかし、それは何かがおかしかった


ゆら-………


ゆら-………


それは揺さぶりをやめた今でも一定のリズムで揺れている


冷や汗をかきながらも、両手でその者に肩に手をやり振り向かせる
「おいおい」

「こんな時に悪い冗談は…」


その者の顔が見えた

その瞬間…!

一斉に自分の血の気が引くのを覚えた

「誰だお前は…」


そしてグサリと何かの音が聞こえた


腹部に何か違和感を感じ、下を向き腹部を見てみると、剣が突き刺さっていた

その剣を辿って前を見ると…
あの誰か分からない者が自分の腹部を突き刺している


「な…ん…で…?」
あまりの突然の出来事に何が何か分からず、地面へと崩れ落ちた

そして薄れ行く意識の中で上を見上げると、
その者が自分目掛けて剣をふるわんとしている


スパン…!


剣は首を切り落とし、その者は絶命した



そして



「ぎゃあ゛あ゛-------!!!!」


「きゃああ゛あ゛------!!!!」


「お前は誰だぁあ゛あ゛----!!??」


「あなたは一体誰!!??」


仲間たちだった者が突如として自分たちを襲い始める
絶望や疑念、憎しみの声が各地でこだまする
それは人界軍全土に広がっていた

闇が…
闇が大地を伝い全ての者たちへと浸食していく

人界軍は大混乱へと陥る


「フシュルルル--」
ドクタ-ベルケルは決意の眼差しで、
今、目の前で起こっていることを淡々と見つめている
普段なら喜んでこの光景を眺めていたことだろう
だが今回は違った

ドクタ-ベルケルはこの一手に全てをかけていた
それに、もう余裕はない

もうお気付きのことだろう
これはドクタ-ベルケルはによって引き起こされた


そしてさらに大地へと手をやる

「ぐぬぬぬ」
「ここは少ないか」

そう悔しそうに呟きながらも、あらん限りの力を大地へと開放する!

「闇の屍草!!!」

また衝撃的な出来事がおこる!

何と地面から屍の兵士が出現する


ドクタ-ベルケルに残された時間はもう少ない

手を前へと出し身ぶり手振りを加え、最後の号令を放つ

「今まで勤めご苦労であった!」


「最後の任務をうぬらに与える!!」

小さく深呼吸すると一瞬の間をおき伝える


「今こそ忌まわし人間どもを駆逐せよ…!!!」


「蹂躙せよ…!!!」


「皆殺しにせよっ…!!!」


「闇の加護は我らにありぃ゛…!!!」


カッ!と目を見開くと、
手を前へとつきだした!




「全軍っ!」










「進め゛ぇぇ゛ぇ゛えええ゛え゛-------!!!!!!!!!」



ドクタ-ベルケルたちは前へと進む

勝つのは…
善か悪か?


長きに渡ったドクタ-ベルケルと人界軍との因縁
そして、ついにドクタ-ベルケルと
人界軍との最終決戦が始まらんとしていた




だがこの時まだドクタ-ベルケルは知らない

この先の戦いで自分が想像すらしなかった、
自分の運命を決める事件が待ち受けていることに…






~あとがき~

やっと過去戦争編終わったどぉぉぉおおお-----!!!!

本来は前戦争と今戦争のこの内容はあまり詳しく書かずに、
謎にして含みを持たせ、くるときがきたら、
この戦いの話を回収~と思っていたのですが、
自分の悪い癖で一度書いてしまうと止まらなくなり書いてしまった( ´艸`)ムププ

川´・ω・`川 いい感じでまとめられたかしら


あと、次ですがまた重要な発表を予定しております
(あくまで予定です)

楽しみにして頂けると幸いです

その次は妄想ワンピ-ス書こうかなぁ


それでは(*・д・)ノ アディオス