Works6月号に掲載されている「同志社香里高校ダンス部」の特集記事を読んだ。
彼らは、高校ダンス部の日本一を競う「日本高校ダンス部選手権(ダンススタジアム)」において、
創部10年の中で、実に5回の優勝を誇る強豪校だ。
彼らのダンス部の強さは何か?
記事を読んでいくつかのポイントが見えてきた。
(1)主体性の醸成
指導者は不在、自分たちで、練習メニューや振り付けを決めていく。
プロの指導者などを招聘する他校とは、この点が大きく違う点である。
(2)相互評価の仕組み
大会に出場するメンバーは、全員で採点している。
徹底的に話し合う環境が整っている。
(3)周囲への感謝の気持ち
家族や先生、後輩、地域のヒトなど、周囲のヒトへの感謝の気持ちを
常に抱いている。象徴的なのは、地域のイベントにも積極的に参加していること。
地域貢献の気持ちが根底にある。
以上3つのポイントが見えてきた。
また、彼らのモチベーションは、ダンスそのものにあるのではなく、
ダンス部の仲間と一緒にいること自体を楽しんでいるという点だ。
メンバーの中には、「大学でダンスをやらない」と言い切るものも少なからずいることが、
それを象徴している。
彼らの話を聴いていると、強い組織の在り方、より良いチームの方向性が
見えてくる。
昨今、勝利至上主義ゆえに、高校の部活や大学の体育会の
練習時間の長時間化や、顧問のパワハラまがいの指導に疑問の声が上がっている。
また、企業組織においては、長時間労働や上司のパワハラが、相変わらず
問題になっている。
屈託のない笑顔でインタビューを受ける彼らの
表情を見ると、そのような難解な課題に対する解決策のヒントが隠れているような気がした。
人材育成コンサルタント
オフィスたはら 代表取締役 田原洋樹
明星大学経営学部 特任准教授