バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

ネトゲ恋愛記 ~サブタイトルは秘密~/14

ネトゲ恋愛記 ~サブタイトルは秘密~ 14
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 ここがネカフェ!?
 ビルの一つの階層の大部分を占拠するように広いそこで、
 まるで明るい図書館の様に定置で本棚が配置され、そこかしこに私より少し低い木の箱・・・かな?
 が明るい窓際とか、二列集団で並んでいたりする、
 そして、それ以外にも曲線が印象的なテーブルが椅子を伴いそこかしこに置かれたりしている、
 ・・・明るい・・・イメージとまったく違う・・・
 「ここさ~、クックルードとかのネットゲーといろいろ提携してて、体験プレイとかも出来たりすんだよな~、それで、その時に手に入れたアイテムとか特典アイテムとか家で自キャラでやる時に貰える仕組みになってんの、ていうか・・・」
 「何?弧己す君?」
 「そんなおしゃれする必要ある?」
 と、そばにいる弧己す君が半目不信顔で私の服を見てくる、
 「いや、出かける時っておしゃれするでしょ・・・」
 弧己す君はいつもの眼鏡に前ボタン付きの白シャツにベルト付きの青みがかった長ズボンに学校で使うような肩掛けの鞄、
 孝行君はこれのシャツのカラーリングと鞄のカラーリングを黒にしたもの、
 久利亜ちゃんは水色でピンクと黄色の文字付シャツに同じ色合いの半袖の上着、下にはジーパン、
 私はといえばピンクのワンピースに黄色の上着、ピンク色のイヤリングにカチューシャ肩掛けバック、両の手首に黄色のふわふわシュシュ、今日のために散髪して髪を整えてもらったりもしている、
 普通におしゃれにかわいい感じなだけなのだが、三人が無頓着すぎる!!
 「まーとにかく行こうか」
 弧己す君の先導で、木材で作られたカウンターの奥のごくごく普通の紺色の受付風のおねぇさんに人数と時間とパソコン利用者の人数を伝え、その分の料金を先に渡しておく、
 すると、番号札の付いた金属製の鍵が渡された、手首にかけられるようにかひももしっかりついている・・・
 「この番号札の付いてるパソコンが利用できるんだよ、ほら」
 弧己す君に促され店の内部を見てみると、本を探している人やテーブルに座っている人など、
 確かに全員、番号札か鍵付きの番号札を手首にかけている・・・
 スーツ姿が多いが、私達と同い年くらいで半袖前空けチェックの上着とシャツとかジーパンとかな私服の人もいる・・・
 「パソコンの利用者はその鍵の場所でパソコンを利用するんだよ、Bの8ならあのあたりじゃないか?」
 弧己す君が右人差し指で指したのは少し奥の窓際の席だ、
 私たちが行くと、そこは、私の身長より少し小さな、左右の衝立によって箱のようになっている場所であり、
 どうやら、大き目の椅子の背もたれがふたになっているような場所だ
 「これ、上から見たら丸見えなのでは?」
 「窓や画面の反射で覗かれてるかはわかるようになってるし、嫌なら遮光カーテンで屋根が作れるようになってる、それで窓からも見えないようにできる」
 弧己す君に言われて周りを見渡すと、確かに所々で白い布がかぶっているのが見えた、あれ、常備されてる奴なのか・・・
 椅子を引き開けると、これは・・・
 「物理パソコン!」
 「いや、そりゃそーだろ」
 そう、そこにあったのは、薄い画面の横に縦長の箱状の本体が置かれた物理パソコンだ!うすうす見えてたけど!!
 「いつもどんなパソコンでやってんだよ?スマホ?」
 「ええっと、ヘッドマウントディスプレイ内蔵式・・・」
 「あ、あれか!」
 あれ?弧己す君が少し目を見開いて驚き
 「一時期話題になったアレか!ガチ勢は反応速度遅いからって誰も使ってないやつ!!」
 と、言い放った、思わず呆気にとられる私
 「え・・・そうなの・・・?」
 それって何かで聞いたことあるけど一緒にプレイする相手に迷惑なのでは・・・?
 「ま、クックルード程度のゲームじゃ、多少遅くても問題無いけどな」
 「だよな!そこまで上等なゲームじゃねーよ!!」
 弧己す君の意見に耕氏君が同意する
 そ、そうなの・・・?
 「じゃ、下に引き出し式のキーボードとマウス台があるから」
 あ、本当だモニターのすぐ下に板みたいな薄い引き出しが・・・
 引き出してみると、本当に文字がたくさん書かれた小さい箱の並んだキーボードにネズミにスイッチが付いたようなマウスが・・・
 「本体に鍵を差して起動するんだ、鍵にはパソコン内のデータが記録されるようになってるから、持って帰りたいデータがあったら店員さんに言うんだぞ、帰ったらすぐに消されちゃうからな、例えばクックルードのアイテムと特典の管理ファイルとか・・・SDカードは持ってない時は安めのやつだけどおまけしてくれるから・・・」
 鍵にデータが・・・?
 まじまじとそのカギを見る・・・確かに先端に端子のような物が見えるが・・・凄いハイテクだな・・・
 弧己す君の説明に納得しきりの私
 「とにかくやる前に飲み物持って来よう、飲み放題だから、あ、パソコンにはかけるなよ!」
 「そんなことしません」
 「やりそうだから怖いんだが・・・」
 しないって弧己す君
 そんなこんなで、本部屋の横の給湯室を思い切り拡張したような自動販売機が何台も並ぶところから、イチゴティーを入れてきた私と、他にもそれぞれコーラとかコーラとかコーラとかの飲み物をチョイスし、
 いざ、パソコンに鍵を突っ込み回して起動する、
 おお!物理パソコンを起動するなんて初めてだ・・・授業でならったはずなのだが・・・
 「マウスとキーボードの使い方わかるぅ?」
 「わかるわよ、多分!」
 「本当かよ・・・」
 「じゃ、俺、ちょっと漫画借りて読むわ」
 「あ、私もそうするわ」
 「俺は・・・」
 「弧己す、お前はこの物理パソコン音痴の世話をお願いな」
 「お願いね~」
 「あ!逃げやがった・・・」
 ・・・二人とも気を効かせてくれたのか・・・?
 ともかく、パソコンを起動し、デスクトップにあるクックルードのショートカットをダブルクリックして起動する、
 キャラクターの選択画面ではえっと・・・とりあえず最高レベルの30で、アクセサリ生産、僧侶系・・・
 出てきたキャラクターは、おおよそ、シスターの服を白い麻系の色に仕立て上げ、服やフードの端々に朱色の三角三角を入れた衣類のピンクシルバーのアクセサリを着けピンク髪が垣間見える女の子だ・・・
 「いつもそんな感じのキャラでやってんの?」
 「いや、さすがにここまでアニメアニメしてない・・・」
 っていうか、この衣装見たことないけど、このネカフェだけ?それとも高レベルだとこんなのあるのかな・・・
 そして、始まったネカフェでのクックルード、しかし、降り立った場所に違和感が・・・
 「な・・・キャラクターを見降ろしている!」
 そう、木々が端に生える広い街道に中央に先ほどの自分のキャラがいるのだ・・・!
 「どうした、それが当たり前だが・・・」
 「え?いつも私、自分のキャラ見えないよ!?」
 「あ、ヘッドマウントディスプレイだと一人視点なのか・・・」
 ええっ!?こっちの方がやりやす・・・あ、でもいろいろ触ったりしたりできないのか・・・
 そんな奇妙な始まりから
 「脇の草原でゴブリン狩ってみようか、そのレベルだと一撃で倒せるから・・・」
 「わかった!」
 そんなこんなで、街に行く前に脇に逸れてゴブリンを探し、見つけた
 「今思ったんだけど、お前、スキル使う時はどうしてんの?」
 「それはもちろん、対象を中心に見据え・・・ヒール!!」
 ・・・しかし、何も起こらなかった!!・・・
 「・・・あれ・・・?」
 ああ!ゴブリンが棍棒で殴りかかってきてる!!連続でダメージを喰らうキャラクター!
 「F1でキー説明!!早く!!」
 「う、うん!ええと・・・」
 左上の方にあるF1と書かれたキーを推すとそこに半透明なキーボードの表みたいなものが出てきた!
 「Z、攻撃、1、ヒール・・・い、1か」
 1を押すと、キャラクターが杖を縦持ちして祈るような動作を行い、足元より光が立ち上る・・・同時に上に横回転する黄色い逆三角錘が・・・
 「あ・・・あれ!?」
 「その逆三角を十字キーで対象に合わせてもう一度1!」
 「い・・・い・・・い・・・1!」
 キャラクターが目を開くと同時に杖を上に上げる動作を行い
 キャラクターに緑色の光がきらめき、上に緑色の数字が出て、回復しているというエフェクト共に祈るような動作が解ける、
 「ふぅ・・・」
 「いやいや、終わってないから、ゴブリンいるから!Z、Z!」
 「あ、ああ!Z!!!!!!」
 Zと書かれたキーを押すと、キャラクターが杖を横振り、ゴブリンに当たってゴブリンから弾けるような光とバシッという杖が当たるような効果音が出て消滅する、
 「た・・・倒した・・・」
 ま、そんなこんなで色々教えてもらいながら、
 街にたどり着き、自然とミスティーシャのある左側のウェストシティに移動させかける、
 ・・・いや、そんなことしたら正体ばれるわ・・・
 反対側のイーストシティに移動させていく
 「お前、よくこっちの方きてんの?」
 「いや、今回はいろいろ適当に・・・」
 どうしようかな、別キャラだから経験値とか手に入れたアイテムとか無駄に・・・
 でも、真面目にプレイしないと色々怪しまれそうだし・・・
 そんな考えの中、いつの間にか緑の森生い茂る山の中に入ってきていた、
 一人ではレベルが低くて来れなかった場所である、現にこの辺りにいる熊型のモンスターとか、レベル25って出てるし・・・ん?
 森の中を進む黒い影、あれは・・・サラさん!?
 どこに向かってるんだろうか・・・?
 ついつい追って・・・いやいや!
 そんな事する必要どこにあるのだ、無理に追いかけたらやはり私の正体をばらしてしまうような物じゃないか!
 仕方無い、このまま以前聞いたこの先にあるっていう街の方に・・・
 げっ!?
 現れたのは、カマドウマのような六足の外殻の青い甲虫のモンスター、レベルは・・・28!?それが二体!
 うう・・・レベル30ソロじゃきつい相手だろうな・・・仕方無い、キャラを離すように移動させ、逃げる!
 が、一体がいきなり目の前に、チャットウィンドウを見ると、アオカマドは本能で相手の前に回り込んだって出てる・・・
 「そいつは他のやつに比べて特殊なアクションで逃走確率が低く設定されてるんだよ!」
 ゲッ、まじか・・・でもこれ系防御力高い場合が多いしな・・・もう一度横を通って離れるように逃げる
 しかし、アオカマドは本能で相手の前に回り込んだ!!
 ・・・どうしよ・・・
 ザシュ!
 後ろにいたアオカマドの一体が突如大剣の一撃で消滅する!
 「大丈夫か?この辺りはそのレベルでもまだきついぞ」
 サラさん!?
 チャットで話しつつももう一体のそばまで移動して大剣を振るい倒してしまうサラさん・・・
 「雑魚だな・・・」
 「あの・・・ありがとうございます・・・」
 急いでキーボードをたたく・・・ずいぶん遅いけど・・・
 「いや、いい、誰かを助けるのは慣れてるからな」
 「は、はぁ・・・」
 そりゃいっつもこんな感じに仲間助けてるからなこの人・・・
 「ちょうどいいから、素材集めついでにこの人助けるとかしたらいいんじゃ・・・」
 「そ・・・そうしようか・・・」
 再度キーボードに向かい、
 「あ・・・あの・・・」
 「なんだ?」
 ええっと・・・どう書こうかな・・・?
 「レベルが随分高いようですけど、こんなところで何を?」
 「ああ、新しく追加されたクエストをクリアしておこうと思って・・・」
 私がまだ挑戦できないクエストかな・・・?
 「この辺りにあるシンシン木を切って持ってこいと・・・」
 「それなら、私もお供させてもらえませんか?回復ぐらいできますから・・・」
 「それはかまわんが・・・いや、助かる」
 こうして、2、3度の戦闘の後、その木にたどり着いた、
 他の木々より深い緑の木、それを幾度もの攻撃で切り倒し、木材へと変わりそれを取得するサラさん
 「ありがとう、そうだ、ギルドスタンプいるか?」
 ギルドスタンプ!?
 「私はギルドの団長だから、配布権限があるんだ、今ここで渡せる」
 「で・・・でも、このキャラクター、ネカフェの借り物で・・・」
 「そんなこと知ってるぞ、ステータス欄に載ってる」
 げっ!?マジ!?
 ステータス欄を開くと、確かにこのネカフェの名前が・・・
 「だが、ギルドスタンプは自キャラでやる時にも引き継げるぞ?」
 ・・・ううむ・・・ここで断るのも不自然か・・・
 わ、
 「わかりました、もらっときます・・・」
 「うむ、それ」
 そうして、私達は近くの街まで行く、しかし・・・
 「んじゃ、素材も集まったし、アクセサリーを作ってみるか、いいか、アクセサリーを作るには、まず、持ってるはずのインスタント作業台(アイテム作成を行うための持ち運び式のアイテム式の作業台、本来は特定の場所でアイテム作成は行うのだが、それをすると渋滞してしまうため、このようなものが作業台そばのCPUより販売されている、作業台はギルドの衣替えでも入手していれば家具扱いで設置でき、ギルド員のみ、ギルドスタンプ所持、誰でも、と設定を変えることもできる、尚、作業台は全て作業できるものが決まっているため、それに対応したものを入手する必要がある)を使って・・・」
 それから、素材指定しての作り方やレシピを指定しての作り方などを学び、素材が無くなった時など、
 あと、インスタント作業台は開ける場所が限定されてて、街中とかしか開けないからとか・・・
 「ネットで僧侶ソロで行けるところ探せばいいんじゃないか?」
 「弧己す君ナイス!」
 ネットで調べた僧侶ソロの狩場で適当にモンスターを狩って時間を潰した、もっとも、
 「ええっと・・・k・u・k・k・u・r・u・-・d・o・s・o・u・r・y・o・s・o・r・o・・・」
 「さっきから思ってたけど、おそいな!パソコン使ったことないのかよ!?」
 「ダメージデカいよ~」
 「ララヒール(ヒールの上位種、消費MPと回復量とエフェクトが増えただけで他は調整されていない、ヒールの次の中継ぎ)使えよ!!」
 「そのモンスター、杖攻撃は効きづらいぞ!!」
 「どうすりゃいいの!?」
 「セイント!セイント!5、5!!」
 とまぁ、こんな調子でワイワイやっていたわけで・・・
 パソコンにBの8番、残り5分です、
 ピンポーン!578番、579番、580番、残り5分です、
 と、表示され、アナウンスが流れるまで、全然気づかなかったわけで・・・
 「それじゃ!」
 「それじゃあね!」
 「それじゃあ!」
 「それじゃな!」
 その日はビルを出た後夕日を背景にそのまま解散となったわけで・・・
 家に帰ってクックルードを起動して特典の確認を・・・
 「ギルドスタンプは受け取れませんでした、か、ま、当然か・・・」
 出てきたシステムメッセージにどこか憂鬱な気分で向かう私・・・
 「ん?特典アイテムは、僧侶用ホワイトシスターローブとシルバーピンクの腕輪?」
 
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