この争い起きた戦場で ダブモン!!8話05
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そこにいたのは、前線に出ている兵士たちと同じ装備をした男だ、
「お前達!ここは危ないぞ、早く離れなさい!!」
言われた言葉に、三人はアクリスに声をかけ始める
「ほら、アクリス、行こうぜ」
「そうだぜ、ここにいる意味なんて何もないだろ・・・」
「命あっての物種だしね」
「・・・君たちは先に離れてよ、僕は後から行くから」
アクリスの少し邪険にするような言葉
「そういうわけには」「行かない」「でしょ!!」
そうよねぇ・・・
いかんせんここは戦場だ・・・
「なんで離れたくないんだ・・・?」
「そうですよねぇ~」
「きっと、大切な人が待っているとか」
「そんな感じじゃねぇようだが・・・」
ダブモンたちの会話に一瞬動きが止まり戸惑うアクリス、
「ううん、離れたくないわけじゃないんだけど・・・」
離れたくないなら何だってんだ・・・
「どうでもいいから早く離れろ!!」
そこに兵士が怒鳴りつけてきた
「待ち合わせとかならそれっぽい奴がいたら知らせてお「何をしておるか!!早くそいつらをここから離せ!!ここは戦場だぞ!!」
兵士が言いかけた言葉に、怒鳴り声と共に戦陣の奥より一人の初老の男性が歩いてくる、
白髪が相当数混じった長目の金髪と髭がその年齢を伺わせ、
深いしわを刻み切れ長の目を持つ鋭い顔がその歴戦を感じさせ、
身体にまとうは青みがかった鉄の鎧だが、胸元に勲章を付け、鉄を鉢巻のようにした頭防具を付けていて、
体に一回袈裟がけに巻くようにしつつ両肩に固定した赤いマントを下げており、腰元の剣にはつばの中央に赤い宝石がきらりと光っている、
どう見ても兵士たちより数段上の存在に見えるが・・・
「はっ!」
兵士が敬礼して緊張のあまり大きく胸を張る、
「将軍殿!!」
将軍・・・?
この陣営関連の・・・?
将軍と呼ばれた男は、そのまま兵士を力強く睨みつけ
「子供達を強制退去させることも出来ねば兵士などとは名乗れんぞ!!」
「し、しかし、ダブモン達を相当数連れて降りまして・・・」
「俺達もここから離れたいんだけど」
「そうですそうです」
「相棒が怪我したらどうすんの!?」
「離れようとしないのはそこのガキだけだ」
イグリードの視線が一瞬アクリスに向かう
それを察した将軍もどこか真剣な目をしたアクリスの方を見て
「うーむ・・・」
口元に手を当てしばし考え・・・
「致し方あるまい、」
首をアクリスに向かって微小に一振りしながら
「そこのガキをとっ捕まえろ」
指示を出す
「はっ!?しかし、子供ですよ・・・」
兵士の戸惑う声にすぐさまそちらを向き
「とっ捕まえて遠くの方で解放しろといっとるんだ!!そこの奴らも一緒に連行しろ!!」
「はっ!!」
その一喝に兵士が再度大きく敬礼したのち、アクリスにその槍を突きつける
「さぁ!怪我したくないだろう、ここから離れるんだ、それとも、無理矢理にでも私達が安全なところまで」
ズゴン!!
何!?爆発!?
灼熱の赤光が瞬いたのは戦場の方、でも・・・近い!!
戦陣、テントが密集している場所のすぐ前だ!!
そのまま爆発がいくつも置き、その度に兵士たちが紙のように吹き飛んで行く・・・
そして、それは私達の前までやってきた
「ここの司令官はどいつだぁ!?」
現れたのは、少し焦げた肌の筋肉ムキムキの魔族、首を守る様に炎のような角が回り生え、青少し黒い短髪が印象的だが、それより目つきの悪さが目立つ、
身体にフォットするぴっちりとした髪と同じ色の貫頭衣とズボンが印象的だ、
「バカな!?」
目を少し見開き驚く将軍
「前線を突破してきたというのか!?」
「将軍!!」
あわてて、その将軍の前に兵士たちが集まり、槍を構え
「邪魔だぁ!!」
男が炎を宿した拳を槍に叩き込むと、そこで大爆発!!
そこを爆発に吹き飛ばされ、陣形が崩れ、そこを一気に走り抜けられる、
「貴様が指揮官かぁ!!」
「甘い!」
とっさに剣を抜き対応する将軍、
「はっ!」
「ぬん!」
剣と拳がぶつかり爆発、直後、爆煙を右から斬り裂き、将軍の剣が迫る
「何!?」
とっさに下がる男の胸部に剣がかする
「なんだと!?」
「勢いという物はだな、姿勢を低くすれば大抵受け流せるものなのだよ、兵士の一人もそうやって魔法の攻撃をしのいでいたのを見たことがある」
なるほど、とっさに姿勢を下げて爆発のダメージを軽減したというわけか、だからと言って私達にまでそれがふっかかってきたのはさすがに・・・
ん、アクリス、あれをなんで恨みがましく見てるんだろう、さすがにあんなに傍若無人なら嫌な気分にもなるか・・・
「行くぞ!」
将軍が剣を先ほどとは逆に振るい追撃をかける、
「なめるな!」
剣を右手甲で弾きつつ男が迫る
「姿勢を下げて受け流すというのであれば、受け流せないようにするだけのこと!!」
と、男はいつの間にか腹下の方に左拳を潜り込ませていた
「なに!?」
爆発して私達の頭上を吹っ飛んで行く将軍
「そこをどけ小娘!!」
そこに拳振り上げ突っ込んでくる男、ちょ、私!?
ガギン!!
「四葉さんはやらせないですよ!!」
とっさに間に入り込み、槌と鋏を交差させて防いだのは・・・ウィルピー!?
「ダブモン!?魔族と人族との戦いには関わらないのではないのか!?」
「いくら戦争だからって、子供に手を出しちゃだめでしょ!!」
「ならば、貴様も吹き飛ぶがいい!!」
ズゴン!!
「っつ!」
思わず、吹き飛びかけたウィルピーを、受け止めていた・・・
異常に気づいたのか、ウィルピーが横目で私の方を見てその目を見開き
「四葉さん!?」
驚く
「小娘ぇ!!!」
「ええい!!小娘小娘って!!ウィルピー、行ける!?」
「ええ、なんとか・・・」
私の元を離れ、浮遊するウィルピー
「この場を切り抜けるわよ・・・」
「はい、力を貸してください、四葉さん!」
デッキケースを取り出し、突き出す、
デッキケースの前に革のような黄色い板と斜め前に緑の半透明の画面が現れ、その黄色い板にデッキケースを置くと、デッキケースが左手側に移動、
デッキが取り出されてシャッフルし、さらに左に上下反転しつつ移動するデッキケースのいた場所に山札としておかれる、
画面の指示には手札をと・・・2T1S5Tルール!
山札から1枚ずつ5枚引いて手札に!
「デッキケースだと!?そんなまやかしにこの俺は負けん!!」
スカートが赤白青と変わり、ストッキングが青に白星、赤白の横じま、青白赤の縦じまに左右代わり、
左髪付け根に白い星型のリングが通ったと思ったら、紫色のリボンの付いた小型の黒シルクハットが合わさって、
左の目下に白い星のようなものが付く
「言ってくれたわね・・・行きましょう、ウィルピー!」
「はい!!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――