バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

海の街と鮫 ダブモン!!11話05

海の街と鮫 ダブモン!!11話/05
 
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 水平線より現れた白磁の町がこちらの方に向かってくる・・・
 曲線を主軸とした角の丸い家々がゆったりと曲がりくねる道の左右に連なっている・・・
 ある種幻想的な街ですらある・・・
 「お~お~来た来た」
 「あれが・・・君たちの言ってた・・・」
 「そ、うちの親父さ」
 「へ・・・?」
 移動する街には見えるが、ダブモンなのか・・・?
 と、そんなことを逡巡する間にも、まっすぐに海岸沿いに着く・・
 「さ、乗った乗った」
 「早くしないと出航するよ!」
 姉弟にのせられ、俺たちは町に乗り込んでいく・・・
 全員が乗り込んだところで、町は右に回って、先に動き出した・・・
 町にはたくさんの人が住んでおり、日焼けした屈強な男性や豪快そうな女性が多い・・・
 「ああ、そうだ、向こうに着くのは明後日辺りになるから、その間はのんびりしていくといい」
 「ええっ!?」「ええっ!?」「ええっ!?」
 ツリザメの一言に、俺たちの驚きの声が一斉に放たれ、その視線が一斉に向く
 「ちょっと!どういうことよ、橋があるってことはそんなに距離無いってことでしょ!?なんでそんなにかかんのよ!!」
 ツリザメの諦めと呆れの入り混じった力無き目が四葉さんに向けられる
 「ここは漁港町だぜ?魚の出るいいポイントをいくつも回んの、親父の飯の件もあるしな、だけど、魚料理の味は保障するぜ?」
 「親父・・・ああ、そうか、ミナトヘッド・・・」
 カンテーラがつぶやいた、良星の目が行きその口が言葉をそらる
 「ミナトヘッド?」発言者に返事をするためかカンテーラの目もそちらに向けられる
 「頭に大きな町を頂く鮫型ダブモンだよ」
 鮫型、大きな町・・・あ!
 「だが、ミナトヘッドは頭の町に魚を住まわせてそれを食って生きるダブモンだ、極端に環境が悪い場所じゃなければそれでどうにかなるはず・・・」今度はツリザメの方を向くカンテーラ「わざわざ魚の多いポイントに行く必要も無いのでは?」
 「そうさ、でも、親父はダブモンの生態よりも人間と一緒に生きることを選んだのさ・・・」
 「あっ!」
 「あっ!」
 なんだ?
 ツリザメがカンテーラの方を見て返答している間に声を上げたアクリスとレファンの方を見れば、何やら互いに疑心の目を向けてるな・・・
 「どうしたんだよ?」
 「いや」アクリスは気まずそうに眼を逸らしている
 「ちょっとぶつかりそうになっただけですよ・・・」レファンはぎこちない笑顔だ
 何だろ、警戒心があらわになってるな・・・
 「しばらく一緒に行動するんだぜ?下手すりゃ宿で同室になるかもしれないし、できうるなら仲よくしろよ」
 「そ・・・そうだね・・・」
 「そうですね・・・」
 良星の二度目の言葉に、返答こそするものの、顔色は全く変わらない・・・
 二人とも表情が固いぞ、何警戒してるんだよ・・・
 「あ、あれは・・・」
 「本屋・・・?」
 アクリスとレファンが気が付いたように発した言葉と視線の先、俺からしてみれば左手後ろ、皆がそちらの方を向く
 
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