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2021年05月22日 11時51分58秒 | 新型コロナウイルス
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新型コロナウイルス SARS-CoV-2 出典 NIAID

深堀情報 Media Close-up Report  「呪われた東京五輪」 速報 「緊急事態宣言」下でも五輪開催 コーツIOC副会長



アストラゼネカ製ワクチン EU「安全で有効」宣言、独仏伊など接種再開
 3月18日、欧州連合(EU)の医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンについて、接種後に血栓ができるなどの報告事例に関する調査を行った結果、引き続き利点がリスクを上回るという「明確な」結論に至ったと表明した。
 これを受けて、ドイツ、フランス、イタリアなどが同ワクチンの接種再開を決定した。
 英アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルスワクチンの接種後に血栓ができた症例への懸念から、欧州ではスペイン、ドイツ、フランス、イタリア、ポルトガル、スウェーデンなどワクチンの接種中断をした国は13か国に上った。
 これに対してオーストラリア政府の最高医療責任者(CMO)、ポール・ケリー博士は、今のところアストラゼネカ製のワクチンが血栓の原因になることを示す証拠はないと強調。欧州で使用を停止する国が増えてきたことは認識しているとしたうえで、EMAは使用継続を勧めていると指摘した。
 EMAは接種済みの人々に血栓のできる確率が一般人口より高いわけではないとの見解を示したが、今後何らかの対応が必要かどうかについて、18日に緊急会合を開開き検討するとしていた。

ワクチン接種スケジュールに遅れ顕在化 高齢者の接種は4月12日開始
 2月26日、河野太郎行革担当相は、医療従事者470万分と高齢者3600万人のワクチン(2回接種)を、EUの承認が得られることが前提として、6月中末までに確保して、全国に発送を完了すると明らかにした。一般住民への接種開始は7月以降となり、五輪開催には間に合わない。
 接種スケジュールの遅れている要因は、EUの輸出規制の影響に加えて、医療従事者が当初見込みの370万人から100万人程度増えたためである。
 また高齢者向けの接種開始は、4月12日に開始し、当初は5万人を対象に行い、その後4月中には50万人、合計55万人を対象に接種を実施すると明言したが、高齢者3600万人のわずか2%にも満たない。
 Pfizer/BioNTech製のワクチン(2月14日、緊急使用認可)は接種が開始されたのは2月17日。初日は8病院で125人に接種。引き続き医療従者者、高齢者、高齢者施設従事者、基礎疾患を有する人、一般市民に接種が順次、始まる。基礎疾患を有する人は自己申告とし、医師の診断書は不要。
 2月12日にベルギーからの第一便で到着したワクチンは64350瓶(バイヤル)で約32万回(約16万人)分、第二便で22万6000回分、3月1日には52万回分が到着した。
 
▽ 2月17日 最初に優先接種を開始するグループ 国立病院等(100病院)の医療従事者4万人を最優先に対象。当初は1~2万人を想定したが希望者が多く4万人を想定。3週間の間隔を空けて2回接種。
 来週中には約100カ所で開始。内2万人には、接種後7週間健康状態を記録してもらいワクチンの安全性の分析に。超低温冷凍庫配備を完了
 ファイザー社のワクチンは、1バイヤル(Vial)には、余分量を含めて1.8ccの原液(一人分0.3cc)が入っているが、日本に普及している注射器では、シリンダー隙間に原液が残り、5回分しか接種できない。4万人に対しては、6回分が接種可能な注射器を使用する。
▽ 3月中旬 その他の医療従事者(約370万人→470万人に増加) 接種は都道府県担当 冷凍庫配備(1800台)
▽ 3月下旬 65歳以上の高齢者(約3600万人)を対象に接種クーポン券の郵送開始
▽ 4月12日 65歳以上の高齢者対象に接種開始 接種は市町村担当 冷凍庫配備(1800台) 6月末までに全国へのワクチン配送を終了
 ファイザー社のワクチンは3週間の間隔を空けて2回の接種が必要だが、厚生労働省は接種を開始して9週間以内にすべての高齢者が1回目の接種を受けられる体制を整備。
▽ 4月23日 その他の人を対象に、接種クーポン券の準備、郵送開始 順次接種開始 接種券を郵送
  基礎疾患のある人(約820万人)、高齢者施設などの従事者(約200万人)、60~65歳の市民など合計約5000万人
▽ 一般市民 16歳以上を対象にして5月末には開始したいとしているが、ワクチンの供給量次第で、7月にずれこむ可能性が大きくなっている。

  厚生労働省は、「接種の努力義務」の対象から妊娠をしている女性を外すことを決めた。また接種に関する相談などに応じるため、15日、無料のコールセンターを開設した。

 ファイザー社のワクチンは、マイナス75度前後で冷凍保存が可能な「超低温冷凍庫」で輸送・保管する必要があり、厚労省では、1万台(1台で3000人分が保管可能)の「超低温冷凍庫」を、各自治体ごとに1台、さらに人口2万人ごとに1台割り当てる。6月までに順次、自治体に配備する方針である。
 また、ファイザー社のワクチンは、解凍後の保存期限が5日以内、希釈後は6時間以内で接種を行う必要があり、接種作業を担う自治体にとっては、医師や看護師などの人手の確保や、施設をどう確保するかが大きな課題となっている。
 また、接種クーポン券の準備や配布、会場での本人確認など、5000万人にも及ぶ優先接種作業の負担は、コロナ対策に追われている各自治体の大きな重荷になると思われる。
 すでに接種が始まっているアメリカやフランスなどの一部の地域では、ワクチンがあっても人手や会場を確保できず、計画通り接種が進まないという問題が発生している。
 JNNの世林調査によると、1月9/10日の調査では、ワクチンを「接種したい」という回答が48%だったの対し、「接種したくない」が41%に上ったが、2月6/7日の調査では、「したい」とする回答が60%、「したくない」が30%に減少した。
 集団免疫獲得には、接種率が7~8割以上必要されているが、接種は「無償」だがあくまで任意の「努力義務」、接種率をどう確保するかが「史上最大」のワクチン作戦の成否のカギを握る。

難題 マイナス70度以下の超低温管理
 米Pfizer社と独BioNTech社が共同開発したワクチン、BNT162b2は、mRNAを使用したワクチンである。mRNAは、極めて壊れやすく、温度変化に弱く劣化する性質がある。BNT162b2は特に温度変化に弱く、マイナス70度以下の超低温での温度管理が必須となる。先進国でもマイナス70度以下の超低温保管設備を保有している医療施設は少なく(インフルエンザワクチンは、マイナス10度以下で冷凍保存)、発展途上国では、輸送・保存体制の確保する上で超低温保管設備の整備が最大の課題となる。
 ファイザー社の示しているワクチン取り扱いの指針によると、
▽マイナス75度±15度cの超低温冷凍凍結(ディープフリーザー)で約半年保管が可能。 1箱には、1.8ccのワクチンが入ったバイヤル(注射用薬剤用の小瓶)が195本、計1170回分(6回分で換算)が詰め込まれている。
▽ワクチンは1箱単位で解凍して2~8度の冷蔵保存で5日以内に使用
▽1バイヤル(Vial)には、余分量を含めて1.8ccのワクチンが入っていて、生理的食塩水で希釈して一人当たり0.3ccを接種、カタログ上は1バイアルで5人分、1箱で975人分としている。希釈後は6時間以内に使用しなければならない。FDAは余分量1回分を使用することも可能とした。
 このワクチンは2回の接種が必要なため、輸送・供給体制の確立が難題だ。
 ファイザー社のワクチンは、同社最大規模の米ミシガン州カラマズー(Kalamazoo)工場や欧州の製造拠点、ベルギーのプールス(Puurs)工場などからから出荷される。
 輸送用の保冷コンテナ1個につき、ワクチンが入ったバイヤル975本がドライアイスとともに収納され、推奨温度、マイナス70度以下で冷凍凍結を保つ。1本のバイヤルのワクチンは5回分で、コンテナ1個当たり計4875回分となる。
 ファイザーによると、カラマズー工場では、毎日トラック6台分のワクチンが、米フェデックス(FedEx)、同ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、独DHLなどの航空貨物企業に出荷され、米国内は1~2日以内、世界各地には3日以内、最長でも10日間以内に配送される。世界各地へは1日平均20機の貨物機が輸送を担う見通しだという。
 各地に輸送されたワクチンは超低温の冷凍庫で最長6カ月間保存可能である。
 これに対して、米Mderna社のmRNAワクチン、AZD1222は、
▽保管はマイナ20度以下の冷凍凍結保存
▽解凍後は2~8度の冷蔵保存で7日以内に使用
▽生理的食塩水で希釈後は、12時間以内に使用
 Pfizer/BioNTechのワクチンよりは、基準が緩やかである。
 一方、Oxford大学と英Asturazenka社が共同開発したワクチン、ChAdOx1 nCov-19(製品名AZD1273)は、Pfizer/BioNTechやMdernaのmRNAワクチンとは異なり、アデノウイルスを使用したウイルス・ベクター・ワクチンなので、輸送・保存は通常の冷蔵保管で可能である。発展途上国などでは、ChAdOx1 nCov-19は利点が多いとされている。

「2021年前半までに国民全員のワクチン確保」は挫折寸前 五輪開催に間に合わない
 1月22日、政府は、新型コロナワクチンについて、全国民分を6月末までに確保するとしてきた従来の方針を事実上撤回した。海外製ワクチンの受け入れが想定よりも遅れているため。総合調整担当の河野太郎氏が「まだ供給スケジュールは決まっていない」と明らかにした。政府内で供給時期をめぐる混乱が露呈した。
 2月16日に明らかにした、接種計画でも基礎疾患のある人や高齢者施設従事者や一般市民への接種開始は、ワクチンの供給量次第に左右されるとした。
 また、厚生労働省は、近く接種が始まる米製薬大手ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンについて、1瓶からの接種回数を6回から5回に変更する方針を明らかにした。用意した注射器では充填したワクチンの一部が使い切れずに残ってしまうためで、「余剰分」を1回分として使用できないためで、接種計画が大きな誤算が生じている。
 ファイザー製のワクチンの日本への供給量は、「1億4400万回分」でなくて、「1億2000万回分」程度に減少する可能性が出てきた。
 ワクチンは2月12日午前、ベルギーからの航空便で国内に到着、3月中に約266万回分を確保できるとしているが、その後の見通しはまったくたっていない。
 早くも「2021年前半までに国民全員のワクチン確保」の公約は挫折寸前である。



米ファイザーと契約を正式締結 「年内」に「1億4400万回分」
 1月20日、田村厚生労働大臣は米ファイザー社と、年内に1億4400万回分(7200人分)の供給を受ける契約を正式に結んだと発表した。
 昨年7月にファイザー社と基本合意した際は、「2021年6月末までに1億2000万回分」の供給を受けるとの内容だったが、最終合意では、時期は「6月末」から「年内」に変更され、供給量については2400万回分上積みされ「1億4400万回分」に修正された。「上積み」といっても、1バイヤル当たり5回分としていたものを6回分(余剰分も組み入れ)に換算し直しただけで、供給量は変わらないとされている。
 昨年12月18日、ファイザー社は、このワクチンについて、審査を大幅に簡略化する「特例承認」の適用を求める申請を行い、2月15日には承認される見通しである。
 菅政権は、「年内」への変更で、「2021年前半までに、すべての国民に提供できるワクチンの確保」を目指すとしていたが、ワクチン調達計画の当初想定から大幅な狂いが生じるのは不可避となった。
 政府は、米ファイザー社から1億4400万回(基本合意では1億2000万回)、英アストラゼネカ社から1億2000万回、米モデルナ社から5000万回分、合計3億1400万回分のワクチンを確保しているが、この内、米モデルナ社の国内でのワクチンの治験は当初予定よりずれ込み、1月27日にようやく開始、最速でも承認は5月頃なるとされている。英アストラゼネカ社のワクチンは、2020年9月に英国で行われた治験で副反応が確認され、一時、治験が中断された影響で、国内での治験が遅れ、2月5日ようやく申請を行った。同社のワクチンは、3月までに3000万回が供給するとしているが、製造の遅れも発生していて、成り行きは不透明だ。そこでこれを補うために、政府は1月20日に締結した米ファイザー社との契約では、調達量を2400万回分増やしたという。
 政府はワクチンは「ギリギリ確保できる」として接種計画に遅れはないとするが、「2021年前半までに国民全員のワクチン確保」という目論見には暗雲が立ち込めている。

米FDA、J&Jワクチン承認 アストラゼネカ、日本で申請
 2月27日、米食品医薬品局(FDA)は、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製ワクチンの緊急使用許可を承認した。既に承認されている米ファイザー社、米モデルナ社のワクチンはいずれも2回の接種が必要だが、J&J製は1回で済む上、保管もしやすく、普及が進むと期待されている。今年前半に米国で1億回分を供給する見通し。3月11日には、EUも承認した。
 一方、2月5日、英アストラゼネカ社は、厚生労働省に承認を求める申請を行った。国内での承認申請はファイザーに続いて2例目。
 今回添付したのは海外の臨床試験(治験)のデータで、国内で実施した臨床試験(治験)のデータは3月中に提出する予定で、承認は5月以降になるとされている。アストラゼネカ社のワクチンは、2度から8度で少なくとも6か月間保管可能で、医療機関での保管や接種会場までの輸送も冷蔵庫が使用できる。

ワクチン有効性「92%」 国民の45%が接種 世界最先端イスラエル
 1月28日、イスラエルのメディア「タイムズ・オブ・イスラエル」は、保健維持機構(HMO)マカビ(Maccabi)関係者の話として、国内で接種が進む米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンについて「92%の有効性を示した」と報じた。
 2度目のワクチン接種を受けた16万3000人のうち、10日以内にウイルスに感染したのは31人にとどまったとした。
 また60歳以上の感染率や重症化率が低下している兆候が確認されている。こうした低下は接種事業が早く始まった地域で顕著に見られるという。
 イスラエルの保健省は、100万人近くの医療記録を調査、そのうち74万3845人が60歳以上で、2回目のワクチンを接種してから最短でも7日間は記録を取っている。
 それによると、60代以上で2回のワクチン接種を終えた約75万人のうち、感染して陽性となったのはわずか0.07%に当たる531人だった。この中で入院措置が必要となった患者は、軽症から重症まで合わせて38人にとどまった。死亡した人は3人、しかしワクチンで免疫ができる前に新型ウイルスに感染した可能性があるという。
 保健省のデータからは、1回目のワクチンを接種してから14日後から、感染や重症化の割合が減り始めることがうかがえる。
 ワクチン接種前の調査では、感染者は7000人以上、軽・重症患者は700人近く記録されていた。死者は307人に上っていた。
 全国的に行っているロックダウンの効果の可能性も考えるが、今回の報告でワクチンも感染抑制に効果をあげていることが分かった。
 またワクチン接種に伴う副反応は、イスラエル保健省によると0.3%以下で、通常「軽度」で「すぐに過ぎ去る」とした。
 副反応は、ワクチン接種を終えた人の中で、重い体調不良を医師に訴えた人で、1回目の接種を終えた276万8200人の内、6575人で0.24%、2回目の接種を終えた137万7827人の内、3592人で0.26%だったという。
 イスラエルでは、人口約900万人のうち、約44%の約400万人が1回目、約260万人が2回目の接種を済ませている。3月末までには、16歳以上の国民全員に接種を完了するとしている。世界各国の中で群を抜いてワクチン接種が進んでいる国だ。
 接種に必要なワクチンの確保は、ネタニヤフ首相が、米ファイザー社のCEOに直接、交渉をして成し遂げたという。購入価格はEUの倍の1回分当たり約3000円、さらに接種者の医療データを提供することに同意した。しかし、政権の実行力は如実に示された。
 イスラエルの感染者数は、累計で730293人(2月16日)、2808人増(前日比)、死者は20人増(前日比)と約60%に減少している。これからの数カ月間はイスラエルの感染状況に目が離せない。

ノヴァヴァックス、89%の予防効果 J&J有効性66% 認可申請へ
 1月28日、米製薬大手ノヴァヴァックス(Novavax)社は28日、開発中のワクチン候補、NVX-CoV2373について、イギリスで実施した大規模な臨床試験(治験)で89.3%の予防効果があることが示されたと発表した。変異株にも高い有効性があるとされている。BBCによると、イギリスで見つかった新型ウイルス変異株への有効性を示したのは、NVX-CoV2373が初めてたという。
 ボリス・ジョンソン英首相はこの治験結果を「良い知らせ」だと歓迎、同国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)がNVX-CoV2373について評価を始めると述べた。
 イギリスは同社のワクチンを6000万回分確保している。イングランド北東部ストックトン・オン・ティーズで製造される予定。(BBC 1月29日)

 一方 1月29日、米医薬品・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J:Johnson & Johnson)社は、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、中程度から重度の症状を防止しする「有効性」が66%だったと発表した。来週にも米食品医薬品局(FDA)に緊急使用を申請するほか、その他の国や欧州連合(EU)でも近く申請する。
 J&Jは、世界8カ国で大規模最終臨床試験(治験)を実施、約4万4000人が参加した。参加者の44%は米国、41%は中南米、15%が南アだった。
 「有効性」は地域でばらつきがあり、米国で72%、中南米で66%、南アフリカでは57%で、平均で66%となった。変異種の感染拡大により、有効性に違いが生じた可能性がある。
 J&Jの掲げる「有効性」とは、新型コロナウイルスに対する感染防止の「有効性」ではなく、感染して発症しても「中程度から重度の症状」に陥るのを防止する「有効性」で、ファイザー/ビオンテック社やモデルナ社、アストラゼネカ社の掲げる感染しても発症しないという「有効性」とは異なる。
 ただ感染症と公衆衛生の専門家は、J&Jのワクチンは感染拡大を抑制し死亡率を低下させる効果は十分にあるとの見方を示している。
 J&Jのストフェルス氏はロイターに対し、南アで6000人を対象に実施した関連の治験では、89%の確率で重症化が防げたという。この治験で扱った感染件数のうち、95%が南ア変異種によるものだったとしている。
 J&J製ワクチンは、たとえ感染しても中程度から重度に症状を悪化させないことを主な目標としているが、こうした結果から「多くのコロナ患者の重症化と死亡を防げる」と述べた。
 J&Jは2021年に10億回分の供給を目指し、米国、欧州、南アフリカ、インドで生産すると表明。緊急使用が承認され次第、直ちに出荷する用意を整えているとした。ただストフェルス氏は具体的な量について明らかにしなかった。
 2回の接種が必要なファイザー製やモデルナ製とは異なり、J&Jのワクチンは1回の接種で済み、冷凍保存の必要がないため、輸送や冷凍保存が問題となる一部地域にとっては有力なワクチンとなる。(Reuters)

アストラゼネカのワクチン、9000万回分以上を日本国内生産
 1月28日、加藤勝信官房長官は記者会見で、アストラゼネカ社のワクチンの供給について、「厚生労働省における生産設備の強化のための補助金を活用しながら国内生産の準備をしていると承知している」と述べ、「昨日、厚労省に国内で9000万回以上の生産を目指すとの報告があった」と明らかにし、「ワクチンを国内で生産できる態勢を整えることは極めて重要だ」との認識を示した。
 日本政府は、アストラゼネカ社と1億2000万回分の供給を受けることで契約している。このうち3000万回分は3月までに輸入される予定で、残りの9000.万回分を日本国内での製造を目指し、ワクチン原液の生産はJCRファーマ、充填・包装・流通は第一三共、明治ホールディングスグループのKMバイオロジクスとMeiji Seikaファルマが受託している。
 このワクチンはアストラゼネカ社とオックスフォード大が共同開発したもので、イギリスやEU、米国ではすでに緊急使用許可を得ている。日本では2020年9月、18歳以上の約250人に接種する第1相/2相臨床試験が開始され、現在は治験結果を解析中で、2月中にも厚労省に承認申請を行う方針だ。
 一方、米製薬企業ファイザーは2020年12月、すでに厚労省に承認申請を行っている。

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Pfizer/BioNTechワクチン 製造・供給の遅れ深刻 EU・英で摩擦激化
 1月16日、米ファイザー(Pfizer)社と独ビオンテック(BioNTech)社は、欧州諸国とカナダ向けの供給を、向こう3~4週間にわたり出荷ペースを一時的に削減すると発表した。ベルギーにある主要工場での製造能力向上に向けた改修工事がその理由としている。EUの関係者は、一部EU諸国へのファイザー製ワクチン供給が今週、半分程度に減少したと明らかにしていた。1月25日には、当初の供給計画に戻り、2月下旬から3月にかけての出荷は「大幅に増える」としているが、同社に対する製造能力に対する疑念が噴出している。世界各国が進めるワクチン接種計画にとって大きな影響がでる可能性が出てきた。
 一方、1月22日、英Astrazeneca社は、欧州連合(EU)に対して第1・四半期に予定していたワクチン供給量を60%削減し、3100万回分にすると通知した。生産面で問題が生じていることが理由としている。
 Astrazenecaは、2月15日に供給開始をして、第1・四半期中におよそ8000万回分のワクチンを供給する予定だった。同社では「当初の供給量は予定より少なくなる。欧州におけるわれわれのサプライチェーン内の生産現場で、歩留まり率が下がっているためだ」と述べた。ベルギーの提携先企業の工場でワクチン生産に問題が発生したため供給量をカットしたと説明した。Astrazenecaは、欧州連合(EU)に対して合計4億回分(2億人分)のワクチンを供給することで合意している。
 しかし、1月4日から接種が開始されている英国に対する1億回分(5000万人分)の供給削減は行わない。
 Pfizer/BioNTechの供給削減と合わせて、EUのワクチン接種計画がさらなる打撃に見舞われた形だ。
 これに対し、1月24日、ミシェルEU大統領は、仏ラジオで製造元に契約順守を求め、「法的措置も辞さない」構えを示した。
 またイタリアの新型コロナ問題に対応する特別長官は、同国へのワクチン供給が29%削減されたとして、ファイザーを提訴することを検討していると明らかにし、 ドイツのシュパーン保健相は、ファイザーのワクチン供給削減に不満を表明し、同国のワクチン接種計画が変更を余儀なくされる見通しになったとした。
 EUは、昨年12月21日、Pfizer/BioNTechのワクチンを承認し、域内各国で接種が始まり、1月6日には、Moderna、1月29日にAstrazenecaのワクチンも承認し、各国で接種キャンペーンが展開されている。EUは「夏までに成人人口の7割」を目標に掲げ、各社と計23億回分のワクチン購入に合意している。このうち、Pfizer/BioNTechは6億回分、Modernaは1億5千万回分、Astrazenecaは4億回分を占める。ワクチンはEUが一括購入し、加盟国に配分する。

 1月29日、EUは強硬手段に乗り出した、欧州委員会(EUの執行機関)は、英国のEU離脱後の関係を定義する協定の緊急条項を利用して、新型コロナウイルスのワクチンの域外への輸出を許可制にする新たな規制措置を導入したと発表したのである。期間は今年3月末までとした。
 ワクチン製造や製造業者が予定する輸出先に関する正確な情報を把握するため狙いを厳密に絞った対策と指摘して、期限付きの措置であり、対象のワクチンは事前に調達契約が結ばれた製品だけに限られるとした。
 しかし、同日深夜、EUは、英国やアイルランドなどからEU離脱協定に違反するとして、猛反発を浴びたて、同日深夜に撤回に追い込まれた。
 EUは域内からのワクチン輸出の監視体制は実施して、ワクチンが域外に出て第三国に流れるようなら「使用できるあらゆる手段を講じる」とけん制をしている。
 1月31日、EUは英アストラゼネカ社が第1・四半期の新型コロナウイルスワクチン供給量を900万回分増やし、4000万回分にする見通しだと明らかにした。
 同社は欧州での生産能力も今後拡張するという。

 菅政権は、6月末までにPfizerやModerna、Astrazenecaの3社から、合計3億1400万回分(1億5000万人分)のワクチンを確保し、2月下旬に医療従事者に対しての優先接種を開始し、3月下旬には高齢者に対しての優先接種を始めるとしているが、ワクチン確保に懸念が生じ、スケジュール通りに実施できるのかどうか懸念が生じている。

新型コロナワクチン、変異種にも有効
 1月28日、米ファイザー社と独ビオンテック社は、両社が共同開発した新型コロナウイルスワクチンが英国と南アフリカの同ウイルス変異株に対しても有効だと発表した。
 両社はこの発表で、従来株と変異株の比較試験で「わずかな相違」がみられたが、これによって「ワクチンの有効性が大幅に下がる可能性は低い」としている。
 1月25日、米モデルナ社は、英国と南アフリカの変異株に対しても有効であることが実験で示されたと発表した。
 ただ南アフリカの変異株B.1.351に対して生成された中和活性の高い抗体は、従来株に比べ6分の1に減少。モデルナは今後、ワクチンのブースター(追加接種)を1回追加し投与回数を全3回とする方法の臨床試験(治験)を行うとし、南アフリカの変異株に対するブースターについてはすでに前期臨床研究を開始したことを明らかにした。
 1月21日のCNNニュースは、二つのワクチンについて、変異種に対しても予防効果があることを裏付けたとする研究結果が発表されたと伝えた。
 米ロックフェラー大学の研究チームは臨床試験の一環として、モデルナまたはファイザーのワクチンを2回接種した20人の血漿に対し、英国と南アフリカで確認された変異種2種の効果をテストした。その結果、ワクチンによって強力な抗体反応が生成され、数カ月から数年にわたって新しい抗体をつくり続ける細胞も生成されていることも判明。変異したウイルスは一部の抗体を免れることができていたが、被検者の身体はそのウイルスに対して違う種類の抗体を送り込んでいたことが判明した。
 研究チームは「たとえ効力が減退したとしても、全体的な反応は圧倒的で、問題にはならないはずだ」と説明している。
 一方、ファイザーが製造・販売するワクチン開発にかかわった独ビオンテックのウール・シャヒン最高経営責任者(CEO)のチームは、英国の変異種に対するワクチンの効果をテストした結果、「中和活動に生物学的に有意な差はなかった」と報告した。それでも念のため、ワクチンの改良に着手することが賢明だろうと述べている。

新型コロナウイルスは変異する 米英の研究者が確認 ワクチンが無力化する懸念




世界の主なワクチンの開発状況

出典 ニューヨークタイムズ 3月16日

 New York Times(1月14日)によると、現在、開発中の新型コロナウイルスのワクチンは、世界各国で約180以上、その内、ヒトを対象にした臨床試験を開始したワクチン候補は113に上り、第1相臨床試験が44、第2相臨床試験が32、第3相の最終段階の臨床試験が22、認可(限定使用を含む)されたものが13となっている。
 認可されたのはPhizer/BioNTech(米独)、Moderna(米)、Oxford/Astrazeneca(英)、Sinofarm(中国)、Cansino(中国)、Sinovac(中国)、Sinovac(武漢生物制品研究所)の7種類、限定使用認可されたのは、、Gamaleya(ロシア)、Vector Institute(ロシア)、Bharat Biotech(インド)、J&J(米)など6種類である。
 世界初の認可となったワクチンは、Cansino BiologicsのAd5-nCoVで、2020年6月、中国人民軍限定の利用認可を得た。中国では、その後、Sinovac、Sinofarm、武漢生物制品研究所製の4つのワクチンが認可されている。ロシアはGamaleya Research Instituteが開発しているSputnik-Ⅴを、2020年8月、第2/3相臨床試験の結果を待たず認可し、さらにシベリアのノボシビルスク州にある国立ウイルス学・生物工学研究センターが開発したワクチン候補も認可した。
 一方、University of Queensland(オーストラリア)やMerck(米)のワクチン候補など4つは開発中止となった。



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イギリスでオックスフォード・アストラゼネカのワクチン接種開始
 1月4日、イギリスで、オックスフォード大学と製薬大手アストラゼネカが共同開発したワクチンの接種が、オックスフォードとロンドン、サセックス、ランカシャー、ウォリックシャーの6つの病院で始まった。
 マット・ハンコック保健相はこれについて、イギリスのコロナウイルスとの戦いの「転換点」になると話した。この日だけで53万回分のワクチンが用意された。
 ワクチンは2回接種する必要があるが、イギリスでは最近の急激な感染者数増加を受けて、国民保健サービス(NHS)はワクチンの2度目の接種時期を21日後から12週間後に先延ばにした。
 2度目の接種時期を遅らせる策はイギリスの保健当局高官も支持しており、1回目のワクチンを打った人数を増やすことが「より好ましい」としている。
 イギリスでは昨年12月に米ファイザーと独ビオンテックのワクチンの接種が始まり、これまでに100万人以上が1回目の接種を終えている。
 オックスフォードとアストラゼネカのワクチンは一般的な冷蔵庫での保管が可能で、ファイザー製に比べて流通と保管が簡単なことが特徴で、価格も安価だという。
 イギリス政府はこのワクチンを人口全体に十分に行き渡る1億回分を確保している。すでに接種施設がイギリス各地に約730カ所整備されており、今週後半には計1000カ所を超える見込みだという。
 一方、イギリスのボリス・ジョンソン首相は同日、国内で新型コロナウイルスの変異株が拡大する中、イングランドで5日から2月中旬まで新たなロックダウンを実施すると発表した。住民は特定の理由を除き、外出ができなくなる。今後数週間は「これまでで最も困難な状況」になるだろうと警告、イギリスが新型ウイルスとの「闘いの最終段階」に突入していると述べた。
 1月6日、欧州医薬品庁(EMA)は、米モデルナ社のワクチンを承認した。昨年12月27日に承認されて接種が開始されている米ファイザー社と独ビオンテック社のワクチンに次いで2例目となる。
 日本政府このワクチンについて、1億2千万回分(6千万人分)の供給を受ける契約を結んでいる。

ファイザー製ワクチン接種の医療従事者にアレルギー反応
 12月19日、米CDC(疾病対策センター)は、米ファイザー社などが開発したワクチンを接種した人のうち6人が、接種後に激しいアレルギー反応である「アナフィラキシー」の症状を示したことを明らかにした。その内1人は過去に狂犬病のワクチンを受けた際にアレルギー反応が出たという。米国ではこの1週間で55万6208人がファイザー社のワクチンの接種を終えている。
 米FDAは、ワクチンに含まれる「ポリエチレングリコール」が関係している可能性もあるとして調査する考えを示した。mRANという物質は極めて壊れやすいために、「脂質ナノ粒子」というベクター(遺伝子の運び屋)で覆って保護するが、その膜が「ポリエチレングリコール」で生成されている。
 最初に米国で同ワクチンに対するアレルギー反応が報告されたのは12月15日、米アラスカ州の衛生当局は、州都ジュノーの病院で米ファイザー社と独ビオンテック社が開発した新型コロナウイルスワクチン接種を受けた女性医療従事者にアレルギー反応が出たことを明らかにした。
 担当医によると、この女性は接種から10分以内に体のほてりを感じ、その後息切れや心拍数増加などの症状が表れた。米衛生当局は、アレルギー反応が起きた場合でも治療できる態勢は整っていると強調した。
 アラスカ州の最高医療責任者アン・ジンク氏は、「英イングランドでファイザーとビオンテックの新型コロナウイルスワクチン接種を受けた人たちにアナフィラキシー(全身のアレルギー反応)が報告されたことを受け、我々もこのような副作用が起こり得ることは想定していた」と述べ、州内で承認されたワクチン接種施設は全て、アレルギー反応に対応するための医薬品を常備する必要があると語った。
 担当医のリンディ・ジョーンズ医師によると、アレルギー反応が出た女性医療従事者は、15日に接種を受けた直後は経過観察区域にとどまっており、抗アレルギー薬のベナドリルを服用したが、息切れの症状を訴えたため集中治療室(ICU)に移された。 女性には息切れや心拍数増加の症状があり、顔から胴体にかけて発疹が出ていた。「アナフィラキシー反応が懸念されたので、エピネフリン筋肉注射の標準治療を行ったところ、すぐに反応した」とジョーンズ医師は話し、抗ヒスタミン剤も投与し、それでもまだ心拍数が高く呼吸が速いといったアレルギー反応の兆候があったため、もう1回エピネフリン注射を行ってステロイドを投与したという。
 女性はそれまでワクチンに対してアレルギー反応が出たことはなかった。ジョーンズ医師はICUに1晩入院した後はほぼ回復したと説明している。(CNN 12月16日)
 
米FDA、ファイザーのワクチン緊急使用承認 接種開始  
 12月14日、 米国で、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの接種がニューヨーク州で始まった。
 一番手はロングアイランド・ジューイッシュ・メディカル・センターの集中治療室(ICU)で働く看護師だった。 
 米国ではこの日、新型コロナ感染症による死者が累計で30万人を超えた。ワクチン接種の開始で、米国のコロナ対策の転換点となる可能性に期待が集まっている。
 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長はMSNBCに対し、米国では一般国民へのワクチン接種が「3月末から4月初旬まで」、もしくは「2021年第2・四半期末、春の終わりまで」に始まる可能性があるとし、「秋にかけて一定の安心感を得らえるようになるだろう」と述べた。

 12月11日、FDAは、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を許可した。緊急使用許可(EUA)が下りたことを受け、米国の保健当局、地方自治体、病院、物流業者は、ただちに接種に向けて動き出している。
 12月13日、ファイザー社のミシガン州の工場からアメリカ各地の145カ所の医療機関に向けて次々に発送が始まった。16日までに約300万回分が636カ所に運ばれる予定だ。
 最大都市のニューヨーク市は、14日にワクチン配布などの統括センターを開設する計画を発表。デブラシオ市長は会見で「これは物流だけの問題でなく、いかに公平を期し市民の信頼を確保するかという点で前例がない」と語った。 FDA諮問委員会は今週、米モデルナのワクチンの緊急使用許可を認めるかどうかも検討する。
 さらに12月18日、米食品医薬品局(FDA)は、米バイオ医薬品企業モデルナが開発した新型コロナウイルスワクチン、mRNA-1273の緊急使用を許可した。米国でコロナワクチンの緊急使用が認められるのは2例目となる。
 数日中に18歳以上の成人への接種が始まる見通し。年内に約2000万回分を米政府に納入する。
 一方、世界保健機関(WHO)は12月31日、米ファイザー/独ビオンテックのワクチンの緊急使用を承認した。

英国、コロナワクチン接種開始 接種の2人に強いアレルギー反応、英が注意喚起 
 12月8日、新型コロナウイルス危機が発生してからほぼ1年、米ファイザー社と独ビオンテック社が開発したワクチンの大規模な接種が英国で始まった。ハンコック保健相はこの日をワクチン(Vaccine)の頭文字から「Vデー」と呼び、戦勝記念日になぞらえた。世界で150万人以上の死者を出したウイルスとの闘いの転換点になるのか、英国がその最初のテストケースとなる。
 ワクチンはベルギーで製造され陸路と空路で英国に運ばれた。
 英国民保健サービス(NHS)の発表によれば、80歳を超える高齢者と介護施設の職員、医療従事者が最初に接種を受ける。当初は約50の病院が取り組みに参加し、最終的には最大1000カ所のワクチン接種センターが開設されるとしている。
 国営医療制度「国民保健サービス(NHS)」のスティーブン・パウィス教授は「英国におけるコロナ禍の終わりの始まり」と宣言。その上で「史上最大の予防接種運動」を進めていくと強調した。
 人類と新型コロナウイルスとの闘いは、新たなステージを迎える。
 一方、12月8日、ワクチン接種に伴って重篤なアレルギー反応が2例、報告されたことが明らかになった。
 これを受けて、英医薬品当局は、深刻なアレルギー反応がある人はワクチンを接種しないように警告した。
 英国民保健サービス(NHS)の医療ディレクター、スティーブン パウイス氏は、ワクチン接種でアナフィラキシー反応が報告されたとした上で「過去に深刻なアレルギー反応があった人はワクチン接種を受けないよう、英国医薬品庁(MHRA)から予防的忠告があった」と述べた。アレルギー反応を起こした2人は無事に回復しているという。
 MHRAは、アレルギー反応に関する追加情報を求めると表明、2社は調査に協力するとした。(Reuters 12月10日)

 アメリカのジョー・バイデン次期大統領は8日、新型コロナウイルス対策として、来年1月20日の就任から100日間でワクチン1億回分の提供を目指すと表明した。

ワクチン接種を無料化 改正予防接種法が成立 接種で健康被害 政府が補償へ 
 新型コロナウイルスワクチンの接種無料化を柱とする改正予防接種法が12月2日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。費用は国が全額負担し、実施主体は市町村となる。国は、接種によって健康被害が生じた場合の損害賠償を肩代わりする契約を製薬会社側と結べるようになる。
 改正法により、国民には原則として接種の「努力義務」が生じるが、あくまで「任意」とし、ワクチンの有効性や安全性が十分に確認することが条件としている。接種費用は全額を国費でまかない、新型コロナ対策として計上した予備費を活用する方向である。
 今年の8月、政府は新型コロナウイルス対策本部で、来年前半までに、すべての国民に提供できる数の確保を目指し、安全性や有効性が認められるものは国内産、国外産を問わず、供給のための契約を順次、進める方針を示した。9月にはワクチン確保に6714億円の予備費支出を閣議決定している。

 また、早期にワクチンを供給する環境を整えるため、政府は副作用や副反応で健康被害が起きた場合、民事訴訟などによる製薬会社の損失を国が補償する方針も固めた。
 各国でワクチンの獲得競争が激化している中で、製薬会社側が日本へ供給しやすくするための法整備に乗り出す方向だ。接種で健康被害が出た場合、責任を負う可能性のある製薬会社に代わり、政府が補償する仕組みを作る。次の国会で関連法案を提出する見通しという。
 政府はこれまでに、米製薬大手ファイザーや英アストラゼネカから供給を受けることで基本合意し、来年前半からの接種を目指している。
 8月21日、政府は、ワクチンが実用化された場合の接種の在り方に関する提言をまとめ、重症化リスクがある高齢者や基礎疾患を持つ人、新型コロナの診療に当たる医療従事者に優先的に接種する方針で合意した。救急隊員や保健所職員を含めることも「議論が必要」とした一方で、高齢者施設で働く人や妊婦については「検討課題」とした。
 これを受けて、政府はワクチンの接種順位を含めた方針を策定する。
 新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は「一般的に呼吸器ウイルスに対するワクチンは効果が非常に限定的だ」と述べて過剰な期待をしないよう求め、副反応など安全性の監視を強化するよう促した。

AstraZeneca社 ほとんどの国で製造物責任免責


英アストラゼネカのワクチン、有効性平均70%、最大90%にも 深刻な副作用なし 米FDA 12月10日認可へ
 11月23日、英製薬大手アストラゼネカ社は、英オックスフォード大学と共同開発している新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)の中間結果を発表し、深刻な副作用を起こさず感染を予防できる有効率が最大で約90%だと明らかにした。
 米FDAのワクチン委員会は12月10日に認可の是非を決める予定で、早ければ翌11日から新型コロナウイルスのワクチンが提供される見通しだ。米政府のワクチン開発計画の科学主任、モンセフ・スラウイ博士が、22日、CNNに出演して明らかにしたもので、認可から「24時間以内にワクチンを接種拠点へ運ぶ」計画だと述べた。
 同社は年内に最大2億回分のワクチンを製造すると表明。競合の米ファイザーは年内に5000万回分の製造を目指すとしており、アストラゼネカの目標はその4倍に相当する。来年3月末までには世界で7億回分のワクチン供給を目指す。
 この中間結果は、英国とブラジルで実施している後期治験データに基づいたもので、初回は半分の量を投与し、少なくとも1カ月の間隔を置いて、2度目は全量投与した場合の有効率が90%だったという。
 有効率は、すなくとも1カ月の間隔を置いて計画通りに全量を2回投与した場合は62%。2種類の投与方式を合わせた分析では平均70%だった。いずれの結果も統計的に有意だとしている。初回は半分の量にする投与方式が有効率が高かったが、その理由は明らかでない。
 アストラゼネカのワクチン開発関係者は、1回目に半分の量を投与したのは偶然の「セレンディピティー(偶然の幸運)」だったと指摘。4月末ごろに英国内の治験参加者に投与した際、疲労感や頭痛、腕の痛みなどの副作用が予想よりも軽度だったことに気付き、調べたところ投与量が計画の半分だったことが分かったが、そのまま治験を継続し、予定された間隔をおいた後に全量を投与したという。
 ワクチンの安全性について深刻な事象は確認されなかったとしている。
 アストラゼネカは今後、各国の医薬品当局に治験データを提出する準備に入る。また世界保健機関(WHO)の緊急使用医薬品指定も目指す。これと並行して中間データの完全な分析を、査読を行う医学誌に送る。
 アストラゼネカのワクチンは、従来型のウイルスベクターワクチンで、ヒトに対して病原性のない、または弱毒性のウイルスベクター(運び手)に抗原たんぱく質の遺伝子を組み込んだ組み換えウイルスを投与するもの。これに対し、ファイザーやモデルナのワクチンにはメッセンジャーRNA(mRNA)という新技術が用いられている。
 ワクチン1本分の価格はわずか4ドル程度と、ファイザーやモデルナのワクチンと比べて格安。さらに2─8度での管理2─8度で30日間保存でき、保存や輸送が容易だという。これに対してファイザーのワクチンはマイナス70度以下の超低温で保存する必要がある。
 英国のハンコック保健相は「ワクチンの配布プログラムの大部分が1月、2月、3月に行われる予定で、イースター(復活祭)以降、状況が正常に戻り始めるよう願っている」と述べた。
 インペリアル・カレッジ・ロンドンのダニー・アルトマン教授(免疫学)は、「後期治験の断片的なデータを比較すると、アストラゼネカ、ファイザー、モデルナのワクチン効果に大した差はなく、1年後には3つのワクチンを全て使用し、約90%の予防効果が得られるようになるのではないか」と話した。



オックスフォード大/アストラゼネカ ワクチン 抗体とT細胞の「二重防御」の可能性 飛躍的進歩か

英AstraZeneca 米で治験再開 「説明のできない」有害事象発生 最終段階の治験一時中断

厚労省 英AstraZenecaと1億2000万回分のワクチン供給で合意 武田薬品 5000万回接種分を国内供給

英AstraZeneca 日本での治験8月にも開始 「特例承認」目指す

英AstraZeneca 4億本のワクチンを欧州に提供

オックスフォード大学 臨床試験を開始 5000人にボランティアが対象

米ファイザー、緊急使用許可申請 治験でワクチン95%有効 クリスマス前の配布も
 11月20日、米ファイザー社は、独ビオンテック社と共同開発している新型コロナウイルスワクチン、「BNT162b2」の緊急使用許可(EUA:Emergency Use Authorization)を米食品医薬品局(FDA)に申請した。コロナワクチンの緊急使用許可申請は米国内で初めて。 
 これに先立って、11月18日、同社は「BNT162b2」の臨床試験(治験)で95%の予防効果が確認され、重篤な副作用も見られなかったとする最終結果を発表し、2カ月分の安全データもそろっているとして数日以内にFDAに緊急使用許可(EUA)を申請すると表明。 FDAの諮問委員会が12月中にも治験データを検討する見込みとした。米欧で12月中にも緊急使用許可が承認される可能性が大きくなった。
 これに対して、アザー厚生長官は「2つの安全で効果のあるワクチン(Moderna/Pfizer)をFDAが数週間で認可して配布するだろう」と述べ、FDAによって緊急承認されるという見通しを示した。承認後、24時間以内にワクチンを供給する準備が整えられ、早ければ年末までに約2000万人分が供給されるだろうとした。
 ファイザーが公表したデータによると、臨床試験には4万3000人を超える治験者が参加し、「BNT162b2」を接種するグループとプラセボ(偽薬)に分けて、約3週間の間を空けて2回接種した。
 この内、170人が新型ウイルス感染症(COVID-19)に感染。感染者のうちワクチンの接種を受けていたのは8人にとどまり、残りの162人はプラセボ(偽薬)の接種を受けていた。このことから、有効率が95%だったと確認されたとした。
 また、感染して重症となった被験者10人のうち、プラセボではなくワクチンの接種を受けていたのは1人のみだった。リスクが高いとされる65歳以上の年齢層でも有効率は94%を超え、ファイザーはワクチンの効果は人種や年齢を問わず一様だったとしている。副作用については、おおむね軽度ですぐに解消したと報告。ワクチン接種を受けた被験者の2%超が疲労感を訴えたとした。
 ファイザーとビオンテックは世界各国に薬事当局にデータを提出するとともに、査読(ピアレビュー)を受けた論文を科学誌に提出するとしている。
 ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、FDAから12月前半、もしくは同月後半の早い時期に緊急使用許可の承認を得られる可能性があり、欧州連合(EU)の条件付き使用許可も12月後半に得られるだろうとして、「全てがうまく行けば、クリスマス前の配布開始が可能になる」と述べた。(出典 Reuters 11月18日)
 両社が開発している「BNT162b2」はメッセンジャーRNA(mRNA)技術に基づくもの。遺伝子を人工的に合成するため、短期間で大量のワクチンを製造できる利点がある。一方で、同社のワクチンはマイナス70度以下の超低温で保存する必要があるが、通常の冷蔵庫でも最大5日間は保存可能という。
 年内に2500万人分に当たる5000万回分のワクチンを製造し、2021年には最大で13億回分を製造する予定だと改めて表明した。
 また、日本でも、第1相/2相臨床試験が行われており、日本政府と1億2000万回分を供給することで合意している。実用化すれば国内で接種される主力ワクチンの一つになる。さらに欧州連合(EU)、英国、カナダとも供給契約を結んでいる。
 11月9日、ファイザーは中間発表で「有効率が90%を超えた」としたが、これを受けて、週明け11月9日のニューヨーク株式市場ダウ平均株価は急反発して、ことし2月につけた取り引き時間中の最高値を更新し、3万ドルに迫った。
 終値は、先週末に比べて834ドル57セント高い、2万9157ドル97セント。アメリカの大統領選挙で民主党のバイデン前副大統領が勝利を宣言したことに加え、新型コロナウイルスのワクチン開発の期待から、幅広い銘柄に買い注文が集まった。
 これを受けて、日経平均株価は2万5000円を上回りバブル後の最高値を更新した。
 まさに株式市場は「ワクチン相場」になっている。

Pfizer/BioNTechのワクチン、BNT162b2 米政府が1億回分を確保 2回接種で1人分39ドル

米モデルナ 緊急使用許可申請 有効率94.1% 
 11月30日、米モデルナ社は、新たな分析で重大な安全性の問題は浮上せず、コロナに対する高い予防効果が示されたとして、緊急使用許可申請(EUA)を申請した。 
 申請に伴って公表された一次解析では、約3万人と対象にワクチン候補あるいはプラセボ(偽薬:生理的食塩水)を接種するという後期臨床試験(治験)を実施、この内196人が新型コロナウイルスに感染した。196人の内、11人がワクチン候補を投与したグループ、185人が偽薬を投与したグループで、有効性は94.1%と、16日に公表された暫定結果(94.5%)とほぼ同水準だった。重症化が確認された30人はいずれもプラセボを接種した被験者で、重症化の予防には100%の有効性が示唆されたとした。
 このワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンで、遺伝子を人工的に合成して製造するため、短期間で大量のワクチンを製造できる利点がある。
 同社のホーグ社長は「『ワープ・スピード作戦』を通じて数時間以内に出荷する用意があり、すぐに供給を開始できる」として、2021年には需要に応じて国内外の製造拠点に分けて5億~10億回分のワクチンを製造する方針を示した。
 新型ウイルスのワクチンを巡っては輸送方法が懸念されているが、モデルナのワクチンは通常の冷蔵庫の庫内の温度である2~8度で30日間の保存が可能。マイナス20度では最大6カ月の保存が可能になる。一方、ファイザー社のワクチンはマイナス70度の超低温での保存が必要となる。
 「ワープ・スピード作戦」のワクチン担当責任者、マシュ―・ヘップバーン氏は、モデルナのワクチンについて、通常の冷蔵保存が可能なことから、遠隔地域などへ容易に配布できると指摘。「長期試験が完了すればさらなる安定化も期待でき、慎重ながら楽観的に考えている」と述べた。  
 また米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は「ワクチンはトンネルの先にある光だ」とした。
 米政府は8月、1本15ドルで1億本のワクチンを購入する契約をモデルナと締結。政府は開発資金として10億ドルをモデルナにすでに提供しており、政府が支払う1本分のワクチン価格は総額で25ドルとなる。(出典 Reuters 11月16日)
 米ファイザー社も認可申請を終えていて、12月中にも米国では2種類のワクチンの緊急使用が始まり、年内に最大6000万回分、来年には10億回分を超えるワクチンが米国内で供給される可能性が濃厚となった。
 週明け16日のニューヨーク株式市場ダウ平均株価は、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から3万ドルの大台に迫る水準まで値上がりし、ことし2月につけた終値としての最高値を9か月ぶりに更新した。17日の日経平均は、29年5カ月ぶりに2万6000円台を回復した。

Mederna RNA-1273 最先端の遺伝子技術を駆使して開発するmRNAワクチン

モデルナModerna  BioNTech /Pfizer 最終段階の第三相臨床試験開始 「年内の実用化可能」
Moderna ワクチン価格32-37ドル


モデルナのコロナワクチンで患者全員が抗体を獲得-初期臨床試験 27日ごろから後期大規模治験へ


ABC NEWS 7月27日

米モデルナ、臨床試験延期の報道 株価一時7%安

Mederna RNA-1273 最先端の遺伝子技術を駆使して開発するmRNAワクチン


出典 BBC NEWS

米、規制当局の承認後すぐに配布開始 コロナワクチン計画

「ワープ・スピード作戦」 トランプ政権の賭け ワクチン開発でコロナ禍克服

BARDA( 米生物医学先端研究開発局)  NIH(米国立衛生研究所) NIAID(米国立アレルギー・感染症研究所) CDC(米疾病予防管理センター)


COVID-19の構造








作成 IMSSR


新型コロナウイルス SARS-CoV-2 出典 NIAID-RML




2021年2月20日
Copyright (C) 2021 IMSSR



******************************************************
廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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4 コメント

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Unknown (モルフォ)
2020-05-10 20:58:33
すいません、ブログ主さんにお聞きしたい事があるのですが、宜しいでしょうか?
Unknown (モルフォ)
2020-05-10 21:01:32
あの、コンパクトな五輪の記事を見て思ったのですが、東京五輪の会場(施設)って、他のオリンピックに比べても多くありませんか?
全体的な会場数もそうですが、既存施設に占める新設・再整備の割合も、最近のリオやロンドンに比べて、明らかに多く感じます。それとも、こんなもんなんですか?
Unknown (Unknown)
2020-08-06 18:47:49
新型コロナウイルス治療薬・ワクチン開発最前線の記事一覧にある、上から3つめの、AstraZenecaがほとんどの国で製造物責任免責・・・とロイターに語ったと書かれている部分の元記事はありますか?
脱国民洗脳はベンジャミン・フルフォード (脱国民洗脳はベンジャミン・フルフォード)
2020-09-17 14:41:08

国民電波洗脳による、テレビ、新聞、週刊誌、ラジオ等の、嘘八百の洗脳情報と、嘘と騙しの仕掛けと、策略に満ち溢れた世の中で、思考停止状態にある日本人は、自分自身の脳、すなわち思考そのものを点検せよ! 騙しと、策略の煽動に乗せられるな! 我々はハッ、と気付いて、いや、待てよ! と立ち止まり、常に注意深く、用心深く、警戒し、疑いながら生きれば、騙されることはない。 全ての常識や事柄を疑うべきだ!

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