北岡伸一の本。

まず一言。そこに現実がある。

さて、地政学と言うよりは日本の外交について知りたくなって読んでみたのがこの本だ。
とは言え、主に書かれていたのは民間協力についてのことだった。
民間協力とは言え、外務省などと連携を取っているだろうからそれなり以上に参考になるだろうとも思う。

結果として、政府と外務省があまり仕事をしていないらしいことが分かっただけだった。
そんな中でも異彩を放っていたのは、やはり安倍総理だった。
太平洋とインド洋の重要性を理解して、積極的に安定に貢献しようとする姿勢は全面的に支持できる。
姿勢は支持できるが、もう少し軍事的な協力をしてくれたら良いのにとも思う。
国連の平和維持活動から、ほとんど撤退してしまっている日本国軍の姿はかなり不満が有る。
まあ、日報の隅を楊枝でほじくり返して、危険だから軍隊が行っているという現実を無視して騒ぎ立てている野党と、報道各社が原因だとは思うのだが。
それに踊らされている国民にも問題はあるか。

こんな状況だからだろうが、民間の国際協力はかなり強力になっていることを、この本を読んで初めて認識した。(報道されないので全然知らなかった)
日本と日本人が活躍している姿をもっと報道して、日本国民であることに誇りを持てるようになれたら良いのにとも思う。

そうそう、これも知らなかったのだが、新幹線は五百キロ程度の距離が最も有効だという話だ。
それ以上に近いと時間短縮の効果が出ないし、遠いと飛行機での移動の方が効率的なのだそうだ。
まあ、本来新幹線とは日本国内を走るために設計製作されたのだから、日本で最も効率的になるのは当然のことなのだろうと思う。
中人国とかで活躍しているようだが、実際はどうなのだろうか?
飛行機で行くよりも安かったりするのだろうか?
少し疑問だ。

もう一つ。
日本の国際協力機構などがお金を出して、外国に日本を研究する機関を作ってもらっていると言う事も知らなかった。
なんだか、本末転倒な気もするのだが、恐らくこれで正しいのだろう。
外交の世界は複雑怪奇だと言う事だけはきちんと認識しているが、それでもこの辺になると、素人では判断が出来ない。

ついでにもう一つ。
日本という比較的狭い国でさえ、山があると交通が不便になるのに、世界中には隣の州に行くために陸路を使えない国が多くあることを、改めて認識した。
そんな国を成立させるためには独裁もやむを得ないのでは無いかと書かれていた。
この認識には賛成だ。
ただし、どこかの国のように極度の監視社会では息が詰まるので程度をわきまえるべきだろうとも考えた。(俺が関与できる話では無いのは分かっている)

さて結論だ。

これから先も、冷戦という枠組みが崩壊した以上、世界情勢は混乱してゆくことだろうと思う。
それを見据えた、中小国への支援は充実させるべきだろうとも思う。
そのために、批判ばかりしている国会議員に払う給料を減らしてでも、資金を捻出する必要があるのでは無いかと考えた。
この俺の考えが正しいかどうか甚だ疑問だが、それでも、この本は読むべきだろうと思う。
なぜならば、俺の考えが正しいのかどうかを判断するための一助となると思うからだ。
是非暇を作って読んでみて欲しい。

そうそう、これは蛇足なのだが。

国連の平和維持作戦から、日本軍がほぼ完全に撤退してしまっていると書かれていた。
で、気になったのがソマリア沖の海賊対策のことだ。
陸海空と、日本軍が連携して作戦行動に当たっていると聞いていたのだが、これは平和維持作戦では無いのかと思い調べてみた。
結果として、国連の平和維持作戦では無いらしいことが分かった。
少し驚きだった。

蛇足ついでにもう少し。

著者は、どこかの外交官が英語とフランス語の質問に対して、それぞれの言語で返答していることがうらやましい的なことを書いていた。
英語とフランス語はおろか、欧羅巴の言語は文法やなんやかんやがかなり似通っていると聞いたことがある。
英語とドイツ語は親戚同士だとか、オランダ語とポルトガル語はほとんど同じだとか、色々。
それに比べると日本語は明らかに異質な言語であり、欧羅巴の言語を操れる人材が少ないのはむしろ当然のことだろうと思う。
その辺をきちんと書いておいてくれれば良かったのにとも思うが、これは、日本語さえつっかえ気味な、俺のひがみ根性のなせる技なのだろう。


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