(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

「ものを捉える=状況把握をする」を確認する(1/3)

*医学の言うことはみんな嘘第5回


 ひとつ、あいまいなところが残っているとのことでしたね。そこをいまからきっちり確認して、今度こそ、みなさんとお別れしようと思います(みなさんとお別れしたがっているのではないですよ)。


「状況を捉える」ということについて、ひとつあいまいなところがありましたよね。


 こういうことでしたね。


 その「もの」が何であれ、「ものを捉えるとは状況を捉える」ということである。ひとを捉える場合だってそうである。ひとを捉えるというのもまた「状況を捉える」ということである。もっと正確な言い方をすれば、ひとを捉えるというのは、「そのひとが渦中にいる状況を捉える」(そのひとの身になる)ということである。


 しかし、そんなふうに「ものを捉える」とは「状況を捉える」ということであるとなぜ言えるのか。


 先ほど、なぜそう言えるのか、あんパンをもちいて確認しました。


 そのとき、「状況を捉えるというのにはつぎの3つがあるって見たじゃないですか。

  • ①状況がどんなか知る。
  • ②状況が過去そのときにどんなだったか把握する。
  • ③状況が将来のそのときにどんなか予想する。


 でも、この3つをみなさんがいつどんなふうにしているのかイマイチはっきりしないということでしたよね。それぞれを別のときにしているのか、それとも同時にしているのか、よくわからないとのことでしたね。


 さあ、では、そのあいまいなところをこれから判然とさせていきましょうか、みなさんとお別れするまえに、ね?


 再度あんパンを例に見ていきますよ。


 先ほどみなさんに想像してもらったじゃないですか。俺があんパンに近寄っている場面を? あんパンにそうして近寄っているあいだのある一瞬をいま一度、みなさん、考えてみてくれますか。


 あんパンに近寄っているあいだ、どの瞬間でも、俺はつぎのふたつのことを同時にしてましたよ、ね?

  • A.その瞬間(現在)まで、どのようにあんパンに近寄ってきたか、把握している。
  • B.その把握しているところをもとに、その瞬間(現在)からあと、どのようにあんパンに近寄っていくか、類推(予想)している。


 俺があんパンに近寄っているあいだ、どの瞬間をとってもこのAとBのふたつを同時にしてたじゃないですか、ね?


 このAとBはそれぞれ何を意味するのか、いまから考えていきますよ。


 その瞬間現在までどのようにあんパンに近寄ってきたか把握しているとはどういうことなのか


 みなさん、どういうことだと思います?


「その瞬間(現在)まで、一瞬一瞬の状況がどんなだったか把握している」ってことじゃありませんか。


 つまり、「その瞬間(現在)までの状況の推移を把握している」ってことじゃないですか、ね?


 いっぽう、Bについてもおなじことが言えません?


 その瞬間現在からあとどのようにあんパンに近寄っていくか予想している」とはどういうことか。


 それは、「その瞬間(現在)後の状況が一瞬一瞬どんなか予想している」ということじゃありませんか。


 つまり、「その瞬間(現在)後の状況の推移を予想している」ってことじゃないですか、ね?


         (1/3) (→2/3へ進む

 

 

2019年11月8日に文章を一部修正しました。


前回(第4回)の記事はこちら。


このシリーズ(全5回)の記事一覧はこちら。