たけじいの気まぐれブログ

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平岩弓枝著 御宿かわせみ14 「神かくし」

2020年02月20日 08時30分58秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 長編時代小説 「御宿かわせみシリーズ」第14弾目の作品「神かくし」(文春文庫)を 読み終えた。
本書には 表題の「神かくし」の他、「梅若塚に雨が降る」、「みずすまし」「天下祭の夜」、「目黒川の蛍」、「六阿弥陀道しるべ」、「時雨降る夜」、「麻生家の正月」の 連作短編8篇が収録されている。
「御宿かわせみシリーズ」は 全34巻に及び、その後に「新・御宿かわせみシリーズ」へと連なる超長編小説であるが ほぼ1話完結連作短編構成になっているので、記憶力の無い爺さんでも はい、次・・、はい、次・・と、比較的読み進め易い小説だと思っている。
にも拘わらず 読んでも読んでも そのそばから直ぐ忘れてしまい 読んだことのある本を うっかりまた借りてきてしまう等の失敗をする爺さん。そんな失敗を繰り返したくなくて、記憶出来ない老脳の記憶補助のため 忘れない内にブログに書き留めることにしているのである。

平岩弓枝著 御宿かわせみ14 「神かくし」

「梅若塚に雨が降る」
江戸で大火が続いた年、大川端の小さな旅籠の女主人るいは女頭のお吉を共にして 向島へ出掛ける。火事で焼け出された知人が避難している隅田村の隠居所へ見舞うためだった。その帰り道、木母寺で梅若塚を詣でる。「尋ねきて問わば答えよ都鳥、隅田川原の露ときえぬと」の一首を残して世を去った梅若丸の塚だった。そこでるいとお吉は若い夫婦と赤ん坊に出会うのだが・・、富沢町の近江屋では焼け残った商売倉が有り、売り出し大盛況、4~5千両?が倉に。火事場泥棒、盗賊の狙い目。手代清二郎は?、女房おふねは?

「みずすまし」
るいの亡父庄司源左衛門と同じ定廻り同心だった柴田左門の娘お与里が毎日のようにかわせみにやってくるという。嫁ぎ先佐伯家から 子供が出来なかったこと、他の女に男子が誕生したことで 離縁されたという。目黒不動尊の門前町、代官所の支配地目黒村、市兵衛の離れに住んでいるおたま、間男の正体は?、離縁の原因となった女を陥れようとしたかりそめの色事が・・・、

「天下祭の夜」
かわせみに上州桐生の絹商丸屋の主人清左衛門他3人が到着、その一人政吉が上がり框で顔色を変えるところから物語が始まっている。江戸の二大祭、山王祭、神田祭、大店から招待、接待を受ける田舎者で 旅籠はどこも満室。喧嘩、掏摸、迷子、怪我、落とし物・・・、源三郎、長助等、町方は警備で大忙し。無宿人金助を見かけるが・・・。麻生家から祭り見物招待券をもらった東吾るいは かわせみの宿泊客羽鳥屋の夫婦弥三郎およねと同じ桟敷で接待を受けたが、およねが行方不明に。
東吾「かわせみをやめるとしたら、えらいことなんだろうな」、兄通之進の心積もりでは 
「来年早々に祝言を挙げ、兄と共に奉行所に見習いとして出仕、兄が隠居、東吾が家督を継ぎ与力となる」・・いよいよ現実味が増してきて るいは幸せ感と寂寥感を抱く。

「目黒川の蛍」
7月18日 東吾の幼馴染で定廻り同心畝源三郎の長男源太郎の初誕生日に、東吾、るい、宗太郎、七重夫婦、長助が祝いに集った。嘉助が眼が悪くなっている話から 越後直江津、春日山の近くの五智如来願掛けの話に展開する。嘉助は 品川の眼医者養眼堂で眼鏡を作ることになるが。東吾は 狸穴の方月館の松浦方斎の共で蛍見物と句会のため名主庄左衛門の屋敷を訪ねるが 目黒川の岸辺で蛍狩り中 愚痴っぽい二人の女の話声を聞く。眼が悪いおとしおたね母娘だった。信濃屋のおすえ、品川の木綿問屋で働いているという芳之助が 線上に浮かび上がってくる。

「六阿弥陀道しるべ」
八八幡詣(ややはたもうで)・・深川の富岡八幡、市ヶ谷の八幡、高田村の穴八幡、青梅街道の大宮八幡、千駄ヶ谷八幡、渋谷八幡、稗田八幡、西の窪八幡(十里)
六阿弥陀詣(ろくあみだもうで)、亀戸村の常光寺、西新井村の延命寺、西福寺、西ヶ原の無量寺、田端村の与楽寺、下谷の長福寺、(日本橋から往復7里33丁)
「・・・、昨今は 六阿弥陀詣でのほうが 人気のようで・・・」、深川の蕎麦屋長寿庵の長助は ぼんの窪に手をやる
母親と弟富次郎、妹おたかを養っていた白木屋の大番頭今村治兵衛は退勤し、300両もの大金を持って行方不明に・・。源三郎に協力し、東吾も 真相究明、探索に乗り出すが、

「時雨降る夜」
茶の湯宗匠寂々斎月楓の古稀を祝う茶会の裏方(水屋)に指名されたるいは 師匠の期待に応えて生き生きと立ち働いた。高弟の京菓子屋鯉屋織部の内儀お由良と若夫婦織部おきみも務めていたが 若い嫁おきみは無様な失態を繰り返すばかり。おきみは 追い出され、「かわせみ」に滞在。四谷の縁切り榎。東吾。源三郎、四谷の岡っ引き辰吉が 探索。
東吾「源さんがいっていたよ。女には二つの顔がある。母親の顔と般若の顔と・・・」

「神かくし」(表題の作品)
神田界隈でも 4~5人が神かくしに遭っているという。岡っ引きの佐七長助を伴って、源三郎が「かわせみ」にやってきた。水油問屋大阪屋小兵衛の娘おまき、煙草問屋山田屋孫右衛門の女房お勝、盛林堂福井兵治の娘お美也。
東吾達は 真相究明、探索に乗り出すが・・・。

「麻生家の正月」
大晦日、すっかり初春を迎える準備が出来て、まったりしていた東吾は、兄通之進から 兄嫁香苗の共をして麻生家に急げと指示される。七重の出産である。難産の末生まれたのは女の子花世。大晦日だというのに、長助がかわせみに連れてきたのは 長助の下で働いている本所の蕎麦屋本村屋に伊助。夫婦喧嘩で気の強い女房お静から出て行けと言われたという。
正月三ガ日、八丁堀組屋敷の神林家は 毎年年始廻りが忙しいが、奉行所に見習いで出仕が決まっている東吾は 兄通之進と共に格別念入りな挨拶をして回る。4日には 狸穴の方月館にも赴き そこで通之進が隠居後の終の棲家を手配していたことが分かり 東吾は何も言えなくなる。かわせみに滞在していた伊助が本村庵に戻って井戸端で洗い物をしている。
一方で 将軍家の典医天野宗伯の長男、宗太郎は 麻生家で襁褓を取り替えたり、襁褓を洗濯をしたり、赤ん坊を風呂に入れたり、乳の出がよくなるよう七重の乳もみまでしている。
「知らんぞ、俺は・・・」、縁側に腰を下ろした東吾が空を眺めると 奴凧が風に乗っている。この篇では 殺しや探索、捕り物等は無く もっぱらいろいろな夫婦の形がほのぼのと描かれている。東吾とるいの暮らし等 物語の展開が大きく変わる年の幕開けのような気がする篇である。

(つづく)

 


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