公務員時代、何人か途中で退職した同僚がいました。
辞めてしまうとその後の音信はなくなってしまうものなのですが、ときどき共通の友人を通して、噂が伝わってくる人もいました。
思い出すと、バスの運転手になったとか、田舎に帰って、家業を継いでいるとかです。
ですが、まったく情報が入ってこない人の方が多かったです。
どうしているか、気になる人もいます。
そんな公務員退職者に関する記事を読みました。
最初に勤めた霞が関の官庁は、6年で辞めた。大学の医学部を受験しようと思ったからだ。アルバイトを掛け持ちしながら6年ほど勉強をしたものの、結果は出せずじまい。この間に購入した高級外車のローンと、スナック通いをしてできた消費者金融の借金を合わせた約500万円は、親が肩代わりしてくれた。
この記事は、45歳のユウヤ(仮名)さんのものです。
公務員退職後は、自動車工場の期間工などを経て、現在はタクシー運転手をしています。
年収250万円では、生活するには、かなり厳しそうです。
ユウヤさんは、お金に対する感覚がちょっと甘くて、困っている人から頼まれると、ついお金を貸してしまいます。
それで、今も100万円ほどの借金があるといいます。
私は現代の貧困の背景には、多くの場合、劣悪な雇用環境やセーフティネットの不備といった構造的な問題があると考えている。安易な自己責任論では、何も解決しないとも思っている。それでも、思わず言ってしまった。
ユウヤさんの貧困は、ユウヤさんのせいなのでは……。
この記事のライターは、貧困には、社会的な背景がある考えています。
だから安易な自己責任論には、否定的です。
ですが、このユウヤさんのケースでは、ユウヤさんの彼自身の責任ではないか、と述べています。
貧困に関しては、社会に問題があるという意見と本人に責任があるという意見がありますが、そしがやもこのケースを読んでいくとライターと同様に本人に責任の一端があるような気がします。
絵に描いたような優等生にみえるが、一方で「幼稚園のころから万引の常習犯だった」と、ユウヤさんは打ち明ける。虫歯になるという理由でお菓子を食べさせてもらえなかったため、コンビニでチョコレートや駄菓子などを、かなりの頻度で盗んでいたという。店員に見つかり、親からひどく怒られたこともあったが、しばらく経つと、また繰り返した。
この記事は、ユウヤさんの成育歴に触れています。
恵まれた家庭に育ち、勉強もよくできたようです。
ですが、一方では、万引きをするという相反する傾向がありました。
それにしてもビックリするのは、本人は、勉強ができたのにも関わらず、中学生のころまでは万引きが悪いことだと理解できなかったということです。
成績優秀だったユウヤさんは国立大学の付属高校を希望し、教師からは都心にある私立の進学校を勧められたのだが、父親が「高校までは地元の公立校で十分だ」と言って譲らなかったのだという。
それまでは、順調だったユウヤさんの歯車が狂い始めたのは、高校に入ってからです。
自分の希望の高校に行けなかった頃からです。
その後は、親からずっと否定されてきたという思いが消えないとのことです。
とは言いつつも親との関係は、悪くもありません。
実家に帰ったこともあるし、現在でも時々母親からは、数十万円の小遣いをもらうこともあります。
両親に対するアンビバレントな気持ちがユウヤさんにはあるようです。
「最近、ようやく今まで親に甘えすぎていたのかなと、思うようになりました。それでも、いざとなれば(開業資金は)親が出してくれるかな、なんて思っているんですけどね」
記事の最後では、個人タクシーを開業する夢をユウヤさんは語っていますが、それでも親からの金を当てにするようなコメントをしています。
40歳半ばの人間としては、ちょっとまだまだ甘いなあ、という気がしますね。
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