クラシックギターの足台や支持具の最適な高さと角度の決め方 高すぎるのも低すぎるのもデメリットが大きい

ドーガルのディアマンテを張ったギター ギター用品

クラシックギターを構えるときは一般的にネックを高くして構えます。でも、人によってネックの高さはバラバラ。。。どうやったら自分にとって最適な高さや角度を決められるのでしょうか?

足台や支持具によって変わるのはヘッドの高さとネックの角度

足台や支持具の高さを変えたときに変わるのはヘッドの高さおよびネックの角度です。まずはこの観点で最適な高さについて考えていきましょう。

古典的な教科書的な説明では、「ヘッドと目線が同じ高さに来るようにする」がよく言われています。でも、最近のプロのギタリストを見ているともっとヘッドを高く構えているように思います。

たとえば村治佳織はこうです:

ちょっと見切れていますがヘッドの先が頭の先くらいでしょうか?

逆にもっと遡るとタレガはこんな感じで構えていました:

Francisco de Asís Tárrega.jpg
Wikipediaより

ヘッドの先が肩くらいでしょうか。

セゴビアもやはり肩くらいです:

つまり、ヘッドの高さやネックの角度は時代(=奏法)とともに変わり、自分の弾き方にあった高さや角度ににあるように足台や支持具の高さを変える必要がある、ということです。

高くしたとき/低くしたときのメリットとデメリット

では、ヘッドを高くした場合、低くした場合にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?表にまとめると以下のようになります:

ヘッドが低いヘッドが高い
ハイポジション弾きづらい弾きやすい
(が、やりすぎると弾きづらくなる)
ローポジション腕を上げなくて良い
(が、ぶら下がって押さえづらい)
腕を上げなくてはいけない
(が、ぶら下がりやすい)
右手の弾きやすさ斜めに弾きやすい垂直に弾きやすい
見た目昔ながらのギタリスト今時のギタリスト

詳細について説明していきます。

ハイポジションの弾きやすさ

1つめのポイントはハイポジションの弾きやすさです。現代よく弾かれるクラシックギター曲にはハイポジションを多く活用するものがあります。

ネックの角度が浅いと、ハイポジションは体の中心に向かって存在することになります。このため、ハイポジションを押さえるときに手や腕が体にあたり邪魔になります。一方、ヘッドが高くなるとハイポジションが比較的した方向に存在しますので押さえやすくなります

ただし、やり過ぎると真下方向に手を移動させる必要があり、やりづらくなってきます。

ローポジションの弾きやすさ

逆にローポジションを押さえるときは、ヘッドが高いと腕を上げなければならず余計な労力を使います。ヘッドが低ければ腕を上げる高さが低くなり、必要なエネルギーは小さくなります

これにも「ただし」があり、指板に指をぶら下げて押さえる省エネタイプの押さえ方の場合はある程度高い方がやりやすかったりします。低いところにはやはりぶら下がる感覚がつかみづらいです。

右手の弾きやすさ

次に右手の弾きやすさです。昔ながらの弦に垂直に弾くには低く構え、今時のように斜めに弾くには高く構えた方が良い!と思いきやどうもそうではなさそうに思います。

Francisco de Asís Tárrega.jpg
Wikipediaより

こちらのタレガの弾き方を参考にすると、ヘッドの高さが低いときには、弦に垂直に指を動かそうと思うとこのように手首が曲がります。これを手首に負担をかけないよう手首が曲がらないようにしようと思うとヘッドを高くした方が良いです(上の写真でタレガが弦をつかんだまま手首を伸ばすイメージをしてください)。

一方、弦に対して斜めに弾く場合、ある構えにおいて斜めに弾いているものからさらにネックの角度を上げると、どんどん垂直に近づいていきます。つまり、斜めに弾くにはネックの角度が浅い方が良いです。

てっきり弦を斜めに弾くようになったから、ヘッドの高さが上がりネックの角度が急になったのかと思いきや、そうでもないというのは面白い発見でした。

見た目のかっこよさ

これは人それぞれではありますが、なんとなくヘッドが高い方が最近のギタリストらしく、逆にネックが寝ていると昔ながらのギタリストっぽい気がします。

エレキギターの速弾きとか得意な人はネックが立っているイメージがあるため、なんとなくヘッドがたっていた方がしゃれていてかっこいい、かな?

どうやって自分に合った高さを見つければ良いか?

上の結果からわかるのは、結局、「高すぎるのも低すぎるのもだめ」という一般的なものでした。では、どうやって自分に合ったヘッドの高さを見つければ良いでしょうか?

先入観を捨てる

まずは先入観を捨てるのが良いと思います。弦を垂直に弾くから、斜めに弾くから、とかいうことは忘れ、何も考えずに色々な弾き方を試すのが良いです。

ギターを長年弾いているとだんだんと腕が上がり、少しずつ弾き方も変わってきます。その時々の弾き方にあった高さを見つけていくのがさらに腕を上げるのには重要です。

ヘッドが目線と同じ高さから変えていく

なんだかんだいってやはり「ヘッドが目線と同じ高さ」というのが中間というのは間違いないと思います。

そこから足台の段を1つずつ上げる/下げるをしてみましょう。支持具でも良いのですが、支持具の場合は無段階になるので一回で変える高さの調整が難しいかもしれません。まずは足台で調整し、後からその高さを支持具で合わせるのでも良いかと思います。

上げすぎ/下げすぎも試してみる

一段変えてなんとなく違和感がある、で終わるのではなく、上げすぎや下げすぎの場合も試してみましょう。

弾き慣れた角度からちょっと変わると違和感があるものですが、極端に変えると違和感よりも新しい感覚がやってくることがあります。これも「思い込まずに試す」の1つです。

ちょっと良さそうだったらしばらく試してみる

多少違和感があっても、ちょっと良さそうだと思ったらしばらく試してみると良いです。最終的にその高さが合わなかったとしても、その試行で得られた知見は必ず上達につながります。

腰痛や腱鞘炎には注意!

新しい弾き方になるとどこか無理をしてしまうこともあります。少しでも痛みを感じたら弾くのをやめ、毎回痛みが出るようならやめましょう

腱鞘炎や腰痛になると一生付き合っていくことにもなります。無理だけは禁物です。

そもそも足台や支持具はどう選べば良い?

そもそも試行をする前に足台や支持具を選び直したい人もいるかと思います。そんな時はぜひ本サイトの情報を参照してください:

なお、足台も支持具も使わずに弾く方法もあります:

決定的な奏法がないのがクラシックギターの良いところ

クラシックギターが今の形になってまだ100年ちょっとしかたっていません。このため、奏法も楽器も日々変わり続け、決定的な奏法がないというのがクラシックギターの現状です。

これは良いことでもあると思います。ヘッドの高さやネックの角度に悩むのではなく、クラシックギターと遊んでいる気持ちで色々試すのが良いのではないでしょうか。

その結果として自分にとって最適なものが見つかると良いですね。

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