刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1052

乙:You marry me, your father will disown you
He'll eat his hat now

出典:https://genius.com/Spin-doctors-two-princes-lyrics

感想:曲は明るくて良い。

今日の問題は、予備試験平成30年刑事訴訟法第20問エ.です。


公訴事実中に裁判官に予断を生じさせるおそれのある事項を記載したときは,これによって既に生じた違法性は,その性質上もはや治癒することができず,裁判所は,判決で公訴を棄却しなければならない。

甲先生、よろしくお願いします!
 
こ、甲先生!?
 
甲:全英open!!!

乙:刑事訴訟法256条6項は
 
「起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない。
 
同法296条は
 
証拠調のはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。但し、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。
 
同法338条4号は
 
公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。
 
と、規定しています。
 
最大判昭和27年3月5日は
 
 刑訴二五六条が、起訴状に記載すべき要件を定めるとともに、その六項に、「起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない」と定めているのは、裁判官が、あらかじめ事件についてなんらの先入的心証を抱くことなく、白紙の状態において、第一回の公判期日に臨み、その後の審理の進行に従い、証拠によつて事案の真相を明らかにし、もつて公正な判決に到達するという手続の段階を示したものであつて、直接審理主義及び公判中心主義の精神を実現するとともに、裁判官の公正を訴訟手続上より確保し、よつて公平な裁判所の性格を客観的にも保障しようとする重要な目的をもつているのである。すなわち、公訴犯罪事実について、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項は、起訴状に記載することは許されないのであつて、かかる事項を起訴状に記載したときは、これによつてすでに生じた違法性は、その性質上もはや治癒することができないものと解するを相当とする。
 本件起訴状によれば、詐欺罪の公訴事実について、その冒頭に、「被告人は詐欺罪により既に二度処罰を受けたものであるが」と記載しているのであるが、このように詐欺の公訴について、詐欺の前科を記載することは、両者の関係からいつて、公訴犯罪事実につき、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項にあたると解しなければならない。所論は、本件被告人の前科は、公訴による犯罪に対し、累犯加重の原由たる場合であつて、検察官は、裁判官の適正な法令の適用を促す意味において、起訴状の記載要件となつている罰条の摘示をなすと同じ趣旨の下に、これを起訴状に記載したものであると主張するが、前科が、累犯加重の原由たる事実である場合は、量刑に関係のある事項でもあるから、正規の手続に従い(刑訴二九六条参照)、証拠調の段階においてこれを明らかにすれば足りるのであつて、特にこれを記訴状に記載しなければ、論旨のいう目的を達することができないという理由はなく、従つて、これを罰条の摘示と同じ趣旨と解することはできない。
 
と、判示しています。
 
 
したがって、上記記述は、正しいです。