「あ、真司君おはよう!」とテニスコートのほうから声がします。秀子も自転車を止めて挨拶します。声をかけてきたおばあちゃんは、真司の幼稚園でお手伝いをしてくれている三屋さんです。七十歳を超えているとはとても思えない元気なおばあちゃんです。三屋さんも早速、「昨日勝ったね!」と真司くんに話しかけます。「じゃあまた後でね。なんだか私一日中スタジアム広場にいるわ」と笑ってテニスの輪の中に戻って行きました。
幼稚園のお母さん達も続々と集まってきています。「本田さん、今日バドミントンしない」「あ、ごめん今日仕事なの」「あ、そうだった。また今度しようね」などと、会話をしながら真司を幼稚園に送り届けると、すぐに広大なスタジアム広場の中にそびえ立つザ・タワービルに向かいます。
ビルの中のザ・タワーホテルが彼女の職場です。彼女はホテルで受付をしています。今日は世界おもちゃ博覧会のお客様で大忙しの日になるでしょう。同僚の一人にはオリンピックを目指してトレーニングを積んでいるアスリートもいます。また元選手も働いています。 ザ・タワーホテルの名物の一つは、地元の特産品をふんだんに使った朝食バイキング。 これは 、スマイルズの対戦相手サポーターからも絶大な人気を誇っており、 スマイルズ の試合がある日の朝は超満員。他のホテルに泊まった人もわざわざここに食べに来るくらいです。また外国のお客さんにも大人気です。
スタジアム広場には、スタジアムを中心に、体育館、アリーナ、コンベンションセンター、ショッピングモール、そして秀子が働くザ・タワーがあります。ザ・タワーには秀子が働くホテルの他、ビジネスフロアには大手企業が多数入居、レストランフロアもあります。
このスタジアム広場は、スポーツ観戦の人たち、スポーツをする人たち、アーティストのライブに参加する人たち、ビジネスマン、会議や博覧会に参加する人たち、ショッピング目的の人たちなど、地元、日本中そして世界中から人が集まってきます。
地元経済の発展に大きく寄与しています 。
・・・次回に続く
※ 参考文献 スポーツ業界の歩き方 河島徳基