よく聞かれる「衣装」について書きましょうか。
よく「衣装提供〇〇」と、番組最後のテロップに出ていますよね。
あれを見れば、アナウンサーとして画面に出るのにOKとされる
大体のブランドラインが分かるはず。
ブランドの名前がなければ、百貨店なんかの名前も出ているかな。
あれねーー、「せっかく良いブランドの服なのに、このアナ似合ってないなあ」って思うことありません?
こればっかりはねーーー アナウンサーを責めないでやってほしいです。
ここから先は私の身に起きた実話ですが、もう時効ですし、特殊なケースかもしれない、
ということを念頭において頂きながら読んでください。
さて、各番組に一応スタイリストさんはいるのですが、
彼らも無料で各店舗から服を借りている以上、
力関係の強さは絶対的に店舗にあったわけで。店員さんにあったわけで。
スタイリストさんはいわば「川上、川下」だったら「川下」だったわけで。
(超トップスタイリストさんは別です)
で、その力関係が上である店員さんに「今回はこちらを着て下さいませ」と差し出されたら
基本的に「いやー、〇〇アナには似合いませんよ」なんて言って断れない。
店員さんだって自分のセンスに自信を持って勧めているし、なんてったってその店員さんの自社ブランドですからね。
でも、スタイリストだってセンス勝負の仕事!
で、そういうアーティストvsアーティストみたいな賭け引きが始まったら・・・
私の番組の場合、だいたい折れるのはスタイリストさんでした。
実際に「折れるしかありませんでした(涙)」と泣きつかれたりしました。
まあでも、そりゃそうです。
店員さんを怒らせたら、今後そのスタイリストさんには何も貸してくれないかもしれない!
ってスタイリストさんも気を遣っていたのですから。
で、戦に負けたスタイリストが次に取る手段というのは、
同じ百貨店内の別ブランドに行ってみるんですね。
そこで、ほかの服を借りる。
テレビ局の取引先である百貨店の顔は立て、
さっきのブランドを心の中で却下する。
心の中で却下していながらも、その服を一応受け取る。
そうすることで、そのブランドと店員の顔は立てておく。
大人だー。
ビジネスマンだー。
スタイリストさん・・・私は頭が上がりません。
でもね・・・、なぜか分からないのですが、運悪く2店舗目も店員さんが
「このお洋服をお貸ししますね!」と、びっくりする服を差し出したりすることもあったり。
私がある日、スタイリストさんから
「今日はこの服のどちらかでお願いします」と渡されたのは
胸に大きな真っ赤なハートマーク、しかもキューピッドの矢が刺さっているセーターと
和風顔の私に全く似合わないハイビスカス柄のシャツ。
なにこの強烈な選択肢??( ̄Д ̄;;
スタイリストさん、私と目を合わせられずキョドキョドしていました笑
うーん・・・残念ながら両方ともアウトなんです。
だって、ニュース番組ですよ?
キューピッドの矢が刺さった特大ハートだの、
南国ムード満載のハイビスカスだのを身にまといながら
「警察によりますと、この放火による被害者は〇人、現在犯人は逃走中ということです」
なんて言っても、視聴者さんには何一つ響かないでしょう?
衣装が強烈なら、衣装にばかり目が行ってしまうでしょ?
アナウンサーが不思議な服を着ていたら、シリアスなニュースを読まれても、
視聴者はストーリーがさっぱり頭に入ってこないと思います。
こんなふうに運が悪いとき。
さすがに、スタイリストさんとしても、これ以上他のブランドを回ったら
各店舗を抱える百貨店から不審がられるから、
これ以上店舗を回れませんし、これ以上衣装を借りられません。
2着3着が限界でしょう。
で、そんなことはつゆ知らず、
「今日のスタイリストさんはどんな衣装を持ってきてくれるのかしら?」
と楽屋で待っていたアナウンサーがこういう衣装を渡されると、うーん・・・。
いや、申し訳ないけど、本当にね。
スタイリストは悪くない。分かっているんです。でも残念なものは残念。
そこで、アナウンサーは大人しく黙ってハートのキューピッドやハイビスカスを着るか
ほかの手段を取るか。
結構、前者が多いと思います。
そしてSNSや掲示板なんかで「〇〇アナ、なんだあの服?」と笑われる。叩かれる。
特大ハートのセーターとハイビスカスシャツを渡されたとき、
私は、視聴者のためだと腹をくくり、自前の衣装を着ました。
シンプルな衣装を、です。
報道局長に前もってお伺いを立てました。
報道局長は矢の刺さったハートとハイビスカスを見ながら「致しかたなし」って表情だったけど、
営業部員は「え?○○百貨店の提供衣装でしょ?着てよ」と反論。
百貨店はスポンサーでもあるから、まあ気持ちは分かります。
この時は、報道局長判断が優先され、私は自前の衣装を着ることになったのです。
で、番組に出演した後、百貨店に謝りました。
「せっかく貸して頂いたのですが、事件ニュースが入ったので、どうしてもシックな衣装を着るしかありませんでした。
スタイリストが無視したのではありません。彼女はきちんと私に御社のお洋服を渡してくれました。
着れませんでしたが、貸してくださり、ありがとうございました」と。
これは本当かどうか分からないのですが、
衣装を貸す側は、売れ残りの服を貸すと聞いたことがあります(本当かなー?)。
売れる服は店舗に置く。
売れないから「〇月〇日の番組で女子アナ着用」と張り紙をして飾り
「テレビに出る人にも着せたくらいなら良い服なのかー」って思わせて
売ってしまおうという魂胆、と聞いたことがあります。噂の域を超えていませんが。
都市伝説、かな?
都市伝説であってほしい。
でも、殆どの店舗さんは画面での見栄えを考えてくれている!と私は思っています。
見栄えの良い衣装を貸してテレビで披露されるほうが、より販売に繋がるでしょうから
長期的に物事を見られる店舗さんなら、
きちんとwin-winの関係を目指しているはず、と思うんですよね。
今回私が書いた体験談は、私のアナ歴の中でも唯一と言ってよいほどレアケースでした。
ただ、「衣装がアナに似合っていなくてもアナ本人が選んでいないので、みなさん多めに見てあげてね」と
ちょっとお節介な気持ちになり、思い出話を書いてみました。
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よく「衣装提供〇〇」と、番組最後のテロップに出ていますよね。
あれを見れば、アナウンサーとして画面に出るのにOKとされる
大体のブランドラインが分かるはず。
ブランドの名前がなければ、百貨店なんかの名前も出ているかな。
あれねーー、「せっかく良いブランドの服なのに、このアナ似合ってないなあ」って思うことありません?
こればっかりはねーーー アナウンサーを責めないでやってほしいです。
ここから先は私の身に起きた実話ですが、もう時効ですし、特殊なケースかもしれない、
ということを念頭において頂きながら読んでください。
さて、各番組に一応スタイリストさんはいるのですが、
彼らも無料で各店舗から服を借りている以上、
力関係の強さは絶対的に店舗にあったわけで。店員さんにあったわけで。
スタイリストさんはいわば「川上、川下」だったら「川下」だったわけで。
(超トップスタイリストさんは別です)
で、その力関係が上である店員さんに「今回はこちらを着て下さいませ」と差し出されたら
基本的に「いやー、〇〇アナには似合いませんよ」なんて言って断れない。
店員さんだって自分のセンスに自信を持って勧めているし、なんてったってその店員さんの自社ブランドですからね。
でも、スタイリストだってセンス勝負の仕事!
で、そういうアーティストvsアーティストみたいな賭け引きが始まったら・・・
私の番組の場合、だいたい折れるのはスタイリストさんでした。
実際に「折れるしかありませんでした(涙)」と泣きつかれたりしました。
まあでも、そりゃそうです。
店員さんを怒らせたら、今後そのスタイリストさんには何も貸してくれないかもしれない!
ってスタイリストさんも気を遣っていたのですから。
で、戦に負けたスタイリストが次に取る手段というのは、
同じ百貨店内の別ブランドに行ってみるんですね。
そこで、ほかの服を借りる。
テレビ局の取引先である百貨店の顔は立て、
さっきのブランドを心の中で却下する。
心の中で却下していながらも、その服を一応受け取る。
そうすることで、そのブランドと店員の顔は立てておく。
大人だー。
ビジネスマンだー。
スタイリストさん・・・私は頭が上がりません。
でもね・・・、なぜか分からないのですが、運悪く2店舗目も店員さんが
「このお洋服をお貸ししますね!」と、びっくりする服を差し出したりすることもあったり。
私がある日、スタイリストさんから
「今日はこの服のどちらかでお願いします」と渡されたのは
胸に大きな真っ赤なハートマーク、しかもキューピッドの矢が刺さっているセーターと
和風顔の私に全く似合わないハイビスカス柄のシャツ。
なにこの強烈な選択肢??( ̄Д ̄;;
スタイリストさん、私と目を合わせられずキョドキョドしていました笑
うーん・・・残念ながら両方ともアウトなんです。
だって、ニュース番組ですよ?
キューピッドの矢が刺さった特大ハートだの、
南国ムード満載のハイビスカスだのを身にまといながら
「警察によりますと、この放火による被害者は〇人、現在犯人は逃走中ということです」
なんて言っても、視聴者さんには何一つ響かないでしょう?
衣装が強烈なら、衣装にばかり目が行ってしまうでしょ?
アナウンサーが不思議な服を着ていたら、シリアスなニュースを読まれても、
視聴者はストーリーがさっぱり頭に入ってこないと思います。
こんなふうに運が悪いとき。
さすがに、スタイリストさんとしても、これ以上他のブランドを回ったら
各店舗を抱える百貨店から不審がられるから、
これ以上店舗を回れませんし、これ以上衣装を借りられません。
2着3着が限界でしょう。
で、そんなことはつゆ知らず、
「今日のスタイリストさんはどんな衣装を持ってきてくれるのかしら?」
と楽屋で待っていたアナウンサーがこういう衣装を渡されると、うーん・・・。
いや、申し訳ないけど、本当にね。
スタイリストは悪くない。分かっているんです。でも残念なものは残念。
そこで、アナウンサーは大人しく黙ってハートのキューピッドやハイビスカスを着るか
ほかの手段を取るか。
結構、前者が多いと思います。
そしてSNSや掲示板なんかで「〇〇アナ、なんだあの服?」と笑われる。叩かれる。
特大ハートのセーターとハイビスカスシャツを渡されたとき、
私は、視聴者のためだと腹をくくり、自前の衣装を着ました。
シンプルな衣装を、です。
報道局長に前もってお伺いを立てました。
報道局長は矢の刺さったハートとハイビスカスを見ながら「致しかたなし」って表情だったけど、
営業部員は「え?○○百貨店の提供衣装でしょ?着てよ」と反論。
百貨店はスポンサーでもあるから、まあ気持ちは分かります。
この時は、報道局長判断が優先され、私は自前の衣装を着ることになったのです。
で、番組に出演した後、百貨店に謝りました。
「せっかく貸して頂いたのですが、事件ニュースが入ったので、どうしてもシックな衣装を着るしかありませんでした。
スタイリストが無視したのではありません。彼女はきちんと私に御社のお洋服を渡してくれました。
着れませんでしたが、貸してくださり、ありがとうございました」と。
これは本当かどうか分からないのですが、
衣装を貸す側は、売れ残りの服を貸すと聞いたことがあります(本当かなー?)。
売れる服は店舗に置く。
売れないから「〇月〇日の番組で女子アナ着用」と張り紙をして飾り
「テレビに出る人にも着せたくらいなら良い服なのかー」って思わせて
売ってしまおうという魂胆、と聞いたことがあります。噂の域を超えていませんが。
都市伝説、かな?
都市伝説であってほしい。
でも、殆どの店舗さんは画面での見栄えを考えてくれている!と私は思っています。
見栄えの良い衣装を貸してテレビで披露されるほうが、より販売に繋がるでしょうから
長期的に物事を見られる店舗さんなら、
きちんとwin-winの関係を目指しているはず、と思うんですよね。
今回私が書いた体験談は、私のアナ歴の中でも唯一と言ってよいほどレアケースでした。
ただ、「衣装がアナに似合っていなくてもアナ本人が選んでいないので、みなさん多めに見てあげてね」と
ちょっとお節介な気持ちになり、思い出話を書いてみました。
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