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西日本の豪雨災害 キューバに学べる防災   
(週刊新社会・道しるべ 2018.07.24 より)
http://www.sinsyakai.or.jp/sinsyakai/archive/01_michishirube-japanese/2018/180724.html


 西日本を中心に甚大な被害をもたらした記録的豪雨。「数十年に一度」を基準に発表される大雨特別警報だが、気象庁は過去最多になる11府県に警報を出した。昨年の北部九州豪雨に続いて、福岡県では2年連続で発表されたことになる。キューバが世界から注目されている。

 『「防災大国」キューバに世界が注目するわけ』(築地書館)によると、キューバは96年から05年の10年にかけて、8回に及ぶハリケーンに見舞われ、うち4回は05年にアメリカ南東部を襲った大型ハリケーン・カトリーナと同規模、あるいはそれを凌ぐ大型ハリケーンだった。しかし、キューバのハリケーン被害の死傷者は極めて少ないというのだ。

 例えば、04年のハリケーン・チャーリーでは、アメリカのフロリダ州で30人が命を落としたが、キューバで死者数は4人だった。08年のハリケーン・グスタフでもアメリカやハイチでは多くの死者が出たが、キューバでは皆無だった。

被害が防げる理由 
 一般的に途上国は先進国に比べ自然災害に脆弱だが、キューバも先進国とは比較にならないほど防災インフラは貧しい。それだけでなく、水や食料はおろか窓を補強するテープにも事欠くような経済制裁下にあった。カギとなるのは、危険地域からの迅速な避難を実現させる統治力と、住民一人ひとりの意識の高さだ。

 キューバでは、たびたびハリケーンに襲われてきたことから、長年にわたってハリケーン予測の研究に力を入れてきた。それはフィデル・カストロ前議長(故人)が、天気予報が当たらず犠牲者を出す自国の気象学の水準に激怒し、自ら気象学を勉強したことが出発点という。

 現在では、日本の気象庁にあたる気象研究所が首都ハバナの本部に加え、全国に15支局を持ち、ハリケーンの動きを常時監視している。

 気象研究所は、ハリケーンが襲来する恐れがある場合、4日(96時間)前に「初期警報」を発信。3日(72時間)前には危険地域を特定し、その後は、状況に応じて順に警報、警告の指示を出す。危険情報は、主にテレビとラジオを通して国民に提供される。

 ハリケーン襲来が予想される危険地域が特定されると、人々は帰宅し、食料や生活用品など備蓄品を確保する。危険地域では州や各ムニシピオ(キューバ政府の行政単位。全国169ある) の議長が、地元の「市民防衛本部長」となり、各地区にある「市民防衛センター」に司令部を設置する。

 ハリケーンが直撃する24時間前に各地区の司令部が避難命令を出すと、必要に応じて政府によって避難用のバスや車両が提供され、人命救済に戦車が出動し、ヘリコプターが飛ぶこともあるという。 

豪雨の最中に宴会 
歴史的豪雨になると分っていて酒盛りをするどこかの首相とは、危機意識も覚悟も違うのである。

(週刊新社会「道しるべ」 2018.07.24より)

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