先日、予報通りに日本を襲来した台風は、この国の半分をめちゃめちゃにして去っていった。
明日は、昨日よりもよくなってほしい・・・。どれほど願っても、夜が明けると目に飛び込んでくるのは、新たな被害情報と被災地の過酷な環境の映像ばかりなのだ。
今日、安倍総理は宮城県の丸森町を視察し、今回の台風を「特定非常災害」に指定する考えを示した。東日本大震災と同じレベルの自然災害という扱いになる。
震災であれほど傷ついた地域が、その傷も癒えぬうちに、またあらたな傷を負ってしまった。
そして、今回の台風被害は東北地方にとどまらない。本州の半分に近い国土が、その傷口に泥水をかぶり続けている状況が続いている。
ソチ五輪で優勝した結弦くんがエキシビションで舞ってくれたのは、「ホワイト・レジェンド」というプログラムだった。
冒頭の曲調を「暗闇の中から瀕死の白鳥が再び舞い上がっていくイメージ」ととらえ、「人々や街が立ち上がっていく姿と重ね合わせ」、スケートに自身の祈りを込めた。
もしかしたら、ソチのショートもフリーも、そのためにあったのかもしれない・・・。
そこから遡ること2年、足首をねんざしてショート7位となりながら、奇跡のフリーを演じて銅メダルをつかみ取った、あのニースの世界選手権があった。
試合前に結弦くんは「世界選手権の舞台でエキシビションとして白鳥(ホワイト・レジェンド)を滑れたらなと思い、そのためにはとにかく5位以内に入りたい」と思っていたという。
結弦くんに出会うまで、私が抱いていたフィギュアスケートのエキシビションの一般的なイメージというものは、試合の緊張感からようやく解放された選手の皆さんと観客の皆さんが、心からリラックスして楽しめるエンタメ、余興のひとつ、といったものだった。
それがどうだろう。結弦くんに出会って一変してしまったのだ。
彼だってもちろん、楽しいプログラムを演じてくれることもあるけれど、私にとって羽生結弦のエキシビションを待つ心境というのは、もはや神殿に現れる巫女の舞を待つ心境と変わらないほど神妙なものとなっている。
氷の上の羽生結弦その人が、神秘の白鳥の化身としてこの世に生を授かった「ホワイト・レジェンド」そのものなのだ。
ホワイト・レジェンド、花になれ、花は咲く、ファイナル・タイム・トラベラー、天と地のレクイエム、ノッテ・ステラータ、春よ来い・・・
すべてが「祈り」のプログラムだと言ってもよい。
これら珠玉のプログラムの数々に涙しながら、わたしたちファンは、一羽のうつくしい白鳥の成長を見守ってきたのだと思う。
結弦くんのエキシビションは、この世とあの世がつながれる奇跡の数分間なのだ。
つらいこと、苦しいこと、泣きたいこと・・・たくさん、たくさん、抱え込んで生きてきたわたしたちの魂は、この数分間でそのすべてを手放し、浄化される。
そして結弦くんから受け取るのだ。明日を生きる希望の光。誰かを思えるやさしさ。生まれてきたことへの感謝を・・・。
結弦くんは試合になれば妥協なきまでに「勝ち」にこだわるアスリートだ。
しかし、なぜ、彼がそこまで勝ちにこだわるのかといった背景を思い出す時、彼のエキシビションに込めた並々ならぬ想いに胸が熱くなる。
今、日本は深く傷ついている。それでも、来週迎えるカナダ大会を、多くのファンが心待ちにしている。
羽生結弦というホワイト・レジェンドが見せてくれる奇跡の数分間を、誰もが夢にまで思い描き、今日という一日を懸命に生きている。
人生には「あの日を境に・・・」という局面が、何度か訪れるものなのかもしれない。
それがどう避けることもできない運命だったとしても、わたしたちはきっと、乗り越えていける。
それぞれの心の中の、ホワイト・レジェンドとともに・・・。
結弦くん、わたしたちのこの重過ぎるかもしれない期待と感謝を、いつも全力で受け止めてくれてありがとう。
どんなときも応援しています。
あなたの夢は、わたしたちの夢だから。
被災地で頑張っていらっしゃるファンの皆さん、これからも心をひとつに、結弦くんを応援していきましょうね!
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