経営者の心得「成功の法則92ヶ条」三木谷 浩史

【私の評価】★★★★☆（83点）

要約と感想レビュー

楽天社内で発信している情報

楽天創業者の三木谷さんが、社内で発信している情報をまとめた一冊です。内容は経営者としての心得、ビジネスマンとしての在り方になっています。本で読んだような内容もありますが、常に良いことは取り入れていこうという貪欲さを感じました。こうした本を通じて、社内の人に経営の考え方を理解してほしいのでしょう。

意外だったのは、楽天では月曜日の朝、社員全員での職場を掃除するということです。松下幸之助も掃除を重視していましたので、マネしているのでしょうか。楽天がここまで経済圏を広げることになったのは、運や経営だけでなくこうした地道な取り組みも影響があるのかもしれません。

・今成功しているビジネスは、将来必ず駄目になる。いつもそのことを前提に、準備をしておかなければいけない（ｐ32）

1％の努力を92個積み重ねる

そしてこの厚い本が92ヶ条からできていることが、1％の努力を92個積み重ねるのだという思想を実感させてくれます。つまり、いきなり2倍になるという奇抜なアイデアで勝負するのではなく、小さな1％の努力を積み重ねるのです。例えば、会議の頻度を半分にする。それから、会議に参加する人数を半分にする。さらに会議にかける時間を半分にすることで、会議の時間を8分の1にするプロジェクトを推進しているという。

また、良いアイデアがあれば、やってみる。良ければ続ける、ダメなら改善するのか辞める。ベンチャー企業らしい行動力を感じました。例えば、楽天市場では資料請求のメールが来たら、必ず2分以内にその資料請求したお客に担当者が電話をしているという。また、社員教育のための「学校」を作ったり、楽天の本社内に個人の学習スペースや図書館があるなど、細かい取り組みも力を抜いていないところが素晴らしいと感じます。

・僕は最後の0.5％の努力の差だと思っている・・・限界まで頑張ることは、誰にでもできる。限界まで頑張ったその上に、さらに0.5％努力を重ねられるかどうか。その差なのだ・・・木綿の布と、絹の布。どちらが滑らかかは、触ってみればすぐにわかる。その凹凸を計測したら、その差は0.1ミリにも満たないはずだ（ｐ279）

常に挑戦

そういえば、楽天は社内では、英語を使っているという話を聞いたことがあります。仮説を立てて、行動し、その結果を見て判断していく。この本では、中国語をマスターしたいなら、毎朝10分早起きして中国語の勉強をするという仕組み化をすることが紹介されています。英語をマスターしたいなら、社内で英語を使うということなのでしょう。

同じように組織を動かすための仕組みとして、指標、目印、つまりＫＰＩを設定するとしています。たとえば、営業なら、一人が何件の契約を取るとか・・目標をその達成の鍵になる数字で表し、達成できているかどうかを自分で確認できるようにするのです。

「人に何かを教えることは、自分が学ぶこと」「仕事をひとつのゲームとみなせば、目の前の仕事に夢中になれる」「小さくてもいいから、成功体験を積み重ねる」「世界一の理由を分析して、自分のビジネスに応用する」など、常に挑戦しようとする三木谷さんのメッセージのように感じました。三木谷さん、良い本をありがとうございました。

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この本で私が共感した名言

・悩んだり、困ったりしたときは、自分をいったん突き放してみる。そして、あくまでも他人事としてその対処法を考えること。それが、危機への最善の対処法なのだ。ただし、これは言葉でいうほど簡単ではない（ｐ69）

・人間は万能ではない・・だから大切なのは、自分に何が足りないかを、自分自身できちんと把握すること・・そうしたら次は、その足りないものを自分で学習して身につけるか、それとも誰か他の人で補うかを考える（ｐ113）

・他人の立場になって考える。これは、僕が小学校4年生のときに祖母に言われたこと。ものすごく大きな衝撃を受けて、それ以来、ずっと心の底に秘めている教訓だ（ｐ126）

・「あいつに任せておけば間違いない。あいつがやって駄目ならもう仕方がない」会社員なら、周囲の仲間からそういわれるような存在になることを目指すべきだ（ｐ225）

▼引用は下記の書籍からです。

【私の評価】★★★★☆（83点）

目次

第1章 10の極意
第2章 自己を鍛える
第3章 敵を知る(対人論)
第4章 組織を動かす
第5章 百戦して勝つ
第6章 世界観を育てる

著者経歴

三木谷浩史（みきたに　ひろし）・・・1965年兵庫県生まれ。1988年一橋大学卒業後、日本興業銀行に入行。1993年ハーバード大学にてMBAを取得。興銀を退職後、1997年2月エム・ディー・エム(現・楽天)を設立。同年5月インターネットショッピングモール「楽天市場」を開設。2000年には株式を店頭登録(ジャスダック上場)。その後、インフォシーク、楽天トラベル、楽天証券、楽天イーグルス、さらには銀行業務等へと事業を拡大。現在、楽天株式会社代表取締役会長兼社長

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