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「壁 試練だけが人を成長させる」野村克也

2019/03/12公開 更新
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壁 (ワニ文庫)


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 野村監督が2年前に、半世紀を超える野球人生を振り返った一冊です。野村監督といえば、ボヤキと名言が有名ですね。「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」「マー君、神の子、不思議な子」「ID野球」という言葉を残しました。


 大リーグでデータ分析は当たり前ですが、日本でデータ野球を始めたのは野村監督でしょう。野村監督は、プロ入団七年目から投手別に12種類のボールカウントや試合の状況ごとに、データを丹念に集め傾向を分析して投手のクセを見抜いたという。実は、カーブを打ちたいが、技術がないので、データを基にヤマを張ったのです。当時なんと、「ヤマ張り」は恥ずかしいこととされていたというのです。


・無口な母に言われたひと言を私は、生涯忘れない。「克、男は黙って、文句を言わず仕事をするもんだ」という言葉である(p2)


 不思議なのは、野村監督はなんとも不運の道を歩いてきたということです。南海ホークス監督時代には、当時離婚訴訟中であったにもかかわらず、沙知代さんとの交際を問題とされ解任されています。楽天監督時代も、弱小楽天を4年でリーグ2位に育てたにもかかわらず、監督を解任されています。結果を出せば文句はないだろうというプロフェショナルタイプですので、敵が多いのかもしれません。


 王・長嶋がヒマワリなら、オレはひっそりと咲く月見草、と自虐したように野村監督は努力の人でした。人と同じような努力をしていたのでは抜きん出ることはできないから、グラウンドを離れてから独自の練習メニューを作ってトレーニングをしていたという。日本ではやっとウェイトトレーニングしているプロ野球選手が出てきたくらいなのに、当時から野村監督は体を鍛えていたのです。


 努力と工夫を続けるのも一つの才能なのだと思います。リーダーは言葉が命、監督のひと言がその選手の運命さえ左右するというだけあって常に考え、勉強しているから、こうした言葉が出てくるのだと思いました。野村さん、よい本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・私が監督としてほんとうに尊敬し、目標にしたのは巨人の川上哲治監督である・・・何かあると、「川上さんならどうするだろう?」と考えてみるのが私の思考スタイルだ(p56)


・高校を出てから22、3歳ぐらいまでの間に仕えた監督の影響が、自身が監督になったときに現れてくるように思える(p68)


・選手の育成法には褒めて育てるやり方と、さんざんケナして反骨精神を引き出すやり方とがあるが、鶴岡監督は後者を狙ったのだろう(p52)


・リーダーは言葉が命である。勝負に勝つには、まず監督は選手たちとの信頼関係の構築が絶対条件である。相手との戦いの前に、監督は選手たちとの闘いに勝たなければならない(p180)


壁 (ワニ文庫)
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野村 克也
ベストセラーズ
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【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

第1章 私とプロ野球
第2章 日本の野球に革命を
第3章 監督像を一変させる
第4章 知将、相撃つ(
第5章 人は何を残すかで評価が決まる



著者略歴

 野村克也(のむら かつや)・・・1935年、京都府生まれ。京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)に入団。1965年に戦後初の三冠王になったのをはじめ、MVP5回、首位打者1回、本塁打王9回、打点王7回、ベストナイン19回、ダイヤモンドグラブ賞1回などのタイトルを多数獲得した。1970年からは選手兼任監督となり、その後、ロッテオリオンズ、西武ライオンズに移籍。1980年に45歳で現役を引退、解説者となる。1989年に野球殿堂入り。1990年にはヤクルトスワローズの監督に就任し、4度のリーグ優勝、3度の日本一に導く。1999年から3年間、阪神タイガースの監督、2006年から東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を歴任。2010年に再び解説者となり、現在、多方面で活躍中


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