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「交渉力 結果が変わる伝え方・考え方」橋下徹

2020/03/31公開 更新
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【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

 大阪府知事、大阪市長を歴任した橋下徹が教える交渉術です。橋下さんは弁護士なので交渉が仕事と言えますが、役人との交渉の実例が面白い。役人は橋下さんが了解するまで担当者が入れ替わり立ち替わり、分厚い資料を持って説明に来るという。


 役人の常套句は、「時間的に予算の見直しはできない」「大阪がたいへんなことになる」「補助金減で、市民の足がなくなります」などの脅しなのですが、すべてそんなことにはならなかったという。そうした脅しを聞きながらの交渉が、毎日夜中まで続くのです。


・相手を動かすためには、
 1 利益を与える(譲歩する)
 2 合法的に脅す
 3 お願いする
 この三つの手法しかない(p20)


 役人は、普通の知事や市長のように20時間も説明(脅迫)すれば、簡単に丸め込めると思っていたらしい。ところが橋下さんは「予算の抜本見直し」を公約として選挙に勝っているので、「予算の抜本見直し」だけは譲れない。


 役人側も、橋下さんが大阪府職員組合の選挙協力をもらって勝ているわけではないので脅すこともできない。結局、譲れるところ、譲れないところの調整を行うことで、大阪府の場合は暫定予算を組んで4月から7月に予算の見直しを行うことで妥結し、予算の抜本見直しができたという。


・どうしても一致が難しいものについては、さらに要素に分解し、その中で「絶対に譲歩できないもの」と「譲歩可能なもの」を整理し、一致できるものを詰めていく(p106)


 橋下さんは知事、市長8年間の間、予算カットを含む議会の嫌がる予算案を通してきたという。橋下さんには、与党が過半数を占めているわけではない議会で、自民党、公明党、民主党、共産党と交渉することで予算案を通してきたという自負があるようです。


 多くの自治体が知事・市長と議会が馴れ合いの中で予算を通しているなかで、異色の自分の意見を押し通す知事・市長であり、予算を通し続けたのはたいしたものと、言えるのでしょう。橋下さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・交渉とは結局のところ、自分の要望を一つかなえるために、相手に一つの譲歩のカードを渡す交換行為だ(p5)


・仮想の利益・・・初めに厳しい期限を言っておいて、交渉過程で期限を延期する・・・相手に利益を与えたように見える(p25)


・関税の25%アップは中国の輸出に大打撃を与えることになり、脅しだ・・・アップ率を25%よりも小さくすることは、アメリカ側に持ち出しはないけれども、中国にとっては利益に見える(p28)


・「合法的に脅す」・・・自分に力がなければ、いったん勝負の場から退いて、力を蓄えるという判断も必要だ(p30)


・「自分はこの部署でこうしたい。このようなことを考えている」「ここは譲れない」ということを部下にきちんと伝えることが、管理職のあるべき姿だ(p40)


・大事なことは事前に要望を絞り込むこと。究極的には一つに絞り込む・・・例えば、当初10個の要望があるなら、せめて二つか三つに獲得目標を絞り込んでおく(p50)


・タフネゴシエーターは、上司が「10個取ってこい」と言ったときに、上司と交渉して三個に絞り込む。それができれば、相手との交渉は円滑に進む可能性が高くなる(p92)


・お金にこだわる価値観もあれば、メンツにこだわる価値観もある。納期重視なのか、クオリティ重視なのか・・公務員の場合は、彼ら彼女らが最も重視する判断基準は「ルールに基づいているか」という点だ(p56)



【私の評価】★★★★★(92点)


目次

第1章 「最強の交渉術」とは?
――交渉に勝つための原則を知る
第2章 交渉は始まる前に9割決まる
――修羅場から体得した「橋下流交渉術」の極意
第3章 要素に分解すれば、交渉は成功する
――交渉の成否を決める分岐点
第4章 前代未聞の交渉を成立させた秘訣
――目標を成し遂げるために、いつ何をすべきか
第5章 「力」を使い「利益」を与える
――公明党、国とのガチンコ交渉の舞台裏
第6章 トップの「実践的ケンカ交渉術」に学べ
――日本の交渉力を高めるために



著者経歴

 橋下徹(はしもと とおる)・・・大阪府立北野高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。1998年、橋下綜合法律事務所を開設。2008年に38歳で大阪府知事、2011年に42歳で大阪市長に就任。2015年、大阪市長を任期満了で退任。現在は弁護士、タレントとして活動


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