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「相続の落とし穴!共有名義不動産 想い出がきれいなうちにトラブル解決」松原 昌洙

2020/07/09公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

 日本には、だれが所有しているのかわからない土地、所有者不明土地が九州の総面積と同じくらいあるという。これは代々相続登記を行わないことで共有者が増えすぎて、所有者がわからなくなった土地なのです。これらの土地を何かに利用したり売却するためには、全ての共有者から承諾を得る必要があるため、共有者が把握できなければ放置されることになってしまうことが多いのです。


 そうでなくとも、相続ともなれば、不動産のトラブルは少なくないという。例えば、共有者ではない親戚が、その家に住んでいたとしましょう。家賃を取るのか、家の修繕費用はだれが出すのか?こうした細かいことのいざこざから、トラブルに発展するのです。さらには家を処分するとしても、共有者が多いと意見が一致しないこともあれば、売却するにしても値段でもめることが多いという。いくら仲が良くても、お金がからむと泥沼化するパターンが多いのです。


・「税金を払え」と突然言われたら、返す言葉は「家賃を払え」です。共有者として持っている権利と義務ははっきり把握し、共有者間でのトラブル発生を回避できるようにしておきましょう(p97)


 興味深かったのは、不動産屋はピンキリだということです。不動産屋を選ぶときは、比較検討することになるのですが、勉強したことについて質問することをお勧めしています。例えば税金について「固定資産税は日割負担ですか?」と質問してみれば、固定資産税は1月1日に所有している人のところに1年分の請求が届くので、こういった質問に対してどう返答するかで、不動産屋の誠意を試すのです。


 事例が多く説明されており、共有名義不動産の問題がよくわかりました。基本は話し合いでしょうが、意見の対立があったり、知らない第三者が入ってくると訴訟になったりして、結局、不満を抱えたままでの解決になることもあるようです。もめたときは、専門家のアドバイスが必要なときなのでしょう。制度不備が原因である面もありますので、法的強制やルールの再構築が必要なのではないかと感じました。松原さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「共有者多過ぎ問題」・・・代を経れば経るほど、共有者がいわばねずみ算式のように増えていくケース・・・土地全体を売るとしたら、共有者全員の承諾をもらわないといけません(p19)


・本来は・・「相続登記」をするべきですが、しないでおいても法的に問題が生じたりといったことは現状ありません(p25)


・遺産分割協議・・・「現物分割(持分に応じて分割する)」「代償分割(共有者の1人が買い取る)」「代金分割(全体を売却して分配する)」のどれかを行うことになります・・・裁判所に分割方法を決めてもらうよう申し立てることを「共有物分割請求訴訟」といいます(p75)


▼引用は、この本からです

松原 昌洙、合同フォレスト


【私の評価】★★★☆☆(75点)


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目次

第1章 相続トラブルはひとごとではない
第2章 相続トラブル回避のために覚えておきたいこと
第3章 親から相続した住まいでモメています
第4章 放置したままの空き家や空き地、どうにかしたい
第5章 共有している収益不動産、どう処理する?
第6章 地主とのトラブル、回避できませんか
第7章 いざというときのために知っておきたい大切なこと



著者経歴

 松原 昌洙(まつばら まさあき)・・・株式会社中央プロパティー代表取締役。住宅ローンアドバイザー(社団法人全日本不動産協会認定)。相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会認定)。1970年生まれ。2011年に、業界で唯一共有名義不動産の仲介を扱う株式会社中央プロパティーを創業。弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家とともに問題解決に取り組む体制を確立。現在までに2000件以上のトラブル解決をサポート。その実績から、共有名義不動産問題の第一人者として知られる。


相続関係書籍

「負けない相続」依田渓一
「磯野家の相続[令和版] 」長谷川 裕雅
「相続の落とし穴!共有名義不動産 想い出がきれいなうちにトラブル解決」松原 昌洙


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