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「米中新冷戦の正体 - 脱中国で日本再生」馬渕 睦夫、河添 恵子

2020/07/10公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(72点)


要約と感想レビュー

この本ではウクライナ大使を経験した外務省官僚(馬渕)が、世界を動かす仕組みを解説する一冊となっています。この本ではディープステートという言葉が出てきますが、ディープステートとは影の勢力という意味で、アメリカ・イギリスの国際金融資本を指しているようです。


国際金融資本は、世界中でビジネスが自由にできるという1つの世界を目指しています。「ボーダレス」「グローバリズム」「世界統一政府」を目指す思想です。国際金融資本は資本(金)の力で教育界、言論界、学会、マスコミ、政界への影響力を駆使しながら、グローバリズムを推進しているという。


・デビッド・ロックフェラーは『ロックフェラー回顧録』でこう言っています。「自分は世界の仲間たちと一緒に、1つの世界を創るために働いてきた」と(馬渕)(p87)


その国際金融資本に挑戦するのが、プーチンでありトランプであり、中国共産党であるという。つまり、プーチンはユダヤ系新興財閥を抑圧した。トランプはグローバル化を否定し、アメリカファースト、国家の利益を重視し、マスコミをけん制している。中国共産党は国際金融資本と良い関係を持ちながら発展してきたが、国際金融資本に挑戦するようになったのです。結果として中国は、プーチンと組み、アメリカと国際金融資本を敵に回しているということなのです。


面白いのは人民元をドルに変える中国流マネーロンダリングの手法です。まず、東南アジアのどこかの国で港湾を建設することになったら、中国の人民元を貸すのです。そして、そのは巨額の債務を「ドルで返す」ことにするという。そうすると、人民元が国際通貨のドルに変わるというのです。


・「トランプ政権は、国家主権を取り戻すための政権である」2019年3月に緊急来日した、トランプ大統領の元主席戦略官及び上級顧問のスティーブ・バノンさんは、特別講演会で我々聴衆にこう語りかけました・・・アメリカの政治や軍、企業、アカデミックの中に、中国共産党的な思想と方策が人材を含め深く刺さり込んでしまった状況への危機感です(馬渕)(p94)


話がトンデモ系になりそうになりながら、大きい国際政治の流れは合っているように感じました。国際金融資本は、儲かるうちは中国共産党を支援していましたが、どうも中国共産党をコントロールできなくなってきた。これから一波乱ありそうな気配なのは間違いないようです。


馬渕さん、河添さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・コミュニズムはユダヤ系左派の思想です。簡潔に言えば「世界を1つにする」という思想で、この「ワンワールド秩序」を目指す思想は、その時々で呼び名が変わります。冷戦終了後は、「グローバリズム」となりました(馬渕)(p17)


・米露の本当の意味での冷戦は、プーチンがユダヤ系新興財閥を抑圧し出してから始まったというのが私の考えです。(馬渕)(p25)


・2017年11月7日にアメリカで策定・・・「共産主義犠牲者の国民的記念日」・・・アメリカの若者たちに、共産主義の恐ろしさを教える記念日を策定したことは、トランプ政権が共産主義を敵としているどころか、潰そうとしていることの布石だと思いました(河添)(p54)


・メディアや言論界への工作は、中国の十八番・・・職員のなかに外国人がいるわけですよ。中国人や韓国人、こういう人たちが番組を作っている。特にニュース番組ですね・・・現状は、政権批判を通り越して反日になっている。これはつまり、いろいろな部署に日本人ではない人たちがいるからなんです(馬渕)(p146)


・「民主主義を利用して民主主義を破壊する」という発想は、ボリシェビキを使ったロシア革命以来のやり方なんです。つまり、「平和を唱えることによって戦争にもっていく」・・・左翼はその思想を実践しているわけです。彼らはいつも「憲法9条を守らなければならない」、「平和!」「平和!」って言っているでしょ・・・日本の左翼政党と活動家に平和を唱えさせれば日本は弱くなる、とね(馬渕)(p220)


▼引用は、この本からです

馬渕 睦夫、河添 恵子、ワニブックス


【私の評価】★★★☆☆(72点)


目次

序章 100年に1度の地殻変動 揺らぎ始めた「ロシア革命」の秩序
第1章 トランプ大統領の思想的背景と"赤狩り"
第2章 ディープステート「影の国家」を紐解く
第3章 アメリカ左派と中国共産党の蜜月と転機
第4章 リアルに存在するスパイと無防備な日本
第5章 アジアを動かす米英中の野望とロシア
第6章 越えてはならない一線を越えた中国
第7章 5G覇権戦争サイバー空間が米中の主戦場



著者経歴

馬渕陸夫(まぶちむつお)・・・元駐ウクライナ兼モルドバ大使、元防衛大学校教授、前吉備国際大学客員教授。1946年京都府生れ。京都大学法学部3年在学中に外務公務員採用上級試験に合格し、1968年外務省入省。1971年研修先のイギリス・ケンブリッジ大学経済学部卒業。2000年駐キューバ大使、2005年駐ウクライナ兼モルドバ大使。退官後、防衛大学校教授(2008年~2011年)及び吉備国際大学客員教授(2014年~2018年)。。


河添恵子(かわそえけいこ)・・・ノンフィクション作家、一般社団法人新しい歴史教科書をつくる会理事・女子部共同代表、一般社団法人美し国なでしこオピニオンの会顧問。1963年千葉県松戸市生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、1986年より北京外国語学院、1987年より遼寧師範大学(大連)へ留学。


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