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原因不明の「慢性痛」の治療

2019-09-20 10:32:30 | 健康・医療
明確な原因が分からない痛みが3か月以上続くことがあります。

この様な慢性痛患者は医療機関で診察を受け、画像や血液などの検査を繰り返しても「異常は見つからない」と説明されることが多いようです。

患者は直接の痛みのつらさに加え、「怖い病気が隠れてれているのではないか」といった不安に襲われます。仕事や学業に影響が出たり、高齢者は外出を控えてしまい、社会から孤立したりする可能性があります。

日本大学医学部の研究チームは、この様な原因不明の痛みを治療する試みを始めました。これまで診察や検査で異常が発見されなければ、「気持ちの問題」とする傾向が強かったようです。

脳や神経の研究が進むにつれ、痛みのメカニズムの複雑さや影響の広さも分かってきました。こういった痛みには複数の分野の専門医や医療スタッフが協力する「集学的治療」が必要とされています。

研究チームは、初診の患者に対して看護師(1時間)、薬剤師と精神科医(各30分)の順に問診し、最後の専門医が1時間かけて問診・診察・説明をするという態勢を作っています。

複数の専門職が時間をかけて多面的な評価をすると同時に、受診した患者が今まで抱いていた痛みなどに対する思いや考えを引き出すことがこの治療の目的です。

看護師はこれまでの治療とその経緯の把握、患者側の認識、患者の日常生活の実態の解明に力点を置きます。薬剤師は治療に使われた薬の効果と患者がどの程度服用してきたかに注目します。精神科医は、似たような身体症状を訴えるうつ病と識別することが大事な役目となり、痛みが続くことによるメンタル面への悪影響を中心に評価します。

こうした問診で得られた情報と分析を基に専門医が身体診察結果を加味して、各患者を悩ませる痛みの原因を見出し、どう対処していけばいいかを患者や家族に説明、提案するという流れです。

これは「認知行動療法的アプローチ」で、患者は抱いていた将来の不安や精神的な苦痛を吐露し、慢性の痛みの原因と対応法を知り、痛みを軽減しながら日常生活の改善を目指しています。

この処方を行った患者の30%は、痛みの対処法についての理解と納得が得られ1回で終了し、残りの患者はペインクリニックやリハビリ科で治療が始まったり、かかりつけ医での診療に戻ったりするようです。

また受診した患者の約7割が最終的に日常生活が改善していますが、残る3割近くの患者の痛みの対応については更なる課題になっているようです。結局このような手法を用いても、慢性痛の原因は分からず、丁寧な対処法で痛みを和らげているにすぎないような気もします。

やはり痛みというのは、まだまだ分からない部分が多い分野といえるようです。


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