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アルツハイマー病につながる新説か

2019-04-24 10:23:17 | 健康・医療
現在の高齢化社会では、アルツハイマー病を主とする認知症は最も問題となる病気かもしれません。

このブログでも何回か取り上げているように、アルツハイマー病の治療薬の開発はことごとく失敗しているようです。研究は非常に多く実施されており、歯周病との関連や運動で筋肉から分泌される分子がアルツハイマーを改善するといった報告は出ていますが、治療法はほとんど進展がないのが現状と言えます。

スペインのオチョア分子生物学研究所から、極めて単純な免疫組織学的研究で、アルツハイマー病を神経変性として捉えるだけでなく、神経再生の異常としてもとらえるべきという新説が発表されました。

この研究の目的は、アルツハイマー病自体ではなく、成人の脳でも新たな神経が作られているかどうかを組織学的に確かめることです。

これまで、脳細胞の増殖期に取りこまれた大気中の放射線を調べる研究により、神経細胞は大人になっても新しく作り続けられることはわかっていましたが、大掛かりな装置と大量の脳組織が必要な方法を一般研究に使うことは難しく、人間の脳で神経再生を調べる方法が求められていました。

この研究では、新しく造られた神経細胞のマーカーとして広く認められているダブルコルチン(DCX)という分子マーカーを人間の組織でも利用できないかを検討するところから始めています。

DCXは微小管と結合する分子であるため、普通に処理した脳細胞では検出が難しくなってしまいます、この研究のハイライトは、解剖で取り出した後の脳組織を処理する条件を改良したことで、80歳を超える人の脳組織もDCX陽性細胞が存在することを示しています。

この方法でさまざまな年齢の脳組織を調べると、海馬の歯状回でだけDCX細胞が存在し、この細胞から派生したと考えられる分化細胞も同時に検出されることを示しています。

不思議なことに歯状回でだけ、ほぼ一生にわたって神経が新しく作られ、そこから分化した細胞がリクルートされている可能性が強く示唆されました。

海馬が病変の中心であるアルツハイマー病ではこの神経の新生はどうなっているのかを同じ方法で確かめています。するとDCX陽性細胞は病気の初期から著しい低下がみられ、年齢とは無関係に病状に応じて低下していることを発見しました。

さらに分化マーカーを用いた研究から、新しくできた細胞から成熟する過程が強く抑制されていることが示されました。

アルツハイマー病では新しく細胞ができても、分化が抑えられ脳回路に統合できなくなっていることが示唆されます。今回の研究結果はアルツハイマー病の新説とまで言えるか、この神経細胞の異常が原因か結果なのかは難しいところです。

それでも新しい事実が判明すればその対処法という新しい治療の可能性が出てくるのかもしれません。

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