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「若返り」には高齢者の血漿を希釈

2020-07-11 10:31:50 | 自然
カリフォルニア大学バークレー校の研究者が、若いマウスと高齢のマウスの血管を外科的な処置によって結合し、血液循環を共有するという画期的な実験に成功しました。

この血管の結合によって、高齢のマウスの軟骨や筋肉、肝臓、骨などを若返らせ、加齢の兆候を逆転させられることが示されました。あたかも若いマウスの血液が、老いたマウスを若返らせたように見えたのでした。

この若返りに起用する要因は何かという疑問を解消すべく進められた今回の実験では、若返りのために若い血液が必要ではないことが明らかになりました。

この新たな研究によると、高齢マウスの血漿を希釈してタンパク質を加えるだけで、若い血液を注入した時と同等の結果が得られたとしています。若いマウスと老いたマウスの結合実験でみられた高齢マウスの「若返り」にはふたつの解釈がありました。

ひとつは若い血液に含まれている特別な何かが高齢マウスの組織再生能力を活性化させたというものです。もうひとつは加齢とともに特定のタンパク質の値が上昇して有害となる可能性で、その有害物質が若いマウスとの結合により除去または中和されたという解釈です。

今回の研究チームは、加齢に伴う特定のタンパク質の蓄積が組織の維持・修復の主な阻害要因であり、血液の交換でこれらのタンパク質を希釈されたことが、若返りの背後にあるメカニズムではないかと考えました。

これを検証するために、研究チームは若くも老いてもいないニュートラルな成分を血液に混ぜて希釈することを行いました。この成分とは生理食塩水にアルブミンを食えただけのものを準備しました。実験では高齢マウスの血漿の半分をニュートラルな成分に置き換えました。

すると若い血液と交換した時と比較して、脳、肝臓、筋肉に同等かそれ以上の若返り効果があることが判明しました。具体的には希釈した血漿によって広範囲の組織が若返り、筋肉が修復され、皮膚や内臓の線維化に減少がみられ、脳の海馬の神経幹細胞が増加しました。

一方で若いマウスに同じ処置を施しても、健康に悪影響を及ぼすことはありませんでした。この発見は若い血液に若返り物質が含まれているのではなく、老化によって上昇または蓄積する有害物質の除去に若返りのヒントがあることを示しています。

また治療用血漿交換を受けたヒトの血漿についてプロテオミクス解析を行い、この血漿交換のプロセスが、分子的なリセットボタンのような役割を果たすことが分かりました。

この研究結果は若返りというだけでなく、血漿中にある病気の原因となる物質を取り除く治療の可能性もあり、注目されているようです。


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