「偶然」

 

 厳密に計算し、周到に用意して得た結果は必然的なこととして重んじ、

そうでないことは偶然のこととして軽んじがちですが、

考えてみれば人生は、偶然の出来事や出会いによって、

決定的に支配されながら展開しているのです。

 

必然とは、結局人間の計らいで処理した限りの現実なのです。

 

ですから現実そのものは、人間の計らいの傲慢を戒めるかのように時には現われて、逆に人間を支配するのです。

 

現実そのものの、そのような現われが、偶然といわれるものなのでしょう。

 

偶然をこそ大切にし、偶然から謙虚に学ばねばなりません。

 

 

 

『神の風景』p80 藤木正三著

 

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