日本捕鯨協会

事務局長を招待し、

鯨と捕鯨にまつわる話を伺ってきました。


現在の捕鯨は、日水や、大洋漁業など大手は撤退してしまっていて、

共同船舶捕鯨会社

というところが一手に引き受けているんだそうな。


欧米は鯨の油をランプ油として抽出したら、肉は捨ててしまっていたが、

日本は、油だけではなく、骨以外はほとんど食用として有効利用している。

この食文化も含めて、

捕鯨文化を日本遺産に登録するための計画をしている、とのこと。


油は皮にあり、肉には少ない。

また、寒いところにいるから、

不飽和脂肪酸になっているため固まらない、のだそう。


別件で得た知識ですが、

寒冷地でも潤滑性を失わない油って、

結構工業的に重要性があったようです。

出光興産成功の鍵も、不凍油にあったそうです。

参考「「海賊とよばれた男」を思わず読み返してしまいました 」


きっと、石油で代替されるまでは、貴重な資源だったのでしょう。


また、鯨類は人類より3倍くらい魚を食べるので、

間引かないと、魚が無くなってしまうとも。


今年、日本はIWC（国際捕鯨委員会）を脱退したので、

商業捕鯨ができるようになりました。

そのため、

美味しい食肉処理方法が考えられる様になり、

それを研究している。


餌として何を食べているかにより、味が違う。

多分、魚よりオキアミを食べている方か味は良さそう。

どこにいる鯨が美味しいか、研究の余地がある。

これからは調査ではなく商売、

効率よく、美味しい製品を取るための工夫をしなければならない。

漁獲枠は、調査捕鯨の時より減っているが、

商売目的でやれば、効率はよくなるので、価格は安くなりそう。

IWCを撤退したので、南極海には行けない。

日本近海でやるしかない。

とのことでした。


僕は、国際委員会を脱退したんだから、

孤立覚悟の悲壮な覚悟の下の行動かと思っていたので、

その気楽なトーンが意外でした。


けど、帰ってからネット検索で、こんな記事

日本が脱退して困るのはIWC？ クジラ博士こと加藤秀弘氏、大いに語る

を見つけました。


実態は、

分けのわからない宗教的信念で、非科学的なことをヒステリックに叫ぶ人が残り、

大口の資金を提供し、体系的に科学的調査をやっている日本の方が脱退しちゃった。

って話みたいです。


日本より、残されたIWCの方が心配みたいな状況のようです。

事務局長の気楽なトーン、その清々した感が、分かった気がします。


講演会の後の懇親会は、当然鯨料理の専門店でした。

晒し鯨
 

これは尾の部分の脂身なんだそう。


鯨の刺身

これは赤身肉ですね。


鯨のベーコン
 

鯨の唐揚げ

鯨の竜田揚げ

です。

僕は、ギリギリ小学校の給食で、

鯨の竜田揚げが提供され、それを食べた記憶がある世代なんです。

その記憶では、鯨肉は、

結構臭みのある癖のある味でした。

今回、何十年ぶりに食べたのです。

今回の味は、癖のない、全く上品な美味でした。


そのことを話すと、

「当時とは保存技術が違いますから。」とのこと。

上手に保存して、新鮮な物を食べると、そういうことになるようです。

刺身なんて、赤身の馬刺しに近い感じでした。


ちなみに、近代捕鯨では

母船を中心に捕鯨船が何艘か組みになって、船団をなして行うそうです。


その母船の操業の動画も見せてもらったのですが、

それはもうほとんど食品工場です。

解体から、切り分けから、血抜きまでやって、梱包して、冷凍まで、

全部、海の上で、船の中で、やってしまいます。

ここまでやっとけば、港に着いたら、即出荷ですね。


普通の居酒屋で普通の料理を食べるのに比べると、料金はかかります。

でも、この味なら、高級食材として、納得できる範囲ですね。


うちには、

幼少の頃、ほんの一瞬熊本に住んだことで、

成人した現在も馬刺しが大好物である家族がいます。

今度、

鯨の刺身を家族で食べに行こうか、

と考えています。


むやみな乱獲は良くないですが、

きちんと管理された状態で、適度に利用するのは良いことだし、

IWCの設立趣旨もそうだったそうです。


変質しちゃったのはIWCの方って話のようでした。

＊＊＊訂正＊＊＊

晒し鯨は、尾びれの中のゼラチン状の部分から加工したもので、

脂身では、ないそうです。

確かに、食感もコリコリした感じでした。

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